■マーケット
“増税延期”に市場も注目
16日の国際金融経済分析会合に参加したノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツコロンビア大学教授が増税の延期を提言したことで、きょうの市場は増税延期で国内景気が持ち直すとの期待が広がりました。また、2日目には日銀元副総裁の岩田一政氏が招待され、「デフレのリスクが日本の場合には残っている」と話し、景気の先行きに慎重な見通しを示しました。野村証券シニア・ストラテジストの松浦寿雄氏は「日本株市場にとって増税延期は素直にポジティブに受けとめられる」と分析しています。しかし、きょうおこなわれた参院財政金融委員会で麻生財務大臣が「(スティグリッツ氏らと)私どもの見解が違う。予定通り2017年4月から消費税率10%に引き上げたい」と話しました。
米利上げ“ペースダウン”の理由
米中央銀行のFRB=連邦準備制度理事会は16日、政策金利を据え置いた上で年内の利上げ回数の見通しを引き下げました。FOMC=連邦公開市場委員会の後、公表された声明文では米経済について、「緩やかなペースで改善」と上方修正した上で、「ここ数ヵ月で物価も上昇」と指摘しました。今回、FRBが年内の利上げ回数の見通しを2回に引き下げました。市場は引き下げ3回と予想していたため、驚きで株価は急上昇、為替もドル安円高が進みました。FRBは利上げペースの見通しを緩やかにした理由として「設備投資の弱さ」と「海外経済への懸念」を挙げていますが、利上げはドル高の一因になるため、間接的にドル高への懸念を示したと見る向きもあります。利上げはドル高の一因になります。足下、ドル高がアメリカの製造業の業績を痛めつけ、また原油価格下落の要因にもなり、資源国をはじめ新興国経済の重しにもなっていました。利上げペースを緩やかにすることでドル高の進行を抑えて、アメリカ経済の下支えすることを狙っているようです。
中継担当:NY支局 池谷亨キャスター
■大和総研チーフエコノミスト/熊谷亮丸氏
・労働移動助成金の制度
--普段密室で行われていることですから、こうやって表に出てくると驚くことが多いですが、労働移動助成金の制度を見直す必要がありそうです。問題がありそうですが・・・
本来は必要な制度です。もともと日本は労働生産性が低い。これを上げるためには、生産性が低い分野から高い分野へ円滑に人を移動する必要がある。つまり失業なき雇用の移動というのが本来の趣旨です。ところが今回の事例は制度の趣旨をはき違えていて言語道断です。失業者をわざわざ作っていき、そのことによって儲けようとするのは明らかに制度の趣旨をはき違えている。
--悪質な例については今後どうしていく必要がありますか。
やはりこれ厳罰が必要であって、助成金を返還させるとか、もしくは事業を取り消していくとか、かなり厳しい態度で臨まないと、こういうことがまた起きるんじゃないかと思います。
--そもそも成長産業に移動すると言っても、受け皿になる成長産業が日本にまだまだ少なんじゃないですか。
結局、雇用というのは派生的な需要、まず経済が伸びてそこから雇用が増えるわけですから、医療介護の分野でITを活用するとか、農業を伸ばすとか、成長戦略があって裏側に雇用政策があるという話です。さらに労働市場の2極化を合わせてやらないといけないです。
・仮想通貨の将来性
--今日、黒田総裁が日銀内にフィンテックセンターという新組織を作ることを表明しました。これは中央銀行が自らこうしたセンター作りに乗り出すというのはビットコインなど仮想通貨の存在感が増しているということも背景にあるとおまいます。実際、利便性を感じている方も増えてきています。そんな中、仮想通貨の将来性をどう分析しますか。
今もう仮想通貨の残高が60億ドルまで増えていて、利用者は1200万人います。ですからかなりの勢いで拡大しています。これからは3つの主体が入り乱れて戦国時代のような状況になっていきます。①一つは新たな新興企業で、ここは送金の手数料が安いということをテコにして市場を拡大していく。②他方で既存の銀行などは送金手数料が結構高くてそこがドル箱でしたから、手をこまねいていてはいけないので、そこに乗り込んで逆襲に出ていく。③3つ目は例えば中国、イギリス、カナダなど国や中央銀行のような公的なところが乗り込んでいく。この3つが戦っていく形です。
--そんな中どこが勝つかというのも全然わからない状況ですね。
結局、規制を強めると、信用度は上がりますが自由度は下がります。逆に自由にすると信用度は落ちます。この信用度と自由度のトレードオフ、そのバランスが重要になります。
・国際金融経済分析会合
--世界経済の現状、見通しについて、国内外の有識者の意見を聞くために政府が開いている会合ですが、きょう2回目でした。この会合では消費税をどうするかということにフォーカスが当たりがちですが、それ以外にもう一つ大きなテーマがあるのですか?
