ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【文藝春秋】難波先生より

2013-06-30 19:28:32 | Weblog
【文藝春秋】8月号(7/10発売)に「万波手記」の掲載が決まったようだ。「3校ゲラ」を見ると、三段組みで15ページある。7月号の「30年後の人口激減時代」とほぼ同じページ数だから、編集部の意気込みが分かる。表紙に見出しが載るのではないか。


 「改正臓器移植法」施行からこの7月で丸3年になる。「笛吹けど踊らず」、この前、改正前と改正後の脳死・心停止ドナー数の年次推移を示したように、依然年間100体程度だ。脳死ドナーはやや増えたが、心停止ドナーが減ったからだ。
 メディアが法改正後3年ということで、実情点検に乗り出したようで、「難波塾事務局長」の中河原さんが6/27「読売」に載った「高原史・移植学会理事長」のインタビュー記事を送ってくれた。(添付1)


 写真を見ると、相当、人相が悪くなっている。肩書を見ると「寄付講座教授」と書いてある。「企業との癒着」を暴露されたも同然だ。何しろ降圧剤の薬効を試験する論文のために京都府立医大教授に製薬会社が1億円を寄付していた事件が、表沙汰になったばかりだ。
 高原は1998年の名簿を見ると阪大病院の講師だった。05年に寄付講座ができて教授になり、06年10月に「宇和島腎臓売買」事件が発覚すると、厚労省の先頭に立って、宇和島の病院監査に乗り出したわけだ。07年3月30日には、移植学会理事長の田中紘一をさしおいて、厚労省で記者会見し「市立宇和島病院25例の病腎移植成績は極めて悪い」とウソの発表をした。


 この発表データについては同年4/16「産経」が優れた検証記事を書いている。
 患者予後調査については「カプラン・マイヤー法」という特殊な計算法を用いる。
 東京女子医大の故太田和夫教授が指導者だった頃の腎移植統計は、ある民間統計会社が一貫して作成していた。
 宇和島徳洲会病院が同じ会社に市立宇和島病院25例の予後調査データを渡して計算してもらったところ、「病腎(修復腎)移植」の10年生着率60.4%(25.3%), 10年生存率61%(55.4%)となった。カッコ内が高原発表の数値で、食い違いの原因は、1)市立宇和島の移植学会による患者追跡が不十分で不明例があること、2)不明例を不明になった時点で「死亡」と見なしていること、3)ドナーの年齢(70歳以上が多い)やレシピエントの状態(2回目以後の移植が多い)が考慮されていないこと、4)統計の専門家でなく素人が計算していること、この4点にある。
 コメントを求められたので、「産経」の石塚記者に「こうした条件を加味せず比較して結論を出すのは、科学者のすることではない」と述べておいたら、そのまま記事になった。


 その後、2011/4/30の「医学のあゆみ」が田中紘一企画により「臓器移植の新時代」という特集を組んだ。
 これには腎移植関係では、京都府立医大の吉村了勇、東邦医大の相川厚、女子医大の尾本和也・田邊一成が書いている。寺岡慧も高原史も「およびでない」。
 2011/11に大阪道修町(製薬会社の町)に本社がある「メディカルビュー社」の「Pharma Medica」という雑誌が「臓器移植をめぐる最近の話題:臓器移植法改正後の展開」という特集を組んだ。執筆者を選んだのが東大教授だった肝移植の専門家幕内雅敏(日赤医療センター)さんで、腎移植関係では寺岡慧と相川厚が「病腎移植」反対論を述べ、私が賛成論を述べている。
 地元、大阪大学の高原史には「お座敷がかからなかった」。


 高原の名前がついて英語論文は、2010以後20本あることがPubMedを見れば分かるが、著者名の3番目までのものはない。ラストーオーサーが1本だけだ。阪大泌尿器科の野々村教授の研究室からの論文に名前を載せてもらっているようだ。
 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=Takahara+S.+Kidney
 被引用度を調べればわかるが、いずれも大してインパクトのある論文ではない。


 雑誌特集の企画者と起用執筆者をみれば、企画者が誰をどのように評価しているかがわかる。
 間違っていたら率直に誤るが、高原史が2008年以後に書いた論文で、
 Takahara S., Nakatani T., Yoshida K. et al.: Living unrelated kidney transplantation from a donor with ureteral cancer jeopardized survival of donor and recipient. (尿管がんあるドナーからの生体腎移植はドナーとレシピエントの生命に危険がある)Am J Transplant (2008) 8:2479
 という万波論文への「非難レター」以外に、何かまともなものがあることをご存じの方はぜひお知らせください。


 寄付講座というのは「年間2000万円を5年間」というのが、寄付者(高原の場合は製薬会社)と大学との契約になっている。
 論文が出なくても寄付者が文句をいわないのは、寄付者にそれでもメリットがあるからです。
 昔の相撲には(いまもそうか)、タニマチというのがいたが、まあ似たようなもんでしょう。
 「うちの会社は移植学会の理事長のスポンサーをやっています」と言えるとしたら…


 その高原史が文春の企画を知り、「反論を書かせろ」と息巻いているらしい。いよいよ面白い展開になってきましたな。


 話は変わるが、宇和島では江戸川区の堀内医師夫妻が起こした第二の腎臓売買事件に巻き込まれ、移籍した東京江戸川病院で、2011年11月に生体腎移植を受けた患者が急死したのは、静脈カテーテル抜去時に空気が入ったためではないかと疑われた、松本秀一郎医師はその後、鹿児島徳洲会病院に移った。その後どうしているか気になっていたが、最近の「徳洲新聞」が彼の健在ぶりを伝えている。(添付2)


 このメルマガ読者には、北アフリカのある都市にいる彼の実弟も含まれているから、読めば安心するだろう。どういうわけか今の「徳洲新聞」は最新の記事がネットでは読めない。


 高原史は「日本の生体腎移植は累積2万件以上の実績があるが、これまで死亡事故がなかった。内視鏡手術で2件の死亡事故が発生した」と見え透いたウソを並べている。(上記「読売」記事)
 交通事故死と同じで「手術関連の死亡事故」を「手術場から出るまでの死亡」と定義するか「退院までの死亡」と定義するかで手術関連死の数は異なる。
 2万件の腎移植があれば、少なく見積もっても1%=200件の死亡事故は起きているはずだ。移植学会にきちんとして登録体制ができていないだけだろう。
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