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この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

# 321 ルソー 「社会契約論」

2006年10月15日 | 宗教 思想 科学
岩波文庫のこの本は50年近く私の本棚に並んでいる。私は大学の3年のときにこれを買った。何のために買ったのかというとちょっと恥ずかしい。大学の3年目、法学部に進学して入ったゼミが憲法の宮沢俊義教授の原書購読であった。ジャン・ジャック・ルソーの「社会契約論」をフランス語で購読するゼミであった。そのときのフランス語の原書も残していたはずなのだが今は見つからない。

私は法学部のまじめな学生ではなかったこともあり、このゼミも精勤ではなかった。今考えると大いに悔やむところである。
(しかし大教室での宮沢教授の日本国憲法の講義はまあまあまじめに聞いたので教授の余談や息づかいなども記憶できているのは貴重な有難いことだと思っている。)

ゼミで指名されて、和訳しないといけない。そのためもあって買ったのがこの本である。桑原武夫氏、前川貞次郎氏共訳のもので、昭和29年に第1刷、私が買ったこの本は昭和
32年の第6刷のものである。

桑原武夫氏によるまえがきの一番はじめにこう書いてある。
「有史以来、人間の精神にもっとも大きな影響をあたえた本として、イギリス労働党の学者キングスレイ・マーチンは、「聖書」、「資本論」、そしてこの「社会契約論」の三つをあげている。」と。

私は、この本の最初のページの一部分に自分で赤線をひいてある。
「自由な国家の市民として生まれ、しかも主権者の一員として、わたしの発言が公の政治に、いかにわずかの力しかもちえないにせよ。投票権を持つということだけで、わたしは、政治研究の義務を十分に課せられるのである。」

投票権を持つということの権利の反面にある義務の意識の大切さを考えると、最近の日本での投票率の低さにはおそろしささえ感ずるのである。

懐かしい本とは言え、急にこのような硬い本をとりあげたのは、一昨日の会社のOBの会でのK氏との話合いとは無関係ではないようだ。
大企業(製造会社)の副社長を経験した彼が、最近、ジョン・スチュアート・ミルの「自由論」とヘーゲルの「歴史哲学講義」を書店で買って読んでいる、という嬉しい話を聞かせてくれたのである。


画像:「ルソー 社会契約論」桑原武夫、前川貞次郎訳 昭和29年第1刷、昭和    32年12月第6刷 定価80円


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