風を読む-Newsモーニングサテライト-

モーニングサテライト・ウォッチ

2016.3.9 wbs・ワールドビジネスサテライト

2016年03月09日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

ガソリン 7年ぶり安値も産油国は
9日、資源エネルギー庁が発表した7日時点におけるレギュラーガソリンの全国平均小売販売価格は1リットル当たり112円で、7年ぶりの安値となりました。調査を行った石油情報センターは「足元の原油価格上昇に伴い、来週は値上がりする」とみています。市場では、産油国の減産への期待感によって原油価格はおよそ2ヵ月ぶりの高値となっています。しかし、産油国のひとつである南米のベネズエラは長引く原油価格の低迷で景気が悪化しており、国民はマドゥロ政権への不満を高め、議会で過半数を得た野党が攻勢に出ていて、政情不安の懸念が出ています。こうした中、アメリカのエネルギー省は減産には時間がかかるとして、今年の原油価格の見通しを1バレル37.5ドルから34.0ドルに下方修正しました。産油国には厳しい状況が続きそうです。


米“トランプおろし”が本格化
米大統領選に向けた指名争いが中盤戦に入ってきましたが、共和党トランプ氏の快進撃が止まりません。トランプ氏は8日に行われた4つの党員集会・予備選挙のうち3つを制しました。共和党の主流派は指名獲得の阻止を目指し“トランプおろし”に動き始めました。しかし、トランプおろしが始まってから行われた共和党予備選・党員集会は9戦のうち、トランプ氏が5勝をあげ、2位のクルーズ氏との差は広がる一方です。共和党の主流派に不信感を抱いているトランプ支持層は彼らが信頼するトランプ氏が非難されればかえって結束が固まり、トランプおろしが逆効果に働いているのが原因です。次のヤマ場は15日のフロリダ州とオハイオ州で行われる予備選挙です。もしトランプ氏が連勝すれば指名獲得の阻止は難しくなります。
中継担当:丸紅米国会社 今村卓氏


■みずほ総研チーフエコノミスト/高田創(はじめ)氏

・土湯温泉“復旧”ではなく“復興”を
地域の資源を生かすことが一番。オンリーワン。多くが復旧でとどまっている(つまり元に戻す)が、人口減も含めて従来から過疎が進んでいたわけで、復旧にとどめることなく新しいビジネスモデルを作る、自律性のあるものを作るということが本当の意味での「復興」になります。


■震災5年必ず立ち上がる(1)
18000人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災から、今週の金曜日で5年となります。そこで今日からシリーズ企画をお伝えします。1夜目のきょうは福島市の温泉地です。震災と原発事故の影響で多くの旅館が廃業に追い込まれる中、温泉の新たな活用で復興を目指す人たちの取り組みを追いました。
福島駅から南西に20分ほど走ったところにある土湯温泉町。清流荒川の渓谷にある自然豊かな温泉地です。その歴史は古く、聖徳太子の時代に遡るとも言われています。東日本では初めての商用バイナリー発電所は、その建設は震災で存亡の危機に陥った土湯温泉町にとって生き残りをかけた挑戦だったのです。震災で多くの建物が被害を受けたうえ、福島第一原発の事故の影響で町から観光客が姿を消しました。震災直後の2011年度の入浴客の数は約11万2000人(-55%)と半分以下に落ち込んだのです。16件あった旅館のうち5件が廃業に追い込まれました。
福島市の土湯温泉町で去年2015年11月、バイナリー発電所が稼働しました。総工費約7億円、発電能力400kWで一般家庭750世帯分の使用電力量になります。土湯温泉の源泉からは、130度の熱水と蒸気が噴出されていて、この熱を利用しています。水より沸点が低い有機化合物を液体から気体に変え、その蒸気でタービンを回す仕組みです。バイナリーとは「二つの」という意味で、温泉と有機化合物は別々のまま、混ざらずに熱交換をするため、温泉の量や成分は影響を受けません。さらに再生可能エネルギーの固定価格買取制度の導入によって、発電事業が始めやすい環境が整いました。
土湯で30年間、旅館を経営していた加藤勝一さんの呼びかけで、「元気アップつちゆ」という会社が設立され、発電所の運営が行われています。現在、売電は順調で、年間で1億円の売電収入が見込まれています。さらに震災直後2011年度の入浴客は11万2000人でしたが、去年2015年度は約11万8000人にまで回復する見通しです。土湯温泉町はこの数を30万人にまで引き上げる目標を掲げています。震災によって存続の危機に直面していた温泉街は“復旧”にとどまらず、“復興”への動きを加速させています。
バイナリー発電は温泉の量や成分に与える影響が比較的少なく、温泉地ならではの再生可能エネルギーとして普及が期待されているのですが、課題となるのは他の温泉井戸に影響を与えないかという心配です。取材しました土湯温泉は地域のまとまりが良い上、ほとんどの旅館が共同組合から温泉の供給を受けていたため、計画を進めやすかったということです。


