雅藍(がお)っぽさまるだし2。

芝居やゲームやWWEや映画やライブを糧に人生を何とか過ごしてる、そんな雅藍(がお)さんの日々をまるだし。

LIVE EARTH at東寺:この場に立ち会えたこと自体に価値がある。

2007年07月07日 | それでもナントカ生きてます(日記)
4年ぶりの新幹線。


10年ぶりの京都上陸。


そして、
14年ぶりの、YELLOW MAGIC ORCHESTRA。

数ヶ月前、横浜で既に3人の演奏はされていたけど
(さらに言うなら「3人が一緒に演奏」というのは以前も何度かあったけど)、
「YMO」の名を持って一堂に会するのは、
この京都・東寺のライブが、1993年の「再生」以降、初めて(のはず)。

だからこそ、みんなこの場所に集まって、みんな期待しているのだ。
彼らがどんなことをするのか。
この「LIVE EARTH」という、
特別なイベントでの再始動だからこそ、みんな何かあるのではと、
期待していたのだ。

勿論、私もそのひとりであり。


昨日の夜遊びから4時間弱。
中途半端な眠りから目が覚め、身支度を整え、
12時の新幹線に乗って京都へ。

以前、大阪に同じようにライブを見に行ったときは予算の都合もあって、
完全な突貫ツアーで、夜は夜行バスで帰るという強行スケジュールで、
非常につらかった覚えがあって。

もう二度と夜行バスには乗らん!と誓って、
今回はホテルも予約し、行き帰りは新幹線と、
1ヶ月前のチケットが確保出来た段階から、準備は万全で望む。

それでも前日の夜遊びの影響で、新幹線からの風景を堪能することなく、
社内で爆睡し、気がついたら京都駅。

ホテルにたどり着いた時点でかなり疲労してはいたのだが。

今回泊まった「サンルート京都」はシティホテルだったのだが、
その中でも上位のホテルだったと思う。
鴨川がすぐ近くで、フロントの対応もよく、
ホテルの都合で何故かツインに1人泊まり。広々と贅沢に使わせてもらう。

1時間の休憩の後、バスで京都駅に戻り、今度は駅の反対側へ。
京都駅から程近い場所にある、東寺には歩いて向かうと、
開場40分前から既に入場待ちの列が。

開場30分前から整理番号順の列を構成しはじめたのだが、
整理番号表示から推測して、全体で5000人もいないだろう。
そう考えるとかなりレアなライブで、あっという間に売り切れになったのも
よく判る。
私と同じように、関西外からはるばるやってきたものも多かったみたいだ。

開場が若干遅れたものの、自由席が2700席ぐらいあるわりには、
結構スムーズに入場が出来た。
ちなみに私の整理番号は1800番半ば。
だから席で言えば結構後方になってしまったが、真ん中辺りを何とかキープ。

ただし、もうちょっと横でも良かったかもと、あとで後悔するのだが…。


7時5分頃、開演。
オープニングはRIP SLYME。
噂には聞いてたけど、タイミング外して今までちゃんと聞いたことがなかった、
この「HIP HOPモンスター」。

流石です。

今回は約2時間強で5組のアーティストという構成なので、
必然的に1アーティスト20分程度、4-5曲が精一杯ではあるのだけど、
盛り上げ方をきちんと知っているアーティストが最初に来るのはいいね。

お客の反応は正直微妙だったけど、ソレはRIPの所為じゃない。
むしろこのようなライブに慣れていない、
「完全にYMOだけが目的」な奴らが多かったのだからしょうがない。

個人的には最初から結構楽しかった。
今回は金堂の前に特設ステージが立てられたので、
ステージの後ろには金堂、そして扉が開かれた奥に薬師三尊像がライトアップ。
その前でHIP HOPを奏でる5人組。

実にシュールで面白い、こんな機会じゃないと体験できない光景。
それだけでもう満足し始めていた私。


2組目はUA。
こちらはギター一本(音はギターだけじゃなかったけど)で、
UAの母の故郷・奄美大島の言葉を使った歌を歌い上げる。
コレがまた背景に、そしてこのライブのコンセプトに実に合う。
しっとりと。

この人は母親になってから、確かに曲の感じが変わった。
包み込むような、慈しむような。


3組目はBONNIE PINK。
個人的にはBONNIEの参加はちょっと嬉しかった。

今回はライブの雰囲気に合わせて、ノリのいい曲は避けて、
ピアノとギターがメインの構成。
特に「Heaven's Kitchen」が非常によかった。

昨年のヒット曲「A Perfect Sky」のイメージが強かった私としては、
この「Heaven's Kitchen」と、新曲「Water Me」は収穫だったかも。


さて、近いうちにRIPとBONNIEのCDを探しに行くか。


4人目、マイケル・ナイマン。


…えーと。

すいません、ここだけ半分気絶してました。
それだけ気持ちよかったということでもあったのですが。
曲全然知らないし。
完全ピアノソロだったし。

そしてなんだか彼だけ長かったし。
(6曲ぐらいやったんじゃない?)

