漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

臭覚は人、嗅覚は犬

2009年01月29日 | 言葉遊び
大阪城公園で、
「早咲きの梅が咲いた」とのニュース、

その映像は、
こちらに匂いまで伝わってきそうな満開だった。

「ええかざがするやろな」と思わず独り言。

「ええ」は「良い」の意、
「かざ」は「匂い」のこと、

漢字で書けば、「ええ香がするやろな」となる。

このごろはめったに使わなくなったが、
この「香(かざ)」と云う言葉
実は、相当に古い言葉のようで、辞書には、御伽草子の用例が出ている。

面白いもので、
「臭」と書くと悪臭を想像し、
「匂」と書けば、焼き鳥やヤキソバの匂いを想像してしまうのに、

「香」と書くと、梅のように花の香りが思い浮かぶ。

辞書にも、
「かおり」が快い刺激についていうのに対し、
「におい」は快・不快両方についていう。
 不快な場合の漢字表記は多くは「臭い」を使用する、

とあるから、元々そう云うものらしい。

白川静氏の「字解」によれば、
「臭」の上の部分、「自」は鼻の象形文字。
 その下に嗅覚の鋭い犬を付けて、臭いの意味とした」とある。 

今の文字が、
「犬」でなく「大」となっているのは、
戦後、政府と学者によって当用漢字を選ぶ際、
意味も無く変えたもので、
これでは「大きな鼻」となり、文字本来の意味を成していない、と手厳しい。

不思議なのは、
最近、追加された常用漢字表には、
嗅覚の「嗅」の字が入っているのですが、
こちらは、「大」でなく「犬」が古形のまま使われている。

同じく「字解」によれば、
「大」は人が手足を広げた形、とあるから、

本来、同じ意味の二つの言葉、

「臭覚」は、人が臭い、
「嗅覚」の方は、犬が嗅ぐ、と云うようなおかしなことに・・・。

老い先短い身には、どうでもいいが、
これから漢字を覚えようとする若い人には煩わしく無益なことだと思う。

それとも、案外、
生徒を悩ますのが大好き、と云うような、サドっ気のある教師が喜ぶかな。(笑)





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