漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

誰か故郷を想わざる

2016年07月30日 | はやり歌 文芸 漫画
先日、「五木ひろしinブラジル」と云う歌番組をやってましてね、
去年行われたブラジル公演のワンマンショーライブです。

二千人入る大劇場に満員のお客さん、
オープニング曲は「誰か故郷を想わざる」です。

古賀政男作曲の前奏がいいですね、
この人は曲も勿論いいけど、前奏が素晴らしい。

五木さん、実は34年前にもブラジル公演に来ていて、
その時の感激をもう一度、と、この公演を企画したそうです。

34年前ともなれば、
裸一貫でブラジルに来て、苦労した日系人一世も多かったんでしょうね、客席に。

この歌が昭和15年(1940)ですから、
そのころに20代で来た人が、五木さんの公演に来た頃は70歳ぐらい。

♪♪ 
 みんなで肩を組みながら
           歌をうたった帰り道、

幼なじみのあの声あの顔、あ~あぁ~
     たれかこきょう~ぉをおもぉわぁざぁ~る・・・・・・

そりゃあ、涙の大合唱になりますよね。

この歌は、
「帰りたくとも帰れない故郷を思う」からこそ身に染みるんです。

この歌のできた昭和15年は日中戦争のころっですね。

満州あたりへ行かされた兵隊さんが夜、
毛布にくるまりながらこの歌を口ずさんだら、さぞ切なかったでしょうね。

また、高度成長の頃は、
中学を出て故郷を後にした人たちが、都会で働く時代だった

あの頃は、
下積み労働者の半分以上がそういう人たちだったのじゃないかなぁ。

当時は、給料は安いし、休みはないわで、
東北や九州出身者と云えども簡単には帰省できなかった。

そういう人たちが聞き覚え、
口ずさんでこそ、歌は力を持つのだと思います。

少し前のこと、
やはりテレビでクラシックを学ぶ若い人たちが歌ってたんです、この歌を。

歌はうまいんです、
リズムは勿論、音程も正確だし、声も素晴らしい。

でも、そんなに心に響かない。

そりゃそうですよね、

東京で生まれて英才教育を受けながら育ち、
東京の音大へ自宅から通ってたら、望郷の思いなんて身に沁みませんよね。

でも、そう云う人が増えて、
この歌が、普通の歌になると云うことは、きっと喜ぶべきことなんでしょうね。









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