この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#641 高山虚子著 「虚子自選句集」1

2010年01月20日 | 日本文学
私は若いころ、ある程度長い期間俳句に触れていたが、さして俳論を学んだわけではない。また現代俳句に関しての評論をこのんで読んだわけではない。
しかし、私は高山虚子の俳句をスタンダードなものと何となく考えて来た。

俳句を自分なりに学ぼうとしてまず読んだ本は芭蕉の句集であった。世代が違うのでわからないことが多いのは当然であろうが、まず読んで見た。

現代俳句と言っても、私には誰がどうということは全くわからないながら、まず高浜虚子の句集を読んで見た。

虚子というのは私にとってそのようなものであった。

画像に出しているこの本、新潮文庫の高山虚子著 「虚子自選句集」も大学生時代に私が
自分で買った本である。

今読み返して見て、私が何となく教科書的な普通の大家と思っていた高浜虚子の句、および
虚子の人となりが実は大変に魅力のあると感ずる。

虚子に師事した弟子の一人の京極杞陽の「虚子先生の句」という文章の中の一節を読んで、私は虚子という人が好きになった。

その杞陽文章は次のようなものである。

杞陽たち弟子たちが虚子のお伴をして小樽に3日宿泊したときに、最後の夜に、虚子が
「生涯で最も美しいと思ったことを話し合ってみようか。」と言われたというのである。
その時、虚子は75歳。75歳の老体がしかも旅先で提議されたのであるから、杞陽たちにも強い衝動が起らざるをを得なかった。

午前1時になったので、「それではこれで語り明かしたことにしよう。」と虚子がいって席をたたれるまで、皆で語り合った。と杞陽は書いている。

「生涯で最も美しいと思ったこと」皆はどのようなことを語ったのだろうと考えて見た。
る。

私自身にそういう問いを受けたらどう答えるだろう、とも考えて見た。 (つづく)


画像:新潮文庫 高浜虚子著「虚子自選句集」昭和33年8月1日発行




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