漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

○キツネとカニ

2012年03月28日 | ものがたり
 
 ○キツネとカニ

むかしむかしある処で、キツネとカニとが出会いました。

「どうだい、カニ君、
 ひとつボクと駆けっこをしないかい」

「いいよ、どこまでだい」

「じゃぁ丘の上にあるあの一本杉まで競争することにしようか、
 では、よーいドン」

そう云うとキツネは後も見ず、
サッと走り出しましたが、
そのときすでにカニは、ハサミを一振り、キツネの尻尾の先をはさんでいました。

キツネが一生懸命走って一本杉に着き、

「どうだい速いだろう」と得意顔で、
後をふり向きましたが、その時、カニは尻尾から離れました。

カニの姿が見あたず、
キョロキョロしているキツネにカニが声をかけました。

「キツネ君キツネ君、遅かったじゃないか、
 ボクはとっくに着いて、さっきからここで待って居たんだよ」と。

カニより遅いキツネは恥しくなって森の中へと逃げていきました、とさ。










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