さくらの種類 サクラはヤマザクラ、オオシマザクラ、エドヒガンなどのように山野に自生する野生種と「染井吉野」、「普賢象」、「関 山」などのように、観賞を目的に作られた園芸品種(サトザクラ)の二つの種類に大別することができます。
野生の桜ヤマザクラとオオヤマザクラ Prunus jamasakura Sieb/Prunus sargentii Rehder ヤマザクラは、我が国の桜の中で最も代表的な種類で、古くから詩や歌に詠まれ親しまれてきました。別名シロヤマザクラとも呼ばれ、主に本州中部以南に自生しております。花は白色か淡紅色で、ときには香気の強いものもあります。清楚で一つの花だけをみると、それほど目立ちませんが、開花と同時に出る若葉が紅・褐・黄・緑と木によっていろいろあり、葉の色と花の色との調和が美しく最高の気品があります。これに対し、主として中部以北に自生するオオヤマザクラ(別名・ベニヤマザクラ)は、花色がバラ色でヤマザクラより濃く、あでやかな美しさを持っています。葉や花などの各部分は、全体にヤマザクラより大柄で、また、りん片の外側が著しく粘るのが特徴となっています。
ヤマザクラ オオヤマザクラ オオシマザクラ Prunus lannesiana Wilson var. speciosa Makino 房総半島・伊豆半島の南部・伊豆七島など本州の暖帯に自生する桜で、若葉は黄緑色、ヤマザクラと同様に花より先に開きます。花は白色で黄緑の若葉とよく調和し、優雅な美しさがあります。この品種は潮害、煤煙などに強く都市およびその周辺で街路樹や公園樹として広く植栽されております。葉は塩漬けにして桜餅を包む皮として利用されています。 オオシマザクラ エドヒガン Prunus pendula Maxim. form. ascendens Ohwi 本州・四国・九州と広く自生する桜で、別名アズマヒガン、ウバヒガンとも呼ばれています。花が早咲きである点が一般に歓迎され、古くから植えられてきました。花は一重と八重咲きのものがあり、花色は白色から淡紅色まで変化に富んでいます。枝の垂下するシダレザクラは、この種類の一型に属し、エドヒガン同様に花も色の白いものから淡紅色まであり、また、八重咲きの品種もあります。この桜は長寿で老樹が多く、各地に巨木・名木が点在しております。なお、彼岸桜・十月桜などは、エドヒガンに似ていますが、これらは別種です。 エドヒガンの木全体シダレザクラ根尾谷淡墨ザクラ エドヒガンの木全体エドヒガンの巨木 マメザクラ Prunus incisa Thunberg マメザクラは富士・伊豆・房総を中心とする地方に自生する種類で、このため別名フジザクラ・ハコネザクラとも呼ばれています。名のように花は小さく、花色は白または淡紅色で品のある清楚な野生の美しさをもっています。低木状の木にいっぱい花を咲かせ、また萠芽力も大変よいので、盆栽あるいは庭木として最近は広く培養されるようになりました。
マメザクラ カンヒザクラ Prunus campanulata Maxim. ヒカンザクラとも呼ばれていますが、ヒガンザクラ(彼岸桜)と混同されやすいので、カンヒザクラの名が一般に用いられています。カンヒザクラは中国南部・台湾に分布するが、古くから琉球列島や鹿児島県に入り、石垣島や久米島などには自生しています。花は1~3月に葉に先だって開き(半開鐘状)、色は紅または濃紅で、一見紅梅か緋桃のようで美しく、今日では沖縄から伊豆半島にかけて、温暖な地方で庭木として広く植栽されています。カンヒザクラ カンヒザクラの名所(沖縄・今帰仁城跡) 園芸品種染井吉野(そめいよしの) Prunus yedoensis Matsum. cv. Yedoensis 野生種のヤマザクラのように園芸品種を代表する品種で、全国至るところに植えられています。花は淡紅色の一重で、新葉より先に密集して咲き、全枝が花にうずまるさまは、真に絢爛豪華です。繁殖が容易で生長も早く、また花つきも非常によいので急速に全国各地に普及しました。主に、公園・街路・学校・堤防などの公共施設に集団的に植えられています。この品種は江戸時代末期、江戸染井村(現在の豊島区駒込)の植木屋が「吉野桜」と称し、売り出したのが始まりで、その後、桜の名所、吉野山のヤマザクラと区別するため、この名がつけられました。
