この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#640 「日野草城句集」

2010年01月16日 | 日本文学
O氏ご夫妻に影響を受け、私は本棚から俳句に関係した本を取り出して読んでいる。
今、角川文庫の日野草城句集を読んでいる。読んでいるというより、眺めていると言った方が正確かもしれない。

面白い句がある。このような俳句もあるのだと楽しくなる。

夫人の手の冷たかりけりクリスマス

暖房や肩をかくさぬおとめらと

冷房や識らぬ少女と一つ卓に

脱ぎ捨ての羽衣ばかり砂日傘

ラグビーへ自動車(くるま)あやつり来し夫人

佳き人の髪を結はざる避寒かな

夏瘦せの瞳の大いなる女秘書

やはらかきものはくちびる五月闇

妻妾のいずれも春の風邪心地

春の夜の自動拳銃(コルト)夫人の手に狎るる

愛撫の手白く大きく梅雨降らず

をみなとはかかるものかも春の闇

永き日や相触れし手は触れたまま

かりそめに衣たるモデルの夜食かな

勿論、いかにも俳句というような句が多いのであるが、この作者には中には上のような句もあるのである。

この本は私が買ったものではない。父の中から私が取り出していたものである。



画像:角川文庫「日野草城句集」昭和27年10月30日初版発行 全221ページ

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