ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【弾薬】難波先生より

2013-12-31 12:18:39 | 難波紘二先生
【弾薬】南スーダンに派遣されている韓国軍に対して自衛隊が実弾1万発を供与した問題を、例によって韓国政府は「国連に要請したら、たまたま日本製の銃弾が来ただけ」と国民に説明しているようだ。12/24付「朝鮮日報」、「東亜日報」は報じているが「中央日報」はだんまりだ。
 http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/23/2013122304451.html?ent_rank_news


 <昨年から派遣されている韓国部隊は工兵と医務部隊を中心に約280人で構成され、戦闘兵は約70人。道路建設や医療支援などが主な任務のため、重火器を保有していない。
 国連南スーダン派遣団(UNMISS)に参加している韓国軍は予備弾薬を確保するため今月21日(現地時間)、UNMISS本部に銃弾の支援を要請した。
 安倍首相は同日、菅義偉官房長官らを公邸に呼び協議した結果、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づき韓国軍に国連を通じて銃弾を提供する方針を固めた。同法に基づき日本が他国軍に銃弾を提供するのは初めて。

 これにより韓国軍は22日に米国から銃弾の支援を受けたのに続き23日、韓国軍と同じ5.56ミリの口径の小銃を使用している陸上自衛隊から銃弾の支援を受けることが決まった。韓国軍が自衛隊から銃弾の提供を受けるのも初めてとされる。韓国軍関係者は「朝鮮戦争時に日本が米国に弾薬を支援したことはあったが、韓国軍が日本から弾薬の支援を受けるのは初めて」と述べた。

 一方、政府軍と反乱軍との戦闘が拡大している危険地域に派遣された部隊が銃弾を十分に供給されておらず他国に依存せざるを得ないのは軍当局の手落ちだとの指摘も出ている。>
 「第二次朝鮮戦争」に備えて韓国軍=米軍=日本軍の、1)銃弾の口径統一、2)タイムゾーンの日本=韓国の統一(韓国時間を日本に合わせてある)が行われているのは常識ではないか。


 第一次朝鮮戦争の時、李承晩が無理やり強行して設立した韓国軍は、北朝鮮軍の急速な進撃に持ちこたえきれず、首都を占領され朝鮮半島南端の釜山で包囲された。マッカーサーが率いる「国連軍」という名の米軍による仁川逆上陸がなければ、韓国軍と米軍は第二次大戦でダンケルクに追いつめられた英仏連合軍みたいに、北九州に脱出するしか道がなかった。D.ハルバースタムの大作「朝鮮戦争:ザ・コールデスト・ウィンター」(文藝春秋)を読めば、それは明らかだろう。


 出張先で金が足りなくなって、他社の社員から金を借り、「いや町金に頼んだら、たまたまその金が他社の社員が返済した金だっただけだ」と言い訳しているようなものだ。各国とも国際協力で兵を出しているのではない。南スーダンの国家収入の95%が「石油輸出」によることを知っているから、その利権にツバをつけるために「協力」しているだけだ。


 出すのはよいが、恥をかかないようにしろ。ある元自衛官は今回の事件をこう評している。ZAKZAKが報じている。
 http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20131226/frn1312261136001-n1.htm
<航空自衛隊南西航空混成団司令を務めた佐藤守・元空将は「自衛隊と韓国軍は、現場同士の関係は堅密だ。韓国政府の発表は事実をゆがめたもので、部隊長の証言が正しいのだろう」といい、朴政権をこう批判する。
 「そもそも、軍事的な常識から見ると、現場で弾薬不足に陥ること自体が異常だ。前線に赴く際には準備を万端にしていく。ずさんな計画見積もりだったか、想定外の事態があったか…。韓国政府の『予備弾薬のため』という発表は、自国の軍隊の不手際を国際社会に喧伝しているようなもの。韓国軍はメンツまる潰れで、恥の上塗りだ」>


