トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

何度でも行きたい世界のトイレ

2017-01-23 21:40:04 | 読書/ノンフィクション

 行き付けの図書館の新刊コーナーに置かれていた『何度でも行きたい世界のトイレ』(ロンリー・プラネット編、中島由華訳、河出書房新社)を、先日借りて見た。世界各地のトイレを写した解説付き写真集であり、トップ画像はその表紙。2頁には「究極のトイレガイドをお届けします」の見出しで、本のコンセプトをこう結んでいる。
この本では、絶景を一望できるトイレ、市街地に設けられた、人目を引く斬新なトイレ、険しい山の頂から砂塵の舞う砂漠までの様々な自然環境につくられた木と石のエコトイレなど、世界各地の面白いトイレをたっぷりと紹介する。この本をどこで読んで下さるのであれ、読者の皆さんに、快適に用を足せる場所が見つかりますように

 河北新報では毎週日曜日、「東北の本棚」という新刊レビューのコラムが載っており、昨年10月9日付でこの本が紹介されている。この日の「東北の本棚」を引用したブログ記事もあった。「東北の本棚」で紹介される新刊はレビューを見ただけで、この地方紙の左派姿勢がモロに表れている書物が多く、コラムで紹介された新刊はこれまでまず見たことはなかったが、この写真集は良かった。
 尤も本末にある翻訳者の略歴には、『グアンタナモ収容所、地獄からの手記』(スラヒ著)『ポジティブ病の国、アメリカ』(エーレンライク著)『スーパーリッチとスーパープアの国、アメリカ』(同)等から、中島氏のスタンスも伺えよう。

 朝日新聞電子版にも14の画像と共にこの本が紹介されており、本当に世界各地には様々なトイレがあることが判る。表紙に使われたのはエコトイレ(ブリティッシュコロンビア州/カナダ)。周囲の自然環境は素晴らしくとも排泄行為丸見えトイレでは、用を足すのを躊躇う人もいるだろう。特に女性には敬遠されるかも。
 もちろん日本の温水洗浄便座もハイテクトイレとして掲載されているが(22頁)、次頁で東京のジョイポリスの「トイレッツ」には驚いた。ゲームの出来る小便器まであり、小水を的に当ててプレイするのだ。そんな小便器があったことを初めて知った。



 この写真集で一番印象的だったのが、中韓のトイレ。上の画像はトイレの滝(仏山市/中国)。46頁にはこう説明されている。
大量の便器、小便器、洗面台からなるこの奇想天外な滝は、陶磁器の産地として知られる仏山市の石湾公園に展示されている、幅100メートル以上、高さ5メートルの野外アート作品だ。中国人芸術家の舒勇の作品で、売り物にならないB級品や中古品を集めてつくられた
 アートとしては奇抜で斬新だし、日本人にはまず出来ない発想だろう。但し、流水が小水に見えてくる人もいたはずで、キレイな滝には全く感じられない。試に「トイレの滝(仏山市/中国)」で検索したら、レコード・チャイナには本国でも賛否両論があることが載っていた。 

 極めつけは解憂斎(ヘウジェ、別名ミスター・トイレット・ハウス)水原市/韓国。以下は100頁の解説。
韓国の水原市には、なんとトイレのテーマパークがある便器の形をした博物館と、その周囲に設けられたおかしなアトラクションからなる施設だ。博物館の建物は、元水原市長で、発展途上国の衛生の向上を目的とする世界トイレ協会の設立者である沈載徳(シム・ジェドク)氏の自宅だった。彼はミスター・トイレットのニックネームで呼ばれた



 便器の形をした博物館兼自宅というのも驚くが、101頁には博物館の側に置かれたオブジェの写真が掲載され、上の画像がそう。この頁での説明はこうある。
「沈載徳氏は貧しい祖母の家の野外トイレで生まれた。2002年のサッカー日韓ワールドカップの時サッカーファンのために、清潔なトイレを普及させたことで有名になった。残念ながら2009年に亡くなり(ちなみに、その場所はトイレではなかったそうである)、トイレをオブジェ化する自身の努力の成果を見とどけられなかった」

 金色の大便のオブジェだけで唖然とさせられたが、この写真は本の裏表紙に使われている。世界広しといえども、この類のオブジェを制作、公共の場で堂々と晒すのは韓国くらいではないか?特亜ネトウヨにはやたら「ウ○コ」「ウ○チ」の言葉を連発する者もいるが、よほど排泄物への執着が強いようだ。
 それにしても、2002年に至っても韓国では、清潔なトイレが普及していなかった??これだけでも韓国人の不潔性が知れる。この方面ではインドと同レベルかも。

 本の冒頭文にある通り、「トイレを見ればその土地の色々なことが分ってくる」。台湾の太魯閣国立公園にも「滝のトイレ」(87頁)があり、出発点にあるトイレには自然の滝の水が活用され、こちらは自然の中に溶け込んで美しかった。説明がなければ日本の何処かのトイレと思っただろう。
 アメリカやカナダを除き、この写真集で最も紹介が多かったのがニュージーランド。実に6か所のトイレの写真が掲載されている。大自然を見渡せるものや、SF映画に出てきそうな型もあった。一方、隣国オーストラリアは3か所。本で見る世界トイレ紀行は興味深いが、洗練され品がよいデザインの多い欧米のトイレと違い、途上国のそれは1度でも行きたいとは思わないものばかりだった。

よろしかったら、クリックお願いします
人気ブログランキングへ   にほんブログ村 歴史ブログへ



最新の画像もっと見る