指揮者 神尾昇の一言

日々の生活の中でちょっとした事などがあったら、ちょろっと書き留めて行く、そんなブログです。

アリルイヤ合唱団の強化練習

2011年11月28日 | Weblog

アリルイヤ合唱団強化練習

去る11月23日にアリルイヤ合唱団の強化練習をやった。
アリルイヤ合唱団は先のブログに書いたように、来年の2月26日の牛込箪笥区民センターの演奏会をもってして解散予定。
そのための強化練習をやったのだが、私が練習で最後に行った言葉を律儀に文字にしてくれたので、読んでみた。
我ながら良いことを言っている、とおもったので(爆)、ブログにアップします(笑)
そしてこの合唱団に参加したいと思っている、あるいは思った人はまだ間に合います。
見学から来てみて下さい。泣いても笑ってもアリルイヤ合唱団としては次回の演奏会が最後の演奏会です。
お問い合わせはこちらから。整理券のお申し込みもこちらからどうぞ。
さて、では以下私が言った内容です。
 
今日やったこと細かいことの要素を覚えておくように。
今日やらなかった曲にも同じように今日やった要素が含まれる。どういう風にこの曲を歌っていけばいいか。
今日やった中で皆さんに訊いたのは、なにを歌っているのか、という意味が出てこないと英語やイタリア語、ドイツ語の曲ならなんとかお客さんの中にも意味を理解してくれる人はいるかもしれないが、教会スラブ語を理解してくれるお客さんはいない。
そうすると、お客さんとしては何を言ってるか分からないので苦痛になってくる。というか苦痛にも至らずに眠くなる。
つまらないなと思うだけ。だからなにを言っているのか一単語一単語そこに気持ちが入ってくるといいですね。
僕はよくいうんですけど、シンガーソングライターの人が一番すごい。
シンガーソングライターっていうのは、自分で歌を作って、自分で歌う。だから言いたいことが100%伝わる。だけど僕らは誰かが作った曲を、ラフマニノフが作った曲を僕らが代弁して歌うわけですよ。そうすると、そこのワンクッションというのはすごく大きくて、なかなかラフマニノフが言いたいことが伝わりにくいわけですよね。
だからこそ、テキストの意味をよく考えて、よく感じて歌ってほしい。
つまり、もっと分かりやすく言うとこの曲を自分で作ったと思って歌ってください。で、自分で作るんだったら、例えばよく出てきたピアノ(p)3つっていうね、普通の作曲家だったら2つだったけれども、ラフマニノフは3つって書いている。

例えばピアノから2拍かけてフォルテまできてるとか、そいうことを感じてほしい。なんでそういう風に書いているか。楽譜に書いてあるからこうですよっていうんじゃなくて、なぜそう書いたか。例えば「радость」(10番〔T〕41ページ3段目2小節目、〔M〕65ページ2段目2小節目)は3拍でフォルティシモからピアノまで行かなければならない。普通の作曲家はそこまで書かない。たぶんラフマニノフもピアノと書こうとして躊躇したんじゃないか。デクレシェンドは書きました、ピアノって記号を書くときにたぶん苦しんだと思う。

