漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

ススキの家

2018年10月10日 | せけんばなし
私の生まれた家は「かやぶきやね」でしてね、
漢字で書けば「茅葺屋根」。

このカヤの屋根は、
何年かごとに葺(ふ)き替える必要があるんですが、

いよいよ来年は葺き替えとなったら、
ススキを刈り取って来て、たばねて乾燥させておく必要がある。

つまり、
屋根を葺くカヤとはススキを乾燥させたものなんですね。

村の農家はほとんどがそうですから、
茅葺屋根を維持するためには、ススキの栽培場が居る。

もちろん、ススキなんて、
勝手に生えますから、苗を植えたり肥やしを入れる必要は無い。

枯れても、
次の年にはまた生えてきますからね。

ただ、放置しておくと、
そこへ木のタネが飛んできて芽を出し、

やがてこの木が、
ススキより高くなり圧倒、

あわれススキは駆逐され、雑木林となってしまう。

それを避けるためには、
何年かに一度、野焼きをする必要がある。

これで地上は燃え焼土となっても、
でも、その下にススキの根っこは残ってますからネ、

その次の年には、
その地下茎から、また青々としたススキが生えてくる。

そんなススキ野も、
茅葺屋根の消滅とともになくなりましたがね。



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