きのうの続き。
景気よく、女郎衆を上げ続けにして逗留する客、
その客の印判を見て、ハッとした「たか」は、我が部屋に取って返し・・・、
尚、以下の文中、
「印紙」は、印形を写した紙、印影。
「印形」は、ハンコを捺(お)した形。
「傍輩(ぼうはい)」は、同僚、仲間。
「上方(かみがた)」は、京、大坂方面。
「腰の物」、「差し料」は、ともに刀のこと。
~~~~~~~~~~~~~~~~
瀬川は、その場に居合わせけるが、
印紙をチラと見て、
「何とやらん、見知りたる印形」と、覚えあれば、
そのまま部屋へ帰り、
亡き夫、久之進が印形の書き付けを取り出し、
確かめ見るに、凡(およ)そ疑いなし。
故に、亭主に相ことわりて、
彼の印紙を借りて、とくと合い見るに、いささかも違わぬ同印なり。
「さてこそ」とたか、
松葉屋の女房に、その客の事を問えば、
傍輩(ぼうはい)歌浦が客にて、上方にて名のある衆の由なり。
さ、あらんにては、
その者の腰の物を見せくれ給(たま)えと願う。
総じて、遊郭の法にては、
貴賎にかかわらず、
遊興の間は、その宿へ、腰の物預かり置く習いなれば、
女房、すなわち戸棚より、
歌浦と札の付けたる脇指を出し見せければ、
たか、取りて見るに、夫の差し料に違いなし。
~~~~~~~~~~~~~~~
江戸時代、
二刀は武士だけの特権だったが、旅の間なら町人にも、脇指はゆるされた。
「脇指(わきざし)」と云っても、
大きな物なら
「刃渡り一尺八寸(50センチ余り)あるから、武器としての威力はかなりのもの。
刀の区別は、
刃の良し悪しや切れ味が分からずとも、鞘(さや)や柄(つか)のつくりで見分けがつく。
景気よく、女郎衆を上げ続けにして逗留する客、
その客の印判を見て、ハッとした「たか」は、我が部屋に取って返し・・・、
尚、以下の文中、
「印紙」は、印形を写した紙、印影。
「印形」は、ハンコを捺(お)した形。
「傍輩(ぼうはい)」は、同僚、仲間。
「上方(かみがた)」は、京、大坂方面。
「腰の物」、「差し料」は、ともに刀のこと。
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瀬川は、その場に居合わせけるが、
印紙をチラと見て、
「何とやらん、見知りたる印形」と、覚えあれば、
そのまま部屋へ帰り、
亡き夫、久之進が印形の書き付けを取り出し、
確かめ見るに、凡(およ)そ疑いなし。
故に、亭主に相ことわりて、
彼の印紙を借りて、とくと合い見るに、いささかも違わぬ同印なり。
「さてこそ」とたか、
松葉屋の女房に、その客の事を問えば、
傍輩(ぼうはい)歌浦が客にて、上方にて名のある衆の由なり。
さ、あらんにては、
その者の腰の物を見せくれ給(たま)えと願う。
総じて、遊郭の法にては、
貴賎にかかわらず、
遊興の間は、その宿へ、腰の物預かり置く習いなれば、
女房、すなわち戸棚より、
歌浦と札の付けたる脇指を出し見せければ、
たか、取りて見るに、夫の差し料に違いなし。
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江戸時代、
二刀は武士だけの特権だったが、旅の間なら町人にも、脇指はゆるされた。
「脇指(わきざし)」と云っても、
大きな物なら
「刃渡り一尺八寸(50センチ余り)あるから、武器としての威力はかなりのもの。
刀の区別は、
刃の良し悪しや切れ味が分からずとも、鞘(さや)や柄(つか)のつくりで見分けがつく。