ソメイヨシノ 普賢象(ふげんぞう) Prunus lannesiana Wilson cv. Albo-rosea 室町時代から知られている、最も古い里桜の代表的な品種で、一名「普賢堂」ともいいます。普賢象の名は、花の中心部にある二枚の緑色の葉(雌しべが葉化したもの)が外側に曲がり、普賢菩薩の乗っているゾウの鼻に似ていることから、この名がつけられました。花は大形の美しい八重咲き、色は淡紅で、のちに白ぽくなります。柄が長く花が垂れる上品な桜で、今日でも多く植えられております。樹勢は強健で大木(8~15m)になるので、公園または並木に適します。
フゲンゾウ 関 山(かんざん) Prunus lannesiana cv. Sekiyama 普賢象と同じく、古くから知られた里桜の代表的な品種です。花は大形の八重咲き、色は濃紅色であでやかな美しさがあります。このあでやかさが外国でも好まれ、アメリカ、イギリス、オ-ストラリアなど海外にも広く植えられています。樹勢は強健で成長も早く大木(9~13m)となります。枝が上向するので中庭園にも向きますが、大庭園や公園などの植栽に最も適しています
カンザン 一 葉(いちよう) Prunus lannesiana Wilson cv. Hisakura 花芯から一本の葉化した雌しべがでるので、「一葉」と名づけられました。花は八重咲き、色は淡紅色で満開になると白ぽくなり、花全体がややちぢれて見えます。花の大きさは普賢象などより少し小さく、柄の垂れる可憐な桜です。樹勢は強く、大木(8~12m)となるので広い公園や並木に適します。東京付近に多く植えられ、とくに新宿御苑、多磨墓地などには老大木が多く有名です。
松 月(しょうげつ) Prunus lannesiana Wilson cv. Superba 里桜の代表的品種で、花つきが非常によくたいへん優美な桜です。花は八重咲きで大きく、色は淡紅色(外弁は帯紅色、内弁は白色)で満開後は白ぽくなります。小高木(4~5m)で、枝が横にひろがり、樹形は傘形となります。枝が横に張るので、大庭園、公園などに適します。
ミクルマガエシ -代表的な園芸品種とその特徴-品種名 花色 弁数 弁の大小 開花期
他の特徴天の川(あまのがわ) 淡紅 15 大 4月中~下
幹・枝上方に直立し箒状となる嵐山(あらしやま) 淡紅 5~7 中 4月中~下
弁の先紅色が濃く二裂、微香あり早晩山(いつかやま) 白 13~15 大 4月中~下
蕾は淡紅色鬱金(うこん) 淡黄緑 10~15 中 4月中~下
花色に特徴あり江戸(えど) 淡紅 15~20 大 4月中~下 花の外弁紅色大手毬(おおでまり) 淡紅 20~30 大 4月中~下
枝先に花が毬状になる菊枝垂(きくしだれ) 淡紅 170内外 中 4月中~下
萼片5本枝垂桜(しだれざくら) 淡紅・白 5 小 4月中~下 満開時は白色に近い上匂(じょうにおい) 白 5 中 4月中~下 芳香がある。
枝は上向する白妙(しろたえ) 白 14~15 大 4月中~下 蕾は淡紅白色泰山府君(たいざんふくん) 淡 紅 40~60 小 4月中~下 樹形箒状、花梗有毛虎の尾(とらのお) 淡紅・白 5~旗弁 中 4月中~下 花が枝先に尾状につく。旗弁あり福禄寿(ふくろくじゅ) 淡 紅 15~20 大 4月中~下 花弁に波状のしわあり御車返(みくるまがえし) 白~淡紅 5~7 大 4月中~下 花弁に波状のしわあり、色に濃淡楊貴妃(ようきひ) 淡紅 18~20 大 4月中~下 蕾は球形で紅色、花は密に着生虎の尾 シロタエ アマノガワイチハラトラノオ タイサンフクン
日本桜の会HPより抜粋したものです。
北海道→サハリン