空気が澄んで、秋真っ盛り
かっては「茅葺屋根と柿の木」は日本の秋の原風景でしたが、
今では農村でさえもプレハブ住宅全盛で、
茅葺の民家など、観光名所にでも出かけねば見られなくなりました。
ただ、柿の木だけは健在なようで、
農村部の方に行けばいまだにあちこちで見かけます。
その柿も今は「平核無」全盛、
現在スーパーに並んでいるのはは大概がコレ、
平核無と書いて「ひらたねなし」
文字通り、平たくって種のない柿です。
ただしコレ、
本来は渋柿で、店頭には渋抜きをしたものが並ぶ。
私の子供のころ、
渋柿と云えば砲弾型をした柿で干し柿にしました。
皮を剥き、軒先に釣るしておくと渋が抜け甘くなる。
昔は農家ならどこでも、
秋ともなれば、軒先にずらりと干し柿が並んだものです。
渋柿を甘く食べる方法はもう一つあって、
それが「樽柿」と呼ばれるもので、
酒の空き樽の底に柿を並べることで渋を抜いた物。
渋みの原因であるタンニンを
酒樽に残るアルコール分で飛ばしてしまうと云う先人の知恵です。
日本人にとって柿は、
正月のお飾りに使うほど生活に密着したものでしたが、
今では必要な時だけ「おカネを出して買うモノ」となったようです。