漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

笹に椿、松には桜

2016年03月21日 | せけんばなし
私の散歩コースに、
間もなく花見客でにぎわう公園があります。

いつもその公園のベンチで休憩するのですが、
当然ながら、桜が咲き出すと満席になり、私などの座る場所はなくなる。

しかし、その公園を過ぎると遊歩道が続いていて、
松並木の途中に、ポツンと一本だけまだ若い桜の木があり、

その近くのベンチで私は毎年、ひとりだけの花見をするのです。

やせた細い木とは云え、
松の緑を背に咲くその花は、ひときわ色が映えてきれいなんです。

私の子供のころ、
家の近所に笹藪の土手があり、そこに数本の椿が植わっていた。

なぜ、笹藪に椿があったのか知らないが
雪の降った朝など、笹の青、椿の赤、そこへ雪の白が重なり、

子供ながらに、「綺麗なもんだな」と思った記憶があります。

「梅に鶯、松に鶴、牡丹に唐獅子、朝吉親分に清次」と云うのは、
映画「悪名」で、田宮二郎演じる清二の決まり文句ですが、

「椿には笹」なのかな、と長い間、
わたしはひとりで思ってたんですが、

そこへもう一つ、
「桜には松なんだよ」と近所の遊歩道が毎年、教えてくれます。




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