漫筆日記・「噂と樽」

寝言のような、アクビのような・・・

ニッキ水の向こう側

2019年03月27日 | せけんばなし
私の子どものころ、
同級生にいつも木の皮をかじってるヤツがいましてね。

休み時間、
ポケットから取り出しては かじっている。

「なんやねん、ソレ」と聞いたら、

「食うか」と渡してくれた。

噛んだら、
苦いような辛いような・・・変な味。

うまくもないが、
やがてヒリッとしてきた、

こちらがヘンな顔をしてると、

そいつがニヤッと笑ってひと言、

「ニッキや」。

ああ、そう云えば、
駄菓子屋にあるニッキ水の感じと同じ。

それがニッキが木の皮であると知った最初。

いまじゃ、
ニッキと云っても分かるまいが、

シナモンと云えばどなたもご存知かな。

ニッキ水と云うのは、
山村の何でも屋にあった薄いガラス瓶入りの飲み物。

砂糖だかサッカリンだか知らないが、
甘味が付けてあり飲むと、ヒリッと刺激がある。

たいして美味いもんではないが、
なにしろ、赤や青、黄色と色が鮮やか、

いまなら毒々しいと思う処だが、
子供ですからネ、

その色に釣られて、
五円や十円といった貴重な小遣いをはたいてしまう。

このガラス瓶が粗悪でね、
チョッと雑に置いたらピンと割れてしまう。

そのガラス片でケガしたことも何度か。

小遣いを無駄にして
もう買うまいと思うんだけど、

店先でまた、
赤、青、黄のガラス瓶がキラキラしてるのを見ると

ついつい・・・。(笑)

あれは悪女の深情け、と云うヤツですね。(笑)


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【悪女の深情】

 醜い女のほうが美人に比べて情が深いということ。
 また、ありがた迷惑のたとえ。





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