■ニュース

医療機器子会社 東芝、キヤノンに売却へ東芝1.JPG
 経営再建中の東芝は医療機器の子会社「東芝メディカルシステムズ」をキヤノンに売却する方針を発表しました。売却額は7,000億円規模とみられます。東芝は巨額な売却資金を得て不正会計問題で悪化した財務体質の改善を急ぎます。
 東芝は先月発表した決算で今期2015年度の最終赤字が7100億円にのぼると明らかにしました。不正会計により露呈した財務状況の悪化は待ったなしの状態です。そのためグループの"虎の子"「東芝メディカルシステムズ」の倍局方針を表明していました。そして、今日「キャノンに対し独占凶証券をひよする。」とし、「東芝メディカルシステムズ」をキャノンに売却する方針を決定したのです。キャノンが提示した買収額は7000億円規模と見られています。東芝メディカルシステムズの2014年度の営業利益は260億円であり、割高な買収との声もあります。実は、最終入札にはキヤノンのほか、富士フイルム、コニカミノルタと投資ファンドの3陣営が参加。争奪戦は過熱し、買収金額に高値が付きました。各社ともカメラ市場が縮小する中、次の東芝2.JPG成長産業を医療機器分野と位置づけていて、東芝の医療事業をのどから手が出るほど欲していたのです。直前まで交渉を有利に進めていたのは富士フィルムでした。しかし東芝に対し買収に伴ういくつかの条件を提示していたと見られ、手元資金が豊富なキャノンに形勢を逆転されたのです。
 そのキャノンが手掛けるのは、目の検査に使う機器やX線検査装置が柱で、医療事業はさほど大きくありません。キャノンは東芝メディカルの買収で事業拡大を狙います。
 東芝メディカルの主力製品は、CT=コンピューター断層撮影装置など大型の医療機器です。最上位機種「アクイリオン」は1台2億円です。従来のCT装置は患者の周りを何回転もしていたのに対し、この装置は1回転、わずか0.3秒で撮影が終わります。撮影時間の短縮と被ばくの低減(従来の4分の1)につながります。東芝は1978年に日本で初めて全身用CT装置を開発、画像解析やデータ処理の能力に磨きをかけ、性能を高めてきました。現在CT装置の世界シェアは2位で、GEヘルスケアやシーメンスなど欧米勢とトップの座を争っています。東芝メディカルの瀧口社長は5日、WBSの単独インタビューに応じ「医療現場との関係性に対して価値観を共有できる新しい株主と相乗効果を出せれば、それに越したことはない」と話しました。
《大浜キャスター》
電機業界は不振が続いていて、東芝とシャープが台風の目となって再編が始まっています。東芝は虎の子の医療事業をキャノンへ売却を検討している。パソコン事業を分社化してVAIOや富士通連合との統合を検討している。白物家電事業は一時シャープへの売却が考えられていたが、シャープが鴻海の傘下に入る道を選びましたので、東芝としては改めて売却先を探さなくてはいけない状況になっていて、現在トルコや中国の家電メーカーと交渉中です。それで残る事業はあまり多くないですが、「原発製造などの電力・インフラ事業」、「スマートフォンに欠かせない半導体メモリーなどの電子部品事業」などを軸にした会社に変わっていく。一方のシャープは今週中にも正式契約する予定だったのですが、鴻海とメインバンクとの調整がまだ終わっていないということで、関係者によると来週14日以降買収契約が結ばれるということです。


