この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#718 朝吹真理子さんが芥川賞受賞

2011年01月22日 | 日本文学

 

芥川賞と直木賞の受賞者をTVと新聞が報道していた。

芥川賞では2人受賞でそのうちの一人が朝吹真理子さんであると報道されていた。

 

私は、彼女のことは何も知らない。彼女の作品も読んだことがない。

 

しかし、昨日TVでこの報道があったとき、この朝吹という比較的珍しい姓から、フランス文学者の朝吹登水子女史と関係のある人ではないかと想像した。

そして或いは朝吹登水子女史のお孫さんではないかと一瞬思った。

 

その後の報道で、芥川賞受賞の朝吹真理子さんはあはりフランス文学者として私たちがよく知っている朝吹登水子女史の一族であることがわかった。

登水子女史は真理子さんの大叔母にあたると報道されていた。

登水子女史は、真理子さんのお祖父さんの妹さんということである。

 

そのうちインターネットやTVでだんだんと詳しい情報が報道されるようになった。

 

真理子さんのご父君もフランス文学者で詩人のようであり、ご祖父もフランス文学者のようである。文学者一族という表現を使う報道もあった。

 

いうなれば真理子さんは文学関係者としてのサラブレッドのようである。

 

私は朝吹登水子女子の訳(共訳)のボーボワールの自伝「女ざかり」を昔から持っていて時々この本を開いて見ることがある。

 

この本は上下にわかれている。巻末に上は私が1963年11月15日に買い、下巻は同じ年の12月4日に買ったと書きこまれている。まさに懐かしい本である。

私が大学を卒業して間もなくで会社勤めをしている時である。まだ結婚前の20歳代の時である。

 

私は製造メーカーの工場に勤務していた。機械工業に関係している会社であった。法学部出身の私は自分の機械工業に関する知識が不足していることを痛感していた。通勤可能な大学の工学部の夜間部に入学しようか、それとも工業高校の夜間部に通学しようかと真剣に思ったことがある。

 

結局は、当時中小企業庁の主催している、機械工業の教育コースに夜、1年間通った。機械力学、金属学、計測学等の基礎的な機械工業の知識や、やすり、旋盤、フライス、シェーパーなどの基礎的な実習も受けた。実際に中小企業に勤務する若い人たちと一緒だった。私の勤務していた会社は中小企業という基準からははなれており、私に受講資格があるかどうかが問題だったが私の仕事が機械部品調達ということで中小企業と直接関係しており、私の機械工業の知識の向上は直接中小企業の発展にもつながるというロジックで受講が認められた。

 

朝吹登水子女史他の訳書のこのボーボワールの自伝「女ざかり」を買って読んでいたのもそのころのことである。

 

機械力学や旋盤、フライスなどということと、ボーボワールなどとは直接つながらないが、このような生活をしていた20歳代の自分思い出し懐かしさと微笑ましさとを覚えるのである。

 

まさにとりとめのない、あまり関係のない話でいささか脱線した感があるが、新進の芥川賞作家、朝吹真理子さんがボーボワールの訳者の朝吹登水子女史の一族ということで訳もなく何となく懐かしい思いがしている。

 

新進の芥川賞作家、朝吹真理子さんの今後のご活躍をお祈りしたい。(おわり)

 

 

画像:シモーヌ・ド・ボーボワール ある女の回想「女ざかり」(朝吹登水子、二宮フサ共訳)上、下 、紀伊国書店刊 上 昭和38年5月31日 第1刷発行、昭和38年10月15日第2刷発行(定価480円) 下、昭和38年7月20日第1刷発行、昭和38年10月15日第2刷発行(定価380円)

 


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