今年、意外だったのは、
小泉元首相の「原発反対宣言」だろうか。
私は氏の意見を文芸春秋で読んだだけだが、
しごく尤もな考えだと思う。
氏の意見の大筋としては、
今の技術で、原発を動かしている限り、
最終的に核廃棄物が残るのは防ぎようがない。
しかもその廃棄物は放射能が強く有害で、
無害化するには、非常に長期間地中に埋めておかねばならない。
しかし、地震国の日本で、
安心して埋めておけるような場所は無い。
それはそうだ、
自分の住む県に処分場ができて不安にならぬ人はないだろう。
福島の原発事故からこちら、
「原発反対」を叫ぶ人は多いが、
その多くが感情的に反対する人が多いように思う。
「原発、原爆一字違い」と書いて
「だから原発に反対」とする大新聞社が居たり、
某有名歌人は、原発が恐いからと、
沖縄へ移住したはいいが、
沖縄でもまだ不安だからと、
石垣島に移住してやっと安心したと云う。
福島と沖縄の距離、
沖縄と石垣島の距離を考えれば、
沖縄ではまだ恐いが、
石垣島なら安心と云うのは、論理的でも実証的でもない。
ほとんど、台所のゴキブリが恐いから、と、
寝室に立てこもるようなもので、
パニック的な感情論以外の何ものでもない。
そう云う情緒的な反対の多い中で、
小泉氏の反対には、大方の大人を説得する中身があると思う。
今度の事故以前から、
廃棄物の処理法が見つからない以上、
原発は無くしていくしかないだろうと思っていた私としては、
うなづける反対意見が、
やっと有名人から出てきたと云う気がしている。