僕だったら苦しみますね。ピアノって書いていいものかどうか。書いちゃうとそれはもう残るし、ピアノって書くときに苦しみがあったはずです。この「喜び」って言葉だけで。「радость」っていう喜びの中に苦しみがあるんですよ。ラフマニノフの。
というのを、全部感じながら演奏してほしいんですね。で、それでこそFinalの意味があるので、もうこれ以上できない、やり残したことはないっていう気持ちでやりたいわけですよ。
だから、次回があると思うとそこで次回あるからいいかっていう甘えも出てくるし、希望も出てくるんですけど、もうそれはないです。もうこれで最後。これで最後ってことは絶対に自分の中で後悔しない演奏をしてほしい。それは僕自身もそうだし、みなさん一人ずつもね。
合唱団全体っていうんじゃない。一人ひとりがそう思ってほしい、「もうこれ以上の演奏は出来ない!」っていうことをやればFinalでいいと思う。それ以上の演奏が出来ないのに次やる必要ないから。というところまで自分をもっと追い込んでほしいし、自分の練習をしてほしい。だから一つ一つのフレーズを是非じっくり歌ってほしい、自分ひとりで。みんなで歌うんじゃなくて自分ひとりで歌えたらいいなというのを作ってほしい。それがここでみんなが集まって披露される感じ。
だから、例えばさっきの「радость」ってフォルティシモでやるところ、どれぐらいやったらフォルティシモになるかと、で、どれぐらいやったら「喜び」が伝わるかっていうね。
っていうのをひとりずつが是非、自分ひとりでやってほしい、そうするともっともっと感動が大きくなる。だから自分がこの曲を作ったつもりで、勉強というか、作ったつもりになって下さい。
僕らは学生の時、スコア全部写しましたからね。
今何冊か残ってますけど、例えばベートーベンのシンフォニーの1番なら全部五線譜に書きましたからね。そうすると分かるわけですよ、何がどうなってるかって。で、あ、なるほどって思うこともあるし、僕だったら僕は凡庸な人だからこう書くなー、でもさすがベートーベンだなっていうようなことが結構あるし。
そいうのを見てください。
探してみて下さい、自分で。わ、こんなこと書いてあるなって。
で、楽譜に全部入ってますから。ていうかこれ以上のものないですからね。
残されているこれ以上の資料はないんですよ、僕らには。
だからここから全てを引き出すしかないから。それはもう一人ずつが、皆さん一人ずつがこの楽譜と向き合って何が書かれているのか、どうすればいいのかっていう苦しみを自分の中に感じることですね。そうすると見えてくるものもある、かもしれない。でも見えてくるものがありますから、絶対。だけど書いてあるからこの通りでしょ、じゃ何も見えてこない。
ピアニッシモって書いてあるからピアニッシモでしょ、じゃだめですよ。
なぜピアニッシモなのか?なぜピアノなのか?フォルテじゃだめなのか?っていうことをちょっと考えてみてくださいね。まああと3ヶ月。3ヶ月で世に送り出さなきゃいけない。じゃ、出産すればそこから育っていくでしょ。っていうものじゃないです。もう完成形を生み出さなきゃいけない。だから皆さん、自分の中で完成したものを持っていて下さい。それを表現するだけの場にしたいから。
強化練習としてはあと3回しかない。今日やったことはいつもの練習ではできないです。だからいつもの練習でどれだけのことが出来るか、皆さん一人ずつにかかってます。
よろしくお願いします。それは皆さんのためにもね。僕がどうこうじゃなくて。
皆さん一人ずつがほんと後悔のない演奏をしてもらうためにも、自分の中で消化(昇華?)して下さい。

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第60回記念全国青年大会

2011年11月16日 | Weblog

先週末、第60回記念全国青年大会があり、13日、日曜日に、合唱の部の審査員をしてきた。
私はここ何年間か審査員をしているが昨年のみ都合でできなかった。
この大会に関わるより前に「地域がステージ」という日本青年団協議会の催しがあり、私は合唱の指導者として関わっていた。
このイベントは、最近地方からの参加が少なくなってきた合唱、演劇、人形劇部門の講師を呼び、全国から集まってきた青年団の人たちに指導し、実際に発表する、というものだった。
三年間続けて行われた。
日本青年館という建物が千駄ヶ谷にあって、そこが日本青年団協議会、略して日青協の本拠地。
しかし東京には青年団はないそう。
その他すべての道府県に青年団があるのかは知らないが、以前に比べて青年団員が少なくなっていると聞いている。
理由は、青年団の活動は歴史もあり、地域に根付いているが、青年団員になるはずの若者が地域に根付かなくなってきた事。
就労の関係から青年団の活動になかなか参加できない、という事。
青年そのものが地域に少なくなってきた事、などが挙げられるという。
そのなかで合唱という活動も、人が揃わない、指導者がいない、ピアニストがいない、という理由などで参加団体も年々減り、私が審査員として関わった時は4チームしかいなかった。
今年は増えたとはいえ、6チーム。最盛期は40チームを越えていたそうだ。
ということで「地域がステージ」というイベントをやった、という経緯になった。
前記の問題は、イベント後、事情柄必ずしも大きく改善した訳ではないが、その「地域がステージ」に参加してきた人たちが実際に自分たちの地域で合唱活動を行い、そして全国大会に出てきた姿をみて私も嬉しかった。
そしてその出場団体でずっと参加している中に、宮城県からの団体二つが含まれている。
3月11日に津波の映像を生放送で見て、一番最初に心配したのは彼らの事だった。
すぐにそのうちの一人に連絡をとってみたが当然まったく繋がらない。
色々なルートを辿ってやっと皆が無事だった、ということが分かったのはひと月も過ぎてからだった。
そして震災後、日曜日に彼らにあって話を聞く事が出来たのだが、自分の命は助かっても、家族や知り合いが流されてしまった者、家が流された者、車が流された者など、皆何らかの被害に遭っており、さらに今までやっていた仕事ができなくなり復興のための事業に関わっている者も多いそう。
そして今大会にも皆出て来れるのか心配していたのだが、無事に二チームとも出場してきた。
しかしながら、メンバーは激減。一つのチームは指揮者も含めて4名。3人で歌う、という状況だった。
だが、来れただけでも本当に良かったと思う。
地元の人には「合唱をやりに行くのか、こんな時に」と思われたかもしれないし、実際に来られなかった団員としても複雑な思いがあっただろう。
それでも出場してきた、ということに本当に敬意を表したい。
そして彼らの顔つきは本当に色々なことを体験し、色々な苦労があったのだろう、こんな事を言うのは烏滸がましいがとても大人になった顔つきになっていた。
今回の発表は宮城の彼らにとっても、大きな意義のある大会だったが、その他の団体のメンバーにとっても忘れられない大会になったことと思う。