 頁岩からオイル・天然ガスが容易に採れるようになったので、米国が原油輸出を再開するかもしれないという。そうなると、世界市場はアメリカが左右できる。中東の石油をアラブ諸国がコントロールできなくなるだろう。実際に、オクラホマ、テキサス、ニューメキシコなどを廻ると、油井が沢山ある。オクラホマ州なんか、首都オクラホマシティーの州庁舎の庭で石油を掘っている。


 オイルを含む頁岩はロッキー山脈に沢山ある。「燃える石」だ。ただ抽出コストがかさむので、これまで商業ベースにあわなかった。技術革新のおかげで、掘り出さないでも、液状化させて組み上げることができるようになった。アメ車の省エネ化が進めば、本当に「産油国」になれるだろう。


 南スーダンも石油資源に富んだ地域で、スーダンからの独立は宗教対立よりも、この物質的利害関係の方が大きい。石油利権にアフリカ特有の部族紛争がからんだのが、「南スーダン紛争」である。
 ただ内陸国だから、パイプラインはスーダンを経由するしかない。ケニア経由も考えられるが、重力勾配にさからう形になるので難しいだろう。


 スーダンの首都はハルツームで、ナイル川を遡航すると、川はここで、エチオピア高原に発する「青ナイル」とタンザニアのヴィクトリア湖に発し、ウガンダを流れてハルツームで青ナイルと合する「白ナイル」に分かれる。ヘロドトスが「歴史」で「月の山」に発するとした、白ナイルの源流を探り当てるのが、19世紀における東アフリカ探険の主な目的だった。その物語は、アラン・ムーアヘッドが「白ナイル」、「青ナイル」の2冊に克明に描いている。


 ハルツームは「大平天国の乱」の際に、洋式武装した中国兵からなる「常勝軍」を率いたチャールズ・C.ゴードンが「スーダン総督」として、「マハディの反乱」の際に包囲され、英軍による救援が間に合わず、戦死した町である。映画「ハルツーム」では、チャールトン・ヘストンがゴードン将軍を、ローレンス・オリヴィエがマハディを演じていた。


 南部スーダンに石油が出ることがわかった1970年代に始まった内戦、いわゆる「ダルフール紛争」はイスラム住民対キリスト教住民の争いや部族間紛争もあり、やっと2011年に「南スーダン」の独立によって解決したようにみえた。公用語は英語だが、実際の日常生活は部族語で行われているのだろう。
 ディンカ族(38%)、ヌエル族(17%)ザンデ族、バリ族が各10%、他にも少数部族がいる。面積は64.5万平方キロと日本の2倍以上あるが、人口はたった915万人だ。ナイルがルヴェンゾリ山脈(「月の山」)を出たあと、東をエチオピア高原、北西をマラー山系に囲まれた盆地だから、水は豊富で牧畜と農耕には適している。国民の6割がキリスト教徒だから、勤勉を尊ぶピューリタン精神が広がれば、潜在的に発展する能力のある国だ。識字率が27%と低く、何よりも教育が不足している。


 グリフィスが映画「国民の創成」で描いたように、国民意識は部族対立、地方対立により愚かな血を流してはじめて獲得される。アフリカにはまだ国民国家がないから国民意識もない。部族あって国家なしなのである。
 2012年1月には、家畜を盗まれたことへの報復として、対立する村同士の武力衝突が起こり、3000人が死亡している。
 自衛隊を出したり、韓国軍に弾薬を補給したりするのは、幕末に幕府や薩長のどちらかに肩入れするのとあまり変わらない。あれも一種の部族紛争だった。


 同じ援助をするのなら、優秀な若者に奨学金を出して、日本に留学させるという遠大な計を立てた方がよいだろう。間接的に石油利権も手に入る。
メディアもちゃんと調査報道をしてもらいたい。一方だけを支援していると、イスラム側から報復のおそれもある。
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