「雨ニモケズ」とつぶやいて、これは関西弁、
なのに、
「東海の小島の磯の白砂に」とうたい出すと、
こっちは標準語のイントネーションになってる、と気づいて、
「これはナンデや」と我ながらおかしくなる。
標準語なら、
「あめ」の“あ”にアクセントが行くところ、
関西弁では“め”の方が音程もあがるし、強くもなる。
処が、「トーカイノ」と歌い出すと、不思議と標準語になる。
そんなことを考えながら歩いていると、突然、
そう云えば、長いことタコ焼きを食べてないなぁと気づく。
今歩いている丁度、その辺りに、
昔お婆さんのやってるお好み焼き屋があって、タコ焼きをよく食べたからである。
テレビによれば、
大阪の人ならどこの家にもタコ焼きの鉄板があるそうだが、
私の家には無いし、
私の親戚や友達の家で、
家でタコ焼きを焼くと聞いたことは一度も無い。
私が長いことタコ焼きを食べてないのは、
鉄板が無いからではなく
家の近所にタコ焼き屋がなくなったからである。
今は、タコ焼きは大阪の繁華街のシャレた店で、
自分たちで焼きながら食べるのが流行りだと、いつぞやテレビで言っていた。
今やタコ焼きは、
お金のある独身貴族や観光客が食べるための、高価でトレンディな大阪名物のグルメなのだそうだ。
私の若いころに食べたタコ焼きは、
近所のオバチャンが軒先で内職代わりに焼いていたもので、一舟百円もしなかった。
店の横の電信柱にもたれながら、
別にうまいとも思わず「腹の足し」ぐらいの感覚で食べていたと思う。
処が、今や、
「タコ焼き」や「串カツ」は大阪城と並ぶ大阪名物なのだとこれもテレビが言っていた。
「ホンマかいなァ」、
テレビはちょいちょいウソをつきよるからなぁ。