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言葉と、歌と。

2011年11月11日 | Weblog

日本語は時として非常に難しいと思うが、微妙なニュアンスを伝えるには便利なのかもしれない。

いつも私はNHKーFMで目覚めるのだが、朝の7時を跨ぐときに天気予報や交通情報をきくことになる。
そこでいつも言われている行。
「ー線は概ね正常に運行しています…」
概ね正常、というのはどれくらい正常なのだろうか。
感覚的には90%くらい?と思うのだが、90%というと一時間を100%で考えた場合、6分くらいの誤差が出ている、ということか?と思うが、今の東京で6分の誤差は結構大きくはないか?とも思ってしまう。
また、電車に乗ったときに「時間調整にご協力いただき、ありがとうございました」とか、「節電にご協力いただき、ありがとうございました」とか言われたりするが、別にこちらは「協力」した覚えはないし、「協力しなかった」覚えもない。
でも、微妙な言葉遣いは時として命取りにもなったりする。
小金井の市長が「無駄遣い」と言ってしまったことで辞任とか。
今までも「失言」が原因で辞任していった政治家は数多い。
でもイタリアの首相はいくら失言しても、スキャンダルを何度起こしても辞任しなかった。
財政不安を引き起こした、つまり政治的に失敗したから、ということでの辞任だ。
逆に日本は政治的に失敗しても案外、辞任劇、というのは少ない気がする。
それがお国の違いと言えばそうだろうが、歌においてもその違いを顕著に感じる。
イタリアの歌(世俗曲)は大抵が、誰かを好きなのだけれど振り向いてくれないか、振られて逃げられてしまった、という内容。そして大抵は男の方が女の方に向けた歌。
日本歌曲はその手の歌は少ない、ように思う。
風景や風情を歌った歌が多いし、恋の歌であっても女性から男性への思い、の歌が案外多い。
中東の方の歌についてはあまり知らないが、ぜひ調べてみたい。

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どんぐりコンサート

2011年11月04日 | Weblog

混声合唱団ショコラは毎年渋谷区の施設、「総合ケアコミュニティせせらぎ」にてラウンジコンサートを行っています。
いつもは春先にやるのですが、今年は自主コンサートを2月に行ったために、秋のコンサートになりました。
名付けて「どんぐりコンサート」!!
内容は…
「空に、樹に…」新実徳英
ー「生きる」というア・カペラの力強い曲、「天へ昇った川」という美しい曲、「聞こえる」という青春を彷彿とさせる曲で構成されています。
「野菜サラダ物語」寺島尚彦
ー全11曲からなる曲集。「おちゃとじいちゃん」などのコミカルな歌の他に、有名な「さとうきび畑」も入っています。
以上を混声合唱団ショコラが演奏します。
そして新都心男声&女声合唱団の友情出演による
「旅」佐藤眞
を演奏します。混声、女声、男声での構成でお届けします。
2011年11月6日(日)
開場13時
開演13時30分
渋谷区/総合ケアコミュニティ「せせらぎ」2Fラウンジ
指揮/神尾昇
ピアノ/鈴木美苗
ピアノ/赤塚伸子

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