【ツララの構造】
軒下のツララが日毎に成長して、下の庇(ひさし)につかえると太い氷柱になることを前に書いた。
12/23は地上に落ちて折れたツララが弱い冬の陽ざしを浴びて、溶けかかっているところを観察した。全体が透明になっていて、予想していたように表面にサブユニットがいろいろ認められた。(写真1)
(写真1)
透明になっているので下の芝生や枯葉が透けて見えるが、氷のない部分に比べて大きく見えるので、全体として凸レンズになっているのがわかる。
表面に見られる模様は、六角形と五角形が多く、ちょうどサッカーボールの表面に認められるパターンに似ている。
驚いて花壇の溶けかかった雪を観察したが、やはり無数のサブユニットがある。(写真2)。
(写真2)
遠くから見ると、ザラメ感のある白い雪に見えるが、ズームアップで太陽光の角度を変えて撮影すると、「小さな水晶の集合」のように見える。(写真2)
母屋北側の軒下にはまだ深さ30cmの雪が残っているが、一部は溶け始めている。その地面に接する端っこの部分を調べて見た。(写真3)
(写真3)
上部は白い雪の小さな粒に被われているが、下に行くにつれ粒状性が大きくなり、中央の右寄り、下から1/3のところには、六角柱をした水晶のような氷柱が飛び出している。
古代ギリシア人が、永遠に溶けない氷(クリオ)になぞらえて、水晶を「クリスタル」と呼んだのは、こういう現象を見たからであろうか…。
こうしてみると、降る雪もツララも溶ける雪も、同じように六角形があり、なかに頻度は少ないが五角形や三角形が混じっており、それは雪や氷が形成され時の条件のほんのちょっとした「ゆらぎ」に起因するのであろう。
あらためて中谷宇吉郎『雪』(岩波文庫)の「北海道における雪の結晶の話」(p.79~)を読みなおしてみると、「雪の結晶は極めて種類が多く、従来雪の代表の如くに思われていた六花状の結晶は、実際に降る雪の全量の中ではほんの一部にすぎない」とあった(p.109)。
p.110の第32図にある雪のかたちの種類を見ると、無定形、針状、板状、角柱、三弁状、六弁状、十二弁状といろいろ描かれている。残念ながら彼はこれらの頻度を「多い、中、少ない、稀れ」の4段階で定性的に記録しており、統計数値として示していない。
カナダのベントレーの写真集か何かで、「五軸結晶の雪」を見た記憶があるが、宇吉郎も彼の著書p.95:第14図に五軸の雪のスケッチを掲げていた。
彼はそれを「雪の結晶の奇形的発達」と称している。つまり異常現象というわけだ。
異常現象を扱うのが「病理学」だから、そうなると私の病理学も、生物体や社会の病理学から物理化学現象の病理学にまで広がることになる。
ところで、この岩波文庫には、中谷が撮影した雪の結晶の顕微鏡写真が約40枚、冒頭にプレート(図版)として掲げられている。ところが、その倍率がx7, x8, x9, x11, x12, x13, x17, x22, x23, とバラバラで、最高倍率がx60となっている。
しかしx60で撮影された雪の結晶より、x12で撮影されたものの方が大きく写っている。
一体これはどういうことだろう。なぜ倍率がこんな端数になっているのか。
当時の顕微鏡写真では、倍率はどのようにして決められていたのだろうか?
対物レンズ倍率か、総合倍率か、それとも写真倍率か、そのへんがよく分からないし、記載もされていない。
軒下のツララが日毎に成長して、下の庇(ひさし)につかえると太い氷柱になることを前に書いた。
12/23は地上に落ちて折れたツララが弱い冬の陽ざしを浴びて、溶けかかっているところを観察した。全体が透明になっていて、予想していたように表面にサブユニットがいろいろ認められた。(写真1)

透明になっているので下の芝生や枯葉が透けて見えるが、氷のない部分に比べて大きく見えるので、全体として凸レンズになっているのがわかる。
表面に見られる模様は、六角形と五角形が多く、ちょうどサッカーボールの表面に認められるパターンに似ている。
驚いて花壇の溶けかかった雪を観察したが、やはり無数のサブユニットがある。(写真2)。

遠くから見ると、ザラメ感のある白い雪に見えるが、ズームアップで太陽光の角度を変えて撮影すると、「小さな水晶の集合」のように見える。(写真2)
母屋北側の軒下にはまだ深さ30cmの雪が残っているが、一部は溶け始めている。その地面に接する端っこの部分を調べて見た。(写真3)

上部は白い雪の小さな粒に被われているが、下に行くにつれ粒状性が大きくなり、中央の右寄り、下から1/3のところには、六角柱をした水晶のような氷柱が飛び出している。
古代ギリシア人が、永遠に溶けない氷(クリオ)になぞらえて、水晶を「クリスタル」と呼んだのは、こういう現象を見たからであろうか…。
こうしてみると、降る雪もツララも溶ける雪も、同じように六角形があり、なかに頻度は少ないが五角形や三角形が混じっており、それは雪や氷が形成され時の条件のほんのちょっとした「ゆらぎ」に起因するのであろう。
あらためて中谷宇吉郎『雪』(岩波文庫)の「北海道における雪の結晶の話」(p.79~)を読みなおしてみると、「雪の結晶は極めて種類が多く、従来雪の代表の如くに思われていた六花状の結晶は、実際に降る雪の全量の中ではほんの一部にすぎない」とあった(p.109)。
p.110の第32図にある雪のかたちの種類を見ると、無定形、針状、板状、角柱、三弁状、六弁状、十二弁状といろいろ描かれている。残念ながら彼はこれらの頻度を「多い、中、少ない、稀れ」の4段階で定性的に記録しており、統計数値として示していない。
カナダのベントレーの写真集か何かで、「五軸結晶の雪」を見た記憶があるが、宇吉郎も彼の著書p.95:第14図に五軸の雪のスケッチを掲げていた。
彼はそれを「雪の結晶の奇形的発達」と称している。つまり異常現象というわけだ。
異常現象を扱うのが「病理学」だから、そうなると私の病理学も、生物体や社会の病理学から物理化学現象の病理学にまで広がることになる。
ところで、この岩波文庫には、中谷が撮影した雪の結晶の顕微鏡写真が約40枚、冒頭にプレート(図版)として掲げられている。ところが、その倍率がx7, x8, x9, x11, x12, x13, x17, x22, x23, とバラバラで、最高倍率がx60となっている。
しかしx60で撮影された雪の結晶より、x12で撮影されたものの方が大きく写っている。
一体これはどういうことだろう。なぜ倍率がこんな端数になっているのか。
当時の顕微鏡写真では、倍率はどのようにして決められていたのだろうか?
対物レンズ倍率か、総合倍率か、それとも写真倍率か、そのへんがよく分からないし、記載もされていない。
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