イタリアワインをこよなく愛する名古屋の歯科医ブログ

イタリアワイン好きの名古屋の歯科医が、診療室でおこる日々の出来事や、その日出逢ったワインのことを綴ります

中日新聞の記事から

2009年03月06日 | 歯医者のはなし

昨日、今日と、
中日新聞に珍しく歯科関係の記事が続けて掲載されていました

一つは、X線に変わる近赤外光の撮影装置!

歯や骨など硬組織を観察するには、
X線撮影がべストで、尚かつ唯一の方法なのですが

大府市の国立長寿医療センターと小牧市の光源メーカーが開発したのは、
光干渉断層診断法と呼ばれる方法を活用し、
歯や歯槽骨の3D画像を短時間で撮影、画像構築できるシステムだそうです

現在、3D画像を得ようと思うと、CT撮影を行う訳ですが、
かなりのX線被曝を伴います

が、この装置は人体に影響のない近赤外光を用いるので、
何枚とっても安心
これは、患者様にも、撮影するスタッフにとってもありがたいですよね
X線を遮蔽する撮影室もいらないと思うので、導入もし易いでしょう

数百万で販売可能とのことなので、現在の歯科用CTの1/3以下かも
早く実用化して欲しいものです


そして、もう一つは再生医療の話題!
1週間に一つぐらい、なにがしか再生医療の話題が新聞に掲載されています
それぐらい、研究や、特許取得など開発競争が激しいのでしょうが

今日の記事は親知らずから新型万能細胞「iPS細胞」を作製する話です

これまで、iPS細胞の作製には4つの遺伝子を導入する必要があり、
それが、安全性の面で大きなハードルで、
いろんな研究機関が、導入する遺伝子を減らす研究ににしのぎを削っています

今回、岐阜大学が開発した手法は、
ヒトの親知らずの中にある歯髄幹細胞、
つまり歯の神経と言われる組織に含まれる細胞に
IPS細胞の作製に必要な4遺伝子のうち2遺伝子がもともと働いている事に着目し
残りの2遺伝子を組み込むことでiPS細胞の作製に成功したということです

親知らずは多くの方が抜いてしまう歯で、
さらに、我々も抜いたら捨ててしまうだけなので

このような活用法があるならば、iPS細胞作製の材料として
親知らずは入手しやすく、有効な方法になることでしょう

すでに、乳歯バンクというものが立ち上がり、
同じような目的で、将来の再生の為に自分の乳歯を保存しておこうという
ビジネスが動き出していますが、
親知らずバンクというものも立ち上がるかもしれませんね(笑)

自分の幹細胞を保存でき、将来もしも何かのときに再生医療の材料として
自分の細胞が使えるというのはありがたいですよね

ただし、研究は予想をはるかに超えるスピードで進んでいますので、
じきに、皮膚や粘膜のちょっとした普通の細胞から、
遺伝子を入れる事なく、iPS細胞が作れる日もそのうちくるんんでしょうね


たまたま歯科関係の話題が2日続きで掲載されましたが、
夢の膨らむ話題は良い事です