正直、客の半分ぐらいは痺れを切らしてたね。
次にようやくやってくるという期待感もあって。




8時45分過ぎ。
マイケルが退場して、最後のセットチェンジ。

機材が沢山あるはずだから、チェンジに時間がかかるだろうと思ってたら。

全てがセッティングされている「ミニブース」のようなユニットが3つ、
運ばれてきた。
(これはちょっと感動したね。確かにコレならあっという間にチェンジ完了だし)

もうそこから観客総立ち、拍手喝さい。


だって、良くも悪くもずっとみんな待ち構えていたんだから。



そして、3人がおもむろにブースに。

このときの風景を忘れはしない。
鳥肌が立ったのを憶えている。

元々ライブ用に作られたわけじゃないからステージは見難かったし、
さらにはポジションを間違えて、上手の細野さんは見えにくかったけど。


それでも、この3人が作り上げたモンスターが、
14年の眠りから目を醒めたという事実。


その邂逅だけで、私はここまでやってきた甲斐を十二分に感じていたわけで。


5組目、YELLOW MAGIC ORCHESTRA、
演奏開始。


最初の曲は、横浜でもオープニングを飾った「以心電信」。
まさにこのライブに相応しい逸曲(いっきょく)。

地球を救うためには、自分から動かないといけない。
だから、「自分を助けること」からはじめよう。


より優しく、暖かくなったこの曲が、金堂をすり抜けて、
京都の夜空に広がっていく光景は、あまりにも美しすぎて。

ちょっと背負いすぎてしまっていた色んなものを少しだけ、降ろせたような、
そんな気持ちよさに包まれて、あっという間に曲が終わってしまう。

2曲目は完全新曲の「Rescue」。
そしてこの曲での3人の名義は「HASYMO」。

この名義自体が、実に3人らしいけど、
そして実は今回の再開が長く続くのではないかと思わせる、
ちょっと小粋なネーミングタイトルではありませんか?!

イメージ的には「再生YMO」の延長…というか、やり直しを感じる一曲。

このあと、高橋幸宏がドラムセットに移り、観客からはまた盛大な拍手が。
やはりこのポジションがYMOらしいと思うのは、私だけではないようだ。

3曲目は「War&Peace」。
この曲のみ、坂本龍一のアルバム「CHASM」からのナンバー。
横浜でもやったらしいのだが、この曲こそ今回のライブに相応しい。

様々な人が畳み掛けるように、アート・リンゼイの生み出した「反戦」の
イメージテーマを語りかけ、それが言葉と歌の間を漂い、
そして柔らかな曲が彩る、Chasmの中でも名曲の一つ。

これを3人が奏でると、幸宏さんのドラムがはっきりとリズムを刻み、
細野晴臣さんのベースが染み込むように伝わる。
より曲の持つイメージとテーマと言葉が心に刻み込まれるような錯覚を、
感じずにはいられない。
そしてそれが仏教の教えにも繋がるような。

私にとっては、全4曲中、この曲が最も素晴らしかった。


そして最後の曲は、勿論。
「RYDEEN 79/07」
この曲がないと、07年のYMOは語れない。



21世紀になって、1980年のあの頃に我々が想像して、
いや、YMOたちによって想像させられたような世界にはなっていなくて。

もっとエッジでソリッドで、力強く生きていける世界を夢見ていたのに、
実際にはダルでナーバスで、生きていくこと自体が難しい世界になっていて。

だけど、それでも30年近くも経過して、
RYDEENの生まれた当時小学生だった私は、
なんだか何も変わらないままで、色んなことを詰め込まれて30代半ばを
こうやって生きている。

だけど、そんな21世紀という風景にも慣れてきた2007年。
もっと優しく、もっといとしく、世界と対峙していいのかもしれない。


そんなこと考えながら音に浸った、5分間。



アンコールもなく、ライブはあっさり終わり。
観客の6-7割ぐらいは不満を持ってしまったライブだったかもしれない。


でも、それは求めすぎだと思う。
だって最初から「こういうライブなんだ」って知らされていたんだから。
多分だからこそ、3人は「YMO」という名前で、参加したんだ。


そしてもう一つ感じた収穫。ソレは、先にも述べたように、
多分、今度のYMOは意外と長く続くかもしれない。
そんなことを感じれたことである。

時代に追われて疲れ果て、短く終わらせた最初のYMO。
余計なものが多すぎて疲れ果て、あっという間に終了した再生YMO。

だけど今回のYMO、いや、「HASYMO」は、
そんな「焦燥感」を感じることがなかった。
おそらく今一番YMOを楽しんでいるのがあの3人、
細野晴臣・高橋幸宏・坂本龍一達なんじゃないかと。

根拠はないけど、これからもしばらくの間は、
ゆるくくっついたり離れたりしながら、
「黄色魔術楽団」の活動は、続いているんだかいないんだか、
本人達もあまり気にしない感じで進んでいくんだろう。


だから、コレでいいと思った。
私は満足できた。

今日が物足りなくても、次があれば次に満足すればいいのだから。


私は、YMOと、YMOファンと一緒に、この空間を共有できたことに、
価値を見出せた。
それで万事OK。



一部の観客が演奏中に携帯で写真を撮ったり、ソレが黙認されていたり、
なんとなくマナーの悪さが目に付いたけど。

最後はそんな奴らのことは、なんかどうでもよくなった。

今、自分自身が出来ることをやっていって、
その先にはまたYMOとの邂逅が待っている。
そんな確信を噛み締めながら、
ホテルまでの道のりを気持ちよく歩いていった、七夕の夜でした。

【本日飯の記録】
昼:駅弁で「牛タン弁当」。
  …なんで仙台名物?
  でもひもを引っ張ると一気にあったまるって言う仕組みの弁当で、
  そのおかげで非常に美味かったっす。
夜:ホテル近くの弁当屋で買った「ミックスフライ弁当」。
  …10時過ぎると、一人で気軽に入れるお店が周りに全然なくて…。
  京都の夜は意外に早く終わるものらしいです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする