2005年に刊行された、
村田晃嗣氏著、「アメリカ外交・苦悩と希望」より、いくつか抜粋してみる。
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☆アメリカと中国は国土面積はほぼ同じだが、
可耕地面積になると、
アメリカが国土の八割に達するのに対して、中国は二割にも満たない。
☆「あなたは神、あるいは宇宙の霊の存在を信じますか」という問いに、
アメリカでは今でも、95%の人が「イエス」と答えている。
☆聖書は神の言葉であり、すべて文字通り信じる
(したがって、進化論を信じない「聖書無謬説」に立つ)という人も、全体の実に三割に達する。
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この本を読むと、
なんとなく知ってるつもりのアメリカを、知らないことにおどろく。
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以上、パワーを構成する力、冨、価値の三要素を瞥見してきた。
いずれにおいても、
世界人口の五%弱にすぎないアメリカが、優越した地位を占めている。
(中略)
今の一極構造の中で、、
アメリカが傲慢で身勝手に振る舞うことは、ある程度は不可避であろう。
ここで自問してみよう。
力と冨と価値のすべての局面で、
もし日本が今のアメリカと同様の優越を手にし、
しかも9・11のような攻撃を受けた時、
日本は今のアメリカより、はるかに謙虚で国際協力的であろうか。
戦前は軍事力の一面でのみアジアに覇を唱えて帝国を滅ぼし、
戦後は、経済力の一面でのみの世界第二位の地位を手に入れて、
バブル経済に踊った日本である。
残念ながら、この問に対する筆者自身の答えは否定的である。
では、中国やロシアならどうか。
イラク戦争に執拗に反対したフランスやドイツならどうか。
やはり筆者の答えは否定的である。
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では、「日本はどうすればいいのか」、
その答えはこの本を読んでから考えていただくとして、
この本の内とびらにはこんな言葉が記されているが、
この中の「一つの国」を日本として読めば、より含蓄の深い言葉となろう。
「一つの国についてしか知らない者は、実はその国についても知ってはいない」
~~~ アレクシス・ド・トクヴィル ~~~