これからどういう国際協調をやっていくか、伊勢志摩サミットに向けて何をやるかということがポイントです。最大のポイントは先進国が中国を巻き込んで積極財政政策を展開できるかどうか、が非常に大きなポイントです。いま世界的にみると新興国は非常に厳しい状況ですから、そうなると先進国が政策を取らなくてはいけない。先進国の金融政策はもうマイナス金利までいっているわけですから、そうなると最後はドイツのような余裕のある国、それから中国なども含めて積極的な財政政策で協調できるかどうか、が非常に大きなポイントになります。おそらく今月来年度予算が成立しますので、その後の段階で日本がかなり大型の補正予算(5兆円を上回る規模)を打ち出してくる可能性があります。公共事業というよりは、一億層活躍を絡めて保育所とかそういうところへ財政支援していく。主婦の方や若年層にウェートが置かれると思います。
■特集 仮想通貨 最前線
三重県に住む2児の母は、カナダに留学する長女に最近ビットコインで仕送りをします。理由は、手数料の安さです。使うのは、ビットコインを扱える「コインチェック」というアプリ。そもそも、ビットコインの送金手数料がほぼ無料なのは、海外送金に金融機関を挟まないためです。渋谷にあるレジュプレスは、ビットコイン専用アプリ「コインチェック」を開発した会社。ビットコインの最大の特徴は「送金」だとして、寄付にビットコインを使うサービスを展開します。経済学者の野口悠紀雄氏は、仮想通貨は革命的なものだと指摘します。国際的な金融機関40行は仮想通貨などの研究会を立ち上げました。日本の大手銀行も「仮想通貨が悪ではない」とその利便性に注目します。
取材先
・レジュプレス
・グッドネーバーズ・ジャパン
・早稲田大学ファイナンス総合研究所
・全国銀行協会
■ニュース
人材会社がリストラ支援!?
安倍政権は成長戦略の一環として労働力のシフトを促そうとしています。この労働力のシフトには企業のリストラが付きものなんですが、今日はある企業から退職を求められている男性を取材しました。その裏側に見え隠れしたのは、人材会社の存在でした。人材派遣事業者が転職支援と称して退職勧奨をしている。
きょう開かれた厚生労働省と労働組合の会議で、人材会社が退職勧奨に関係しているのではという指摘が出されました。ワーナーミュージック・ジャパンのAさんは、会社から事実上の退職勧奨を受けていると話します。退職や出向を迫る会社から渡された書類にあったのは、人材会社「テンプスタッフキャリアコンサルティング」の文字です。労働組合の東京管理職ユニオンは、人材会社が「労働移動支援助成金」を目当てに退職勧奨をうながしている可能性を指摘します。
《東京管理職ユニオン/鈴木剛執行委員長》
「テンプスタッフなどの人材会社が労働移動新助成金を目的で退職勧奨に関与している可能性が高い。」
労働移動支援助成金とは、雇用保険が財源となった再就職を支援するための奨励金です。安倍政権の成長戦略、雇用改革制度の一つで、失業してもすぐに再就職ができるように支援するための政策です。企業がリストラなどで労働者の削減を進める場合、再就職支援を人材会社に委託します。国は企業に対して再就職が決まったっ場合最大60万円、決まらなかった場合でも10万円を支給するという仕組みです。企業はその助成金を使って人材会社に再就職支援を委託するということになっています。ところがこの人材会社が再就職支援だけではなく、企業の人員削減にも関与してリストラを促していたのではないかという問題が指摘されています。
《旬報法律事務所/新村響子弁護士》
「(助成制度は)次々と濫用されていると思います。今、大手を含め全てが違法例かわからないが、リストラや希望退職が行われる場合、人材支援会社が関与していないことは少ない。具体的にどこで何が行われているかは極秘のため外部に出にくい。支給要件を厳格にしても、問題を解決することは難しい。」
WBSが入手したテンプスタッフキャリアコンサルティングの資料には、いったい何が記載されているのでしょうか。事態を重く見た厚生労働省も対策に乗り出しました。
シャープ“蚊を取る清浄機”
シャープはきょう、白物家電の新製品を発表しました。世界初の“蚊取り空気清浄機”です。蚊が好む紫外線ライトを発光させ、物陰に隠れたがる習性を利用し、空気の吸入口から蚊を吸い込んで捕獲します。東南アジアの6ヵ国では去年から販売しており、売り上げが好調だったため日本での発売に踏み切りました。台湾・鴻海精密工業への傘下入りを決めたシャープですが、鴻海はシャープの白物家電事業に関心をもっています。ある関係者によると鴻海の郭会長は今月上旬シャープの白物家電事業の会議に自ら参加し、また技術者を連れ、白物家電の工場を視察したといいます。しかし、シャープは鴻海傘下入りを決めてから3週間がたった今も正式契約が結べていない状況です。関係者は「早ければ明日にも終えたい」と話しているということです。
