イギリスのすぐ隣に、
アイルランドと云う島国があります。
その島の北部、
四分の一ほどは北アイルランドと呼ばれるイギリスの領土。
地図で見てもいかにも不自然な国境の分かれぶりです。
実はアイルランドは、
今から百年ほど前、イギリスから独立したのですが、
その時北部だけが自分たちの意思としてイギリスに残った。
何故かと云うと、
そもそもイギリスとアイルランドでは、宗教が違う。
いや、同じキリスト教なんですが宗派が違う。
大雑把に云うと、
北部には国教と呼ばれるプロテスタント系の住民が多いが、
南部はカトリックが殆ど。
北部のプロテスタント系の人々は、
南部のカトリックに飲み込まれ、
アイルランド国全体では少数派となることを嫌いイギリスに残った。
ゆえに今でも、
北部だけ「イギリスの北アイルランド地方」として地図に残る分けです。
この時の混乱では死傷者を多数出すテロ事件も続発しました。
今では互いの妥協が成立したようですが、
今でも何かあれば火を吹きかねない火種は残ってます。
世界が忘れかけていたこの問題をややこしくしたのがイギリスのEU離脱。
アイルランド島にある国境は、
今までは同じEU圏内と云うことでフリーパスに近い状況だったのですが、
イギリスが離脱した今となってはそうも行かない。
入国審査や税関検査をどうするか、
何年も掛けてああだこうだとやってるんですが未だに名案が出ないようです。
なにしろ、
下手をすると血なま臭い争いになりかねませんからね。
処で近年では、
北アイルランド地方では少数派だったカトリックの人口が増え、
プロテスタントを追い越しそうな勢いだと云う情報もあります。
なんとならば、
カトリック家族の方が伝統的により多くの子供を儲けるから、
つまり、宗教的に避妊や堕胎を嫌う分けですな。
人口で見れば
北アイルランドと云うのは日本の熊本県ぐらいなんですが、
EU離脱や人口問題に
その上宗教がからみあって、
北アイルランド状勢と云うのは、なかなか複雑なようです。