「じっくり観ると丸一日かかる」という話を耳にしていたので、丸一日空けられる日を待っていたら、開催期間も残りわずかに。ようやく行けそうな目途が立ったら、なんと日時指定ネット前売り券が完売(販売終了)に。最終日前日まで売ってるものだとばかり思ってました。
その一方で、思うところあって、行こうか行くまいか迷っていたのも、正直なところで。でも、やっぱり行っておかないと後悔しそうな気がしたので、満を持して本日、東京都現代美術館へ。
事前情報として、当日券を買うのに60~120分、買った後に入場まで30~60分ほどという話だったので、文庫本をもってオープン時間の10時に会場に到着。既に大勢の人が当日券売場に並んでいて、予想通りに120分待ち。チケットを買って、ここで一旦トイレに行ったり、館内グッズショップを軽く見たりと小休止して、再び入場列に並んで70分でいよいよ入場。ちょうど一冊読めました。
最初から分かっていたことですが、今回の展覧会は、教授が長年に渡っていろんなアーティストとコラボレーションして生み出したアート作品の集大成なので、教授の70年間を振り返ったり、偲んだりといった類のものではなく。
なので、自分の中にある「坂本龍一」という存在と対峙するというよりも、一般的な絵画や空間アートのように作品を楽しむという意味で、それぞれの展示を観て回りました。そうは言っても、まだ体験できていなかった《TIME TIME》(坂本龍一+高谷史郎 2024)や、一度観たいと思っていた《LIFE–fluid, invisible, inaudible…》(坂本龍一+高谷史郎 2007)を堪能できたのは嬉しかったし、以前は正直、あまり意味がわからずに何となく眺めてしまった《async–volume》(坂本龍一+Zakkubalan 2017)を、もう一度体験できたのはよかったな、と。
ただし、噂通りに全然時間が足りず、Ambient Kyoto 2023でじっくりと観た《async–immersion tokyo》(坂本龍一+高谷史郎 2024)と、ICCやソニービルでも体感した《センシング・ストリームズ 2024–不可視、不可聴 (MOT version)》(坂本龍一+真鍋大度 2024)は泣く泣くパスすることに。
こちらは、Ambient Kyoto 2023での《async–immersion tokyo》。
そして会場出口に設置された最後の展示《Music Plays Images X Images Play Music》(坂本龍一×岩井俊雄 1996–97/2024)を観た瞬間……やられました。思いっきり教授を感じてしまった。
楽曲もそうだし、しかも一番好きだった頃の教授の演奏だし、この《MPI×IPM》は、初演の1996年、ネット中継で実際に見ていたし。当時はまだISDNの時代で、でも自分の部屋(寮生活だった)はダイヤルアップだったので、ISDNが使える知人の部屋で、ほとんど動かない(リアルタイムにネットライブ中継を見るなんて、まだまだぜんぜん実用性のない時代でした)映像を食い入るように見てたんです。それを録画したVHS、まだ残ってます。
そんな思いで話は置いといても、MIDIデータに残された教授本人の演奏と、その演奏時の姿を収録した映像をホログラム的に再現した演出で、まさしく「坂本龍一」を感じたし、そうか、教授が作ったアートはそういうことだったのかと、すべての展示が自分の中で消化できた、そんな気持ちになりました。なお、ピアノから飛び出すような背景の光は、演奏データによりリアルタイム生成されています。最後の音が鳴った瞬間、目が開くような感覚になりました。
それともうひとつ、教授を感じたのが《坂本龍一 アーカイブ》。時間があれば、もっとひとつひとつをじっくりと眺めたかった。それでも、大満足。
そして最後、「外から見るだけでいいかな」と思っていた《LIFE–WELL TOKYO》霧の彫刻(坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎)の、この日の最後の回(17時20分)に参加できそうだったので、霧の世界を堪能。結局、18時過ぎまで会場にいました。
やっぱり、行ってよかったです。
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「アートな坂本龍一」は時間が足りないくらいに満喫した反動か、帰宅して日付が変わった3月28日は、深夜に「ポップでお茶目なキョージュ」を満喫することに。まず、これ。
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教授の『Heartbeat』は、あんまり取り上げられないけど、とても好きだし、とにかくこのツアーはすごくカッコよかった。中でも「Tong Poo」のピアノ連弾は歴史的名演。
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僕の中で「キョージュ」と言えば、アレかコレかソレかドレかの中に入る1曲。ボコーダー、特にローランドVP-330は、声の主によって、かなり音色が変わります。キュージュのボコーダーボイスって、本当に魅惑的。
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音色と言えば、キョージュのProphet-5音色でめちゃくちゃ好きな曲のひとつが、アルバム『左うでの夢』収録の「Relâché」。今なら当たり前のサンプリング音(生音)が使われているのが当時は驚きで。そしてそして、幸宏さんのドラムが超カッコよすぎる!!!
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フェアライトCMI(平たく言えば高性能サンプラー)を駆使した現代音楽的なこの曲を、バンド編成でポップに演奏しているのが最高(特にマヌ・カチェのドラムに驚愕)。当時、福岡の天神に徹夜で並んで国際センターのチケットを取ったのがなつかしい。演出もカッコよかった!
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≪BEAUTYツアー≫も大好きなライブのひとつ。当時のカメラの性能の問題だと思うんですが、実際はとてもきれいな映像(スライド)がステージ後方に映し出されていて。それが見れないのが残念ですが、中でも「OKINAWA SONG」が大好きで。グルーヴも、キョージュの表情も。
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まだまだアレコレありますが、そろそろ眠くなってきたので。何だかんだ言って、お三方のわちゃわちゃした雰囲気が、何よりも大好きでした。まさか40年後、「胸キュン」がYMOの代表曲になるなんて、当時は思いもしなかったけど(苦笑)。
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最後に、クールなカッコいい教授を。