指揮者 神尾昇の一言

日々の生活の中でちょっとした事などがあったら、ちょろっと書き留めて行く、そんなブログです。

一つの演奏会が終わり

2010年11月22日 | Weblog

昨日は告知していたように、柏交響楽団の定期演奏会だった。

天気もよく、寒くもなく、良い日和だった。

前の日の夜が最終的なリハーサルだったが、それが実質今回のゲネラル・プローベだった。

あまりにも交響曲5番はハードなので本番午前中のリハーサルでは無理が出来ないからだ。

 

本番は14時キッカリからスタート。

実はくるみ割り人形の序曲は今回の演目の中で二番目に苦労した曲。

1stヴァイオリンと2ndヴァイオリンと、ヴィオラがそれぞれ二部ずつに分かれて演奏するのだが、これが意外に難しい。本番も正直ヒヤヒヤした。

後の曲は練習以上に巧くいった。私も気持ち良く表現する事が出来た。

残念だったのはくるみ割り人形が終わってカーテンコールをやろうと思って舞台に出ようとしたら手違いで照明が落ちてしまった。

合唱やパーカッション、木管の皆さんを労おうと思ったのに、残念残念。

 

休憩が明け、第二部、第五番交響曲。

私が暗譜してやる、という事を団員に伝えていなかったので譜面台がない事に戸惑った人もいたらしい。

自分の表現を100%出すには先ず暗譜、といつも人には言っている。

第一楽章の滑り出しは上々。

第二楽章のホルンのソロも素晴らしかった。

さて、今回の演目で一番苦労したのは三楽章。

途中で難しいパッセージがあり、最初に速いテンポで始めてしまうとそこに来た時に崩壊の可能性がある。

しかし出だしのテンポはちょうどいい、気持ちのいいものだった。

第四楽章はもう殆ど運動会。

このために午前のリハーサルもセーブしていたのだが、やはり楽団の集中力が途切れ始める。

私は喝を入れるべく、指揮台で大暴れしていたように思う。

そして皆文字通り「必死」に演奏していた。

それが証拠にまだ曲が終わり切らない、最後の部分で一瞬音が途切れるのだが、そこで期せずして拍手が起こった。

気を良くした団員は更にパワーアップ。終わった瞬間「ブラボー」に混じって言葉にならない叫びのようなものも聞こえた。

私は打ち上げでこの演奏を「ロッキーや、明日のジョーを思い出した」と評したが実にそのような感じだった。それが大きな感動を呼んだのではないかと思う。

アンサンブルがずれたり、音を外したり、後で聴くと「おや?」という部分はあろうと思う。

しかし、この熱気はそんなものを吹き飛ばしてしまう。プロには出来ない物凄い演奏だったと思う。

 

アンコールは組曲4番「モーツアルティアーナ」第三楽章をやった。

これは「アヴェ・ヴェルム・コルプス」をチャイコフスキーが編曲したもの。私も今回初めて指揮したが、もっとあちこちで演奏されてもいいと思う名曲である。

 

↓記事が面白かったら「ワンクリック」お願いします。