比企の丘

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「三陸海岸大津波」を読む

2011-06-10 | 2011東日本大震災
吉村 昭著[三陸海岸 大津波
・・・原題「海の壁ー三陸沿岸大津波」1970年中公新書、
・・・「三陸海岸大津波」1984年中公文庫、2004年文春文庫)

①明治39年の津波、②昭和8年の津波、③チリ地震津波・・・3つの章から構成されています。

キワモノ出版ではありません。今から41年前に出された本です。新書からさらに一般の人に読んでもらうため27年前に文庫本に。7年前に再販。文庫本438円、図書館にもあるでしょう。1時間もあれば読めます。読んでみてください。

吉村昭(1927~2006年)・・・「戦艦武蔵」「陸奥爆沈」「零式戦闘機」など、戦記ではなく戦争記録文学、ノンフィクションの分野に入るでしょうか。調査と取材と検証、主観的な感情表現のない事実のみを追う独特のスタイル。解釈は読者に委ねるというスタンスです。

本書では岩手県田老(現宮古市)の津波のことが多く取材されています。
その田老町の全長2433m、高さ10.7mの世界一の防潮堤も津波は乗り越え破壊して莫大な被害を与えたようです。

TUNAMI」は世界語になっています。
記録によれば830年以降、東北地方にはM7.0以上の地震が51回数えられるそうです。23年に1回の割合です。
三陸海岸の近代に入っての大きな津波の歴史。
1896年明治三陸地震、M7.6、津波の高さ最大38m。
1933年昭和三陸地震、M8.3、津波の高さ最大28m。
1960年チリ地震の津波被害。津波の高さ最大6.3m。

地震、津波、水害・・・自然現象です。予知できるとか完全な対策ができるとかは人間の思い上がりかもしれません。

ただ原発と地震、津波の関係、予知したり、完全な対策を立てて備えないと亡国になります。
そのことを推進してきた政・財・官、容認してきたマスコミ、受け入れてきた地方公共団体、国民も沈黙を守っています。声を上げてきた少数の人がいますが。


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2 コメント

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Unknown (こきおばさん)
2011-06-11 18:10:20
この本、読んでみようと思います。1896年三陸にすでに38メートルの津波が押し寄せていたのですね。

村上春樹さんが、日本は原発を持つべきではなかったと言ったそうですね。ヒロシマ・福島から、学ばないとこの国は滅んでしまいますね。
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この小説は (こきおばさんへ・・・)
2011-06-11 22:12:04
綿密な調査からなっています。
難しい本じゃありませんが物語じゃありませんから面白みにかけます。流し読みでもいいです。今から40年前にこんな警告の本が出されていたなんて。
三陸の人たちは防災訓練も怠らなかったはずです。油断ではありません。でも起きてしまいました。
でも多くの人々の犠牲がありましたが自然さえあれば再起できます。

人災のほうは油断というより神を恐れぬ業です。自然が壊れたかもしれません。再起が危ぶまれます。広島・長崎・第5福竜丸・東海原発臨界事故、柏崎原発中越地震事故・・同じ轍を踏んでいます。
日本の原発は自民党50年体制で1955年中曽根氏提案の法律から始まっています。
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