都市と楽しみ

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神宮外苑地区第一種市街地再開発事業を考える

2024-07-20 02:12:08 | 都市開発

 権利変換は未認可のようであり、事業スキームが良く分からない

 まず明治神宮( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E6%B2%BB%E7%A5%9E%E5%AE%AE )は1920年創建、官幣大社。氏子にかわる組織として一般財団法人明治神宮崇敬会( https://meijijingusukeikai.or.jp/ )がある。参考として 神社崩壊 (島田裕巳)がある( https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/da11eb6408f6307a625b5e93b21f41c4 )

 外苑については、国民からの寄付金により造営、勤労奉仕などにより陸上競技場に加え、野球場、相撲場、水泳場など、運動施設が建設された。底地は明治神宮と思われ、明治神宮野球場も所有・運営( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E6%B2%BB%E7%A5%9E%E5%AE%AE%E9%87%8E%E7%90%83%E5%A0%B4 )、秩父宮ラグビー場( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A7%A9%E7%88%B6%E5%AE%AE%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%83%93%E3%83%BC%E5%A0%B4 )は          日本スポーツ振興センターの所有・運営となっている。権利関係の分かりやすい書面は見つからない。権利関係の整理がない再開発とは珍しい。

 

 開発計画の、原因は明治神宮の資金源であった神宮球場の老朽化だ。この建替えに伴い、外苑の玉突き建て直しと、建替え原資の調達が課題となる。

 

 そのため、都は、都市計画公園指定でも地区計画の策定を前提に、民間による再開発の促進という手法を「公園まちづくり制度」( https://www.nhk.or.jp/shutoken/wr/20240405a.html )として打ち出した。要件となる地区計画では周辺のオフィスビル(伊藤忠商事東京本社ビル)も含んでいる。(https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/toshi_saisei/data/jinguu_factsheet03.pdf )

そして、事業手法として「神宮外苑地区第一種市街地再開発事業」の内容が示されている( https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/02/16/documents/06.pdf )、容積率は323%と思われる( https://skyskysky.net/construction/202606.html )

さらに、権利変換計画はこれから(令和6年度(予定) https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/cpproject/field/jingugaien/saikaihatsu3_36.html )とある。

 さらに、周辺に容積を活用し

ラグビー場棟………………地上_7階、地下1階、高さ約55m、延べ約76,700㎡

複合棟A……………………地上40階、地下2階、高さ約185、延べ約127,300㎡

複合棟B……………………地上18階、地下1階、高さ約80m、延べ約30,300㎡

複合棟C……………………地上_2階、地下0階、高さ約10m、延べ約1,200㎡

事務所棟……………………地上38階、地下5階、高さ約190、延べ約213,000㎡

ホテル併設野球場棟………地上14階、地下1階、高さ約60m、延べ約115,700㎡

文化交流施設棟……………地上_1階、地下0階、高さ約_6m、延べ約2,000㎡

を建てるとある。西側と北側に高層建物を配置している。

 スキームとして、球場などの余剰容積(空中権)の活用や、定期借家による借地料(一時払いも含む)があるという。( https://www.tokyo-np.co.jp/article/173347 )これは、東京駅の空中権移転売却や、神社のマンション利用(下鴨神社や梨木神社など)、ビルと一体化した虎ノ門の金刀比羅宮( https://aozora-estate.com/post-office-magazines/010/ )などあるが、あくまで一つの神社が単位になっている。再開発事業での活用は権利変換計画の内容を見ないと分からない。

 容積移転であれば、246沿いのオフィスに移転するのなら分かるが、西側の複合棟A,B,Cなどは優位性があると思えない。むしろ、再開発を西南の角まで広げ、そこに容積を積むのが得策といえよう。何で、伊藤忠本社だけを入れるのか訝る。伊藤忠( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BC%8A%E8%97%A4%E5%BF%A0%E5%95%86%E4%BA%8B )は東京本社としての思い入れがあるというが、大阪は1969年 大阪御堂筋ビルに本拠を構えたがSPCに売却した( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%BE%A1%E5%A0%82%E7%AD%8B%E3%83%93%E3%83%AB%E3%83%BB%E5%A4%A7%E9%98%AA%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%93%E3%83%AB )2011年にはJR大阪駅ノースゲートビルディングへ移転している。青山のビルについてももとは日本橋から1980年の移転だ。東京本社の建替えに思い入れがあるなら大阪も売却しないと思うが。そもそも商社は出張も多く、大阪なら梅田、東京なら丸の内を選好するはずだ。 

再開発への商社の関与として、晴海一丁目地区市街地再開発事業( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%B4%E6%B5%B7%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%88%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%82%A8%E3%82%A2#:~:text=%E5%95%86%E6%A5%AD%E6%96%BD%E8%A8%AD%E3%81%A7%E3%81%82%E3%82%8B%E6%99%B4%E6%B5%B7,%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%B3%E9%96%8B%E7%99%BA%E3%81%8C%E9%81%8B%E5%96%B6%E3%81%99%E3%82%8B%E3%80%82 )に住商が絡んだ例があるが。

疑問点は

①東京都の3段階に及ぶ制度の活用での事業化は訝る

②三井不動産についての参画もよくわからない

③さらに明治神宮、スポーツ施設の関係者となると色々関係や思惑が複雑そうだ

④今後明らかとなる事業スキームも色々仕掛けがあるだろう

 なお緑地については知見が乏しいため、この資料を引用するに留める( https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/e/dfbc814acfc36b61fb626f5c33be3d10 )

 緑地の保全より、外苑の周りに高層建物が建つというのに違和感を覚える。かつて槇文彦が東京体育館をいかに低く抑えるかに注力されたのはこの地区の景観保全であった。(そのためザハの奇妙なアーチ型案に反対した https://xtech.nikkei.com/dm/atcl/feature/15/110200007/110500003/ )今回の開発では、運動施設の西側と北側に屏風のような建物が囲んでしまう。

 一都市計画家としてプランを見て感じるのは、「なにもここにビルを作らなくても良いだろう」というのが感想だ。オフィスの立地としても、青山に大型オフィスを建てるよりも、渋谷や丸の内の方が競争力もあろう。

 開発手法も、開発内容もすっきりしない


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