漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

我輩は我輩である

2010年10月27日 | Weblog
銀行に新しい預金口座を開こうとしたら、
 「お使いではいけない、本人に来て頂きたい」と言われた。

 本人が本人であることを証明するのはいま困難である。
 

「山本夏彦氏」世に在りしころのある随筆の書き出しである。

先年、私も理由があって、
運転免許証の更新を止めたから、

銀行の預金引き出しや種々の名義変更はもちろん、

レンタルビデオの会員になるのにさえ、
「私が私であること」を自分で証明しなければならなくなった。

これがケッコウ難儀なのだ。

友人や家族の証言ではダメ、
相手は「人間の言うことなど信用しない」のだから、

結局、なにか「モノ」で証明しなければならなくなる。

写真付きの免許証のような便利なものはないので、
「何を出せばいいのか」と問えば、

「健康保険証なら」と云うから、
結局、外出するのに一々保険証を持ち歩く羽目になった。

以前のように免許証なら、
常に持ち歩いていたから不便はないが、
今まで、常に健康保険証を携帯して歩くと云う経験はないから、すぐ忘れる。

そうかと言って、
家族にだって必要なのだから、
保険証を私の財布に入れたままと云う分けにはいかない。

我が同居人ドノに云わせると、
ナンデモ、「個人情報保護法」の成立以来、特にうるさくなったのだそうだ。

私なんぞは別に、
「秘匿せねばならぬほどの個人情報」などないのだが、

それでも「例外は認められない」と相手が言い張るから、

斯くなる上はと、止むを得ず、
本日、「住民基本台帳カード」なるシロモノの発行を申請に行った。

市役所のオニイチャンの応対は丁寧であったが、
信用はしてくれず、ここでも「自分を証明するモノ、ニ点」の提示を求められた。

なんと、あやしむべし、
私は、
「自分が自分であることを証明するモノ」を手に入れるために来たのであるのに、
「自分が自分であることを証明するモノ」を手に入れるには、
「自分が自分であることを証明するモノ」が二点も要ると云う仕掛けになっておるらしい。 

私もちょっと困って、
「健康保険証しか持ってないが」と言ったら、

相手もこんなことには慣れているのだろう、
別に困るようすもなく「診察券などありませんか」と優しい声で言う、

診察券なら馬に食わせるほどあるから、そのうちの一枚を見せたらOKとなった。

「しかし、健康保険証と診察券なんて、出ドコロは同じようなものじゃないか、
 あれで本人の証明になるのかね」と思いながら市役所を出た。

ナニハともあれ、
これで「自分が自分であること」を証明する手続きは随分ラクになる分けだ。

住基カードが出来たら、
一度、生まれて初めてのサラ金に行って、

大きらいな借金なんぞしてみようかしらん。 (笑)







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