ままりんの子連れ旅じたく baby編

“子連れバックパッカー”を夢見る母さんの、子どもといっしょにお出かけ&旅行記。子連れ外出に役立つ情報も満載!

ベトナム・水上マーケット ~番外編~

2008-01-30 | 世界で出会った子どもたち
         

カイラン水上マーケットがおもしろかったのは、もうひとつ、
ここが“ベトナム経済の縮図”というか、
ここから“ベトナムのいま”が透けて見えてくるようだったから。

昨日、3人のガイドにお世話になったと書いたけど、
うち1人が、ドクという国営系旅行会社のガイド。
彼に聞いた、水上マーケットや住民の暮らしの話は、とても興味深かった。

ドクは英語はもちろん、日本語もかなりペラペラ。
ベトナムの歴史や経済に精通し、こちらのどんな質問にもくわしく答えてくれる
これぞプロフェッショナル!といった、実に優秀な人物。

今日は余談で、ベトナム経済について見たこと聞いたことを書いてみようと思う。
(9年前の話なので、数値など現在と異なる部分はあることをご了承ください)

さて、カントーにはカイランをはじめ3つの水上マーケットがある。
カイランには500~1000人ほどの人が集まり、そのうち半分ほどが水上で暮らしているそうだ。

ベトナムといえば「バイク!」を連想するくらいオートバイが普及しているが、
陸上交通手段が発達したら、いずれ水上マーケットも消えてしまうの…?

バイクや車も増えたけどガソリンも高いし、燃料費の安いボートは、
 庶民にとってまだまだ生活の足。
 それに、水上のボートハウスに住めば、税金を払わなくてすむから、
 水上生活者は当分減ることはないだろうね
」とドク。

陸で小さな家を1軒建てれば$150くらい、プラス住民税を払わなくちゃいけないけど、
水上ならTax Free! 小ボートなら$20くらいから買えるらしいし。

昔は小さなボートばかりだったけど、ここ90年代前半から急激に経済が成長し、
第2話でも書いたファーンヤッさん一家のように、大きなボートに住む
豊かな水上生活者が増えたそうだ。

それって昔、「地理」の授業で習った、“ドイモイ”の影響 !?

私は社会の中で地理の授業がいちばん好きだった。
なんせ、地図を眺めてると幸せになってくるくらい。
旅してて楽しいのは、昔いっしょうけんめい覚えた国や町を実際に訪れたり
「ここは稲作地帯」「金の産地」「熱帯雨林気候」とか、机の上で学んだ想像の世界を
目の当たりにして、肌で体得できる瞬間があるから。

そして私は、この“ドイモイ”というミョーにかわいい響き(?)が印象的な、
ベトナムの経済政策のことを思い出していた。
ちなみにドイモイとは、日本語でいえば「刷新」という意味。
1986年に社会主義から市場経済システムが導入され、国外にも開放されたため、
外国の資本も入りやすくなった。

90年代に入って、ドイモイは功を奏し、
ベトナムのGDP成長率は10%近くと、急激に経済成長を遂げる。
そのころ日本でも、空前のベトナムブーム到来!
雑誌がこぞってベトナムをとりあげ、女性誌ではベトナムの旅や雑貨なんかの特集も増えた。

そのドイモイのあと、水上マーケットはどう変わったの?
人々の暮らしは豊かになったの?

ドイモイの前は、商売を始めるのに政府の許可をとったり時間がかかったけど、
 今はお金を払えば、かんたんに始められるようになったね。
 だから水上マーケットで商売がしやすくなり、どんどん規模も大きくなっていった

たとえば小さいボートだと、1日2000ドン(約20円)払えば店が出せるそう。

ドクによると、「90年前半から、ここでのライフスタイルも大きく変わった」とのこと。

まず、昼間でも電気がつくようになった。
日本、中国、韓国などから、電化製品も手に入るようになった。
物価も上がったが、収入もそれなりに増えた。(逆に、経済格差も広がったらしいが…)

ドイモイの効果は大都市部だけでなく、ここカイランマーケットにも現れてきているんだ…
たしかに、私もその勢いを肌で感じることができる。

あれから10年近く経つ。
今はどんな感じなんだろう。人々の生活はさらに豊かになったのかな。
ボートの家にはどういうものが入ってきてるんだろう?
たぶんケータイはあるだろうな。ゲーム機とか? パソコンは?

それをいま、確認しに行かれないのが残念だけど…

いろいろ調べてみると、ベトナムのGDP成長率は90年代後半には落ち込んだものの、
2000年代に入ってまた復活し、ここ何年か平均7%付近と横ばい。
急成長というわけではないが、かといって成長が止まったというわけでもなく、
堅調に保っている”といった感じのよう。
(ちなみに“すごい成長!”の目安はGDP10%超のよう。
 日本は高度成長期に12%台!を記録したが、今は2%前後。どうなる、ニッポンの未来!?)

もしかしたら水上マーケットも、9年前のままの風景が続いているのかもしれない。
人々の暮らしは、多少の変化もあるかもしれないけど、
昔とそれほど変わってないような気もする。
(誰か知っていたら、ぜひ今のようすを教えていただきたいくらい)

活気にあふれ、でもおだやかに、メコンの流れのように…
そんな水上マーケットに、いつかまた帰る日を夢見て…
                                              おわり



にほんブログ村 旅行ブログへ 堅苦しいハナシにお付き合いいただきありがとうございました。
             ベトナム編に引きつづき、今後もクリック応援お願いします