とまと日記 2011

最近、映画のイラストばっか。気ままに続けます

06.10.12 Pen 未来の乗り物特集

2006年10月12日 | デザインと僕

penという雑誌が好き。月二冊のペースで出すとは思えないほど毎号面白い特集があって、よく買ってます。
そんなpenの今週の特集は『未来の乗り物はこんなに楽しい』です。

愛・地球博で話題になったトヨタのi-unitやセグウェイのように、次世代感溢れる乗り物がどんどん試作されていています。50年後はこんなの乗っている生活を想像するとワクワクしますよね?
最近でも一昔前まではSFっぽかったデザインの車も、少しずつ市場に出回ってきてます。SF映画のような未来像が本当に現実化しそう。
さすがに空飛ぶ車はまだそうだけれど。。

1960年年に予測した21世紀初頭の科学技術135項目のうち実現したのは4割だったとか。実現しなかった企画の中には、月への拠点となる地球空港などがあったらしいけれど、最新版の”未来の乗りもの年表”には、
・2015年 宇宙ホテル開業。
・2020年 日本でわずかに浮いて走行するエアロトレインが実用化。
・2025年 ロシアが火星に有人着陸。
・同年  太陽系大航海時代の幕開けとして日本から150万km離れたラグランジュポイントに「深宇宙港」を建設。
・2030年 NASAが火星に有人着陸。
・同年 日本の月面長期間滞在が始まる。

とか!NASAがロシアより5年も遅れての火星着陸は謎だけれど、このプラン通りに事が進められたら、僕はまだ44歳。定年記念として月に旅行してくるわぁ、なんてことも出来る訳ですね

(関係ないけれど松本零士のSF漫画は全て繋がっていることで有名。999とかハーロックとか。ヤマトは今まで独立体勢だったんだけれど、どうやらヤマトがでる2200年頃は、宇宙代航海時代の幕開けとして位置付けられているらしい。
ちなみにそのヤマトの著作権問題がありました。
宇宙戦艦ヤマトの基本プロットは、アニメーション会社が作ったものらしい。
元々の原作は漫遊記で、舞台を宇宙に直したあたりからアドバイザーとして松本零士がからんでくるらしい。有名な波動砲も当初からあったもの。無論ネーミングに関しても。え??松本先生、全然関係ないじゃん。)


特集の中には、SF映画にでてくる乗り物のデザインをする人も出て来ています。例えば『マイノリティ・リポート』やめちゃくちゃカッコイイ『バットモービル』やらアルマゲドンやら。そのデザイン画が格好良すぎた。
プロダクトデザイナーの描くスケッチってなんでこんなにカッコイイんだろう?職人技?

そんな影響で、僕も描いてみました。未来のクルマ。そんなにクルマ自体は好きじゃないんだけど。。初めてクルマっぽい絵を描きました。

上はよくわからんけど、クルマっぽいスポーティーな感じ。。。
下はかぼちゃの馬車をモジリアーニしました。。。

結論。
クルマのデザインは見慣れているだけあって、難しい。

06.10.11 アース・ダイバー 著者 中沢新一

2006年10月12日 | レビューと僕

友達と先生が読んでいて、卒業制作の趣旨とも近い論点があって、前から読みたかった本。
そもそも僕は昔の古代遺産とか、そーゆーのが好きなタチだったので。。本日は長文です。

『アース・ダイバー』は中沢新一の東京小旅行記です。優れた旅行記がそうであるように、本書も読者を変態的にも興味深い観点からでも旅気分に浸らせてくれます。

土地にはその土地が備え持つ力がある。 だから忌み嫌われる土地があったり、ここに住むと変になるとか、自殺の名所があったりします。 今は都会であるこの東京という土地も、縄文時代の土地の記憶が脈々と受け継がれている。
そして今の東京は偶然今の形状になったわけではなく、全ては太古の土地風土が決定していた、という趣旨。

そして東京中にその不思議な深淵をのぞき込めるスポットがいくらでも残されているという。皇居、明治神宮、代官山の古墳群、六本木ヒルズ、東京タワー。面白い。
無理なく東京が全く違った都市に見えて来た。。。今度東京に行く時にはこの本を持って出かけよう。

でも途中、中沢新一自体は相当なヘンタイだな、と思わせる箇所が満載です。

あと、先生が押している「洪積層・沖積層」理論ですが、端的にまとめると
洪積層=乾いた土地、高級、財産。
沖積層=湿った土地、情欲、エロ。
という感じ。例えば新宿などは 高地のほうには伊勢丹などの高級デパート群があって、 低地のほうには歌舞伎町の風俗街がある、というような説明です。え??そんな単純な…

そして人って昔から性欲しかないのか、と思わせるほど性のからみ話が多すぎました。ドンビキします。

以下、おもろかったところ。

東京タワー
50年前に朝鮮戦争で使えなくなった米軍戦車が搬入されて、それを解体して東京タワーの鉄として使われた。
もともと東京タワーのある芝公園は、古墳である。 さらに東京大空襲で人が死んだ。 また、東京タワーに行くためにはどの方角から目指しても墓地がある。増上寺や延々と続く地蔵様。。。 そして東京タワーの足下には南極観測隊に置き去りにされたかあわいそうなカラフト犬達の象がたっている。そして中にはマダムタッソー人形館があって拷問やギロチンの風景がある。
東京タワーは電波塔である。もともと昔から電波っていう目に見えない情報は死霊とも考えられていたそうな。
げえ!!なんとも呪われたシャーマン塔!!