東芝が“医療”と“白物”を売却
東芝はきょう、医療機器の子会社をキヤノンに売却する契約を結びました。さらに、白物家電事業は中国の大手家電メーカーに売却することで基本合意したと発表しました。東芝は医療機器の子会社「東芝メディカルシステムズ」の全株式を6,655億円でキヤノンに売却します。医療機器市場は世界で高い成長が見込まれていますが東芝は、財務基盤の強化を優先し、「虎の子」の事業を手放します。さらに東芝は5四半期連続で赤字の見通しとなっている白物家電の子会社「東芝ライフスタイル」について、株式の過半数を中国の家電大手「ミデアグループ」に売却することで基本合意しました。売却額は数百億円規模になる見通しで、今月末までの最終合意を目指します。東芝の室町社長はあす、今後の事業計画について発表します。
安田純平さん シリアで拘束か
内戦が続くシリアで行方が分からなくなっていたジャーナリストの安田純平さんとみられる男性の映像がインターネット上に公開されました。男性は、英語で「私はジュンペイ・ヤスダ」と自己紹介し、家族を気遣う言葉を口にしています。映像を公開したシリア人の男性は、テレビ東京の取材に対し、国際テロ組織アルカイダ系の「ヌスラ戦線」が安田さんの身代金を要求していることを明らかにしました。日本政府は、情報の収集や映像の分析を急いでいます。
千葉の民家にグライダー墜落
千葉県栄町で、きょう昼過ぎグライダーが民家に墜落し乗っていた男性2人が死亡する事故がありました。グライダーは現場から北におよそ1.8キロ離れた茨城県の大利根飛行場を小型機に引かれて離陸し、上空で切り離されて滑空していたということです。この事故で住民にけがはありませんでした。国の運輸安全委員会は事故調査官を派遣し事故原因の究明にあたっています。
自民党「アダムズ方式」容認へ
衆議院の選挙制度改革をめぐり、自民党はきょう、人口比をより反映した議席配分方法である「アダムズ方式」の導入を容認する方針を決めました。一票の格差是正に、より配慮したアダムズ方式については、地方選出議員の多い自民党内で反発が強くありましたが、安倍総理大臣の国会答弁を受け、最終的に容認することでまとまりました。谷垣幹事長はあす、大島衆議院議長にこうした自民党の方針を報告し、今月中のとりまとめに向け、各党との協議に入る見通しです。
東電の公表遅れ メルトダウン問題で初会合
福島第一原発事故で、発生3日後には核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」が起きていたにもかかわらず、東京電力がおよそ2ヵ月間、その前段階にあたる「炉心損傷」と説明し続けた問題で、原因や経緯を調べる第三者検証委員会の初会合が、きょう、東京都内で開かれました。審議は非公開で行われ、東電は調査結果がまとまり次第、公表するとしています。
ホンダ燃料電池車を経産省に納入
ホンダは先週発売した燃料電池車クラリティフューエルセルを経済産業省に納車し八郷社長らが出席してきょう納車式が行われました。経産省では2台導入し、来週から局長などの幹部の公用車として利用する予定です。
■ヒットの順番
東日本大震災から5年が経ち非常食の買い替え需要が高まっています。そのランキングから新たなトレンドを追いました。
《東急ハンズ新宿店 防災用品売り場》非常食売上個数
1.アルファ米(小袋タイプ)尾西食品 (20年間首位)
2.缶deボローニャ ボローニャ (しっとり感=おいしさ)
3.イザメシおかず 杉田エース (消費期限3年)
4.スーパーバランス6YEARS ユニーク総合防災
5.えいようかん 井村屋
6.缶入カンパン ブルボン
7.カロリーメイトロングライフ 大塚製薬
8.ビスコ保存館 江崎グリコ
9.アップヌードル保存館 日清食品
10.リッツ保存館 ヤマザキナビスコ
■【トレたま】新素材で手が汚れないボールペン
【商品名】 ユニボール シグノ 307
【商品の特徴】インクだまりができないボールペン
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【その他】 新素材「セルロースナノファイバー」を活用
【トレたまキャスター】 相内優香