東京タワーを立てる上で意識されたのはエッフェル塔であることは言うまでもない。んで、エッフェル塔の方もパリ万博を記念して廃兵院前に作られた。
 
まさしく死霊の大国の地下に、死者に支えられるようにして戦車をつぶした鉄材がつきささる。呪われてますねぇ感100%です。


 秋葉原
秋葉原は「あきはばら」と呼ぶのではなく、『あきばはら』と読むのが正かった。明治の初期に大きな火よけ地よしてつくられ、そこに火防で知られる秋葉権現 (三尺坊とも呼ばれている。身長が1メートルも満たない火をコントロールできる超能力あり。)がまつられたため、秋葉様の原っぱという意味でつけられた。

火は昔、世界を変えるポジティブな意味があたらしい。火事が起きてそれまで裕福だった人達が地震で財産をなくすかたわら、貧乏だった連中が木材の買い付けや建設ラッシュでもうける、といった具合。

戦後に誕生した新興宗教の教祖がラジオ商をいとなんでいた。 ここで「たましい」と「電波」との興味深い関係が示されている。目に見えない空間を飛び交う電子が遠く離れた意味ありげなメッセージを送る事から、しだいに霊的な実存を信ずるようになったのではないか、とのことです。

そんなラジオ商が戦後秋葉原に集って来て、小さな部品やが所狭しと並んできた。そして電子の聖地として今に至る。

ところが電子の築いた内面的空間が次第に想像力や生活様式まで浸透して来ると、それだけで自律をしはじめる。それがオタクとなった。
(ちなみに”オタク”の由来は、80年代の人気アニメ「マクロス」の主役が、人を呼ぶ言い方を”君”や”あなた”ではなく、”お宅”って言っていたことから始まるそうです。そこからアニメファンが使うようになっていつの間にか違う意味になったとか。)

銀座
江戸時代、幕府は職人の工房と生産拠点としての街を作って管理するという計画があった。そのころ職人は座という組合を作って自分達の権利を守ろうとしていた。横のネットワークを作る事で、新参者の勝手を許さないようにするなどをしていた。

銀を吹いたり加工する職人の作る「銀座」があった。 銀職人たちは独特であざやかな婆娑羅な感覚が育っていた。
婆娑羅とは、墓地や処刑所での仕事をしていた人達のこと。
世間が恐れて着ないあでやかな色彩を身につけ人間のきるものとは思えないデザインで人々の目を圧倒した。

死霊の支配する世界に住むと言うのは人間が限りない自由を手に入れるということからきている。 誰も見た事がない色彩やデザインを着るということは自由の心を持っているひとでなければできない。そのためには自由=死に近づいていかなければならない。(青山にファッションブランド拠点がたちならぶのも土地柄に関係している)

金属職人の異様におしゃれな姿はたちまち江戸中にブームとなった。羽織を極端に短く着こなすというもの。裾を極端に長くしてかかとぎりぎりだった。(番長スタイルだ! )
そんな銀座はおだやかな農村感覚ではなく、荒々しくあでやかな金属職人が作ったキレイで造形的な都市として発展して行った。そうい意味でも、「高級さ」の幻想をかき立てやすい条件があった。

ところが明治に大火災にあって、官僚たちが、横浜からの鉄道で降り立った外人のための東京の表玄関にしようと、レンガ作りのモダンな街並をつくる計画があがった。 「高級」さが残る建物や商店が立ち並ぶようになった。


地下鉄
作者は地下鉄乗るとたまらなく興奮するらしい。
地下を走るチューブの中のその周りは地球の熱いドグマの血液が脈打っているのである。 地上にいて、足下を地下鉄が走り抜けて行く振動を感じるたびに東京が性的快感にふるえているかのように思えるんだって。…変態的です。

天皇

歴代天皇たちは皇居の森に行き、ときどき森に身を潜めて何日も籠る。 森の奥に行って、森の霊的なパワーを身につけるのである。平地のくらしているうつに衰えてしまった天皇霊パワーを死霊の領域である深い森に籠る事で復活しようとしていた。実際に皇位継承権をめぐるとにしばしば形成逆転を狙って森に行ったり。特別な時にしかしなかったそうな。 ところが近代天皇は、東京のど真ん中に森を作り、年がら年中そこに住んでいる。
東京のど真ん中が森、という都市もシュールです。
パリなど近代都市は、都市の真ん中に権威の象徴として城がそびえ立つもんなのに、東京は霊的な森!。。


日本人は幽霊が遺伝子レベルから寄り添って好きなんですねぇ。