BCP支援の新施策相次ぐ
東日本大震災以降、大災害などの緊急時に備える手段などを決めておくBCP=事業継続計画に注目が集まっています。ソフトバンクは、携帯電話の通信基地局が壊れたときの代わりとなる臨時の衛星基地局を報道陣に公開しました。設置するのは技術者ではなく、一般社員です。現在、200台ある臨時基地局ですが、設置には90分以上かかります。新たに導入した基地局は、1人でも運べ、特別な技術がなくてもアンテナが通信衛星の方向に向くようにできています。三井不動産はコレド日本橋で、入居企業向けの防災訓練を行いました。特徴はオフィスから「逃げない」訓練だということです。簡易トイレの使い方を学んだり、エアクッションでオフィスの床に眠るなどしました。専門家は大都市の震災対策はこれまでの「逃げる」から「逃げない」に変わってきているといいます。
《工学院大学建築学部/久田嘉章教授》
『高層ビルは基本的に耐震性がすごく高い。原則としては逃げない、避難しない。そのためにはビルと室内の安全対策を併せてやらなければならない。但し、とどまれと言ったって、火事が起きたら絶対に逃げないといけない。「とどまれ」と言っても被害が出たら避難すべき。』
 東京都が震災後に出した条例でも、大地震発生時に安全を確認したうえで、従業員をオフィス内にとどまらせることを事業者に求めています。災害時にいかに事業継続するかという企業の取り組みは、震災から5年経ち、着実に進化を遂げています。


大津地裁 高浜原発 運転差し止めを決定
大津地裁は9日、関西電力高浜原発3号機と4号機の運転差し止めを命じる仮処分を決定しました。申し立ては、高浜原発がある福井県に隣接する滋賀県住民によるものです。事故が起きれば琵琶湖一帯の飲み水に影響が出るとして3号機と4号機の運転差し止めを求めていました。きょうの決定で大津地裁は、「危惧すべき点があるのに安全性の確保について関西電力は説明を尽くしていない」という判断を示しました。決定に対して関西電力は記者会見を開き、運転中の3号機について、10日午後8時ごろに停止させる方針を明らかにしました。そのうえで、仮処分の決定を不服として、異議と執行停止を申し立てる方針です。


保育制度の充実訴える 塩崎厚労大臣に署名提出
「保育園落ちた…」などと保育園に子供を預けられない状況をつづったブログに賛同した母親たちが、塩崎厚生労働大臣に保育制度の充実を訴える署名を提出しました。これは、ネット上で呼びかけられたもので2万7,000人分を超える署名が集まっています。塩崎大臣は、「しっかり受け止めて、実態調査もやりたい」と母親たちに答えました。


野球賭博問題 巨人 高木京介投手が謝罪
「野球賭博に関与してしまい、関係者の皆さん、本当に申し訳ありませんでした」野球賭博に関与していたことが新たに発覚したプロ野球巨人の高木京介選手が9日、球団事務所で会見し、一連の騒動について謝罪しました。またプロ野球の熊崎勝彦コミッショナーは巨人からの告発を受けたあと、調査委員会を召集し全容解明へ努める意向を示しました。


ビートルズのプロデューサー死去
ビートルズを世に送り出し、ほとんどすべての楽曲を制作するなど「5人目のビートルズ・メンバー」と呼ばれたプロデューサーのジョージ・マーティンさんが亡くなりました。90歳でした。ビートルズの元メンバーリンゴ・スターさんがツイッターで明らかにしました。イギリスの大手新聞「ガーディアン」によりますとマーティンさんは8日、自宅で安らかに息を引き取ったということです。


三越伊勢丹 国内初の中型店をオープン
三越伊勢丹ホールディングスは9日、名古屋駅前の商業施設に初めて中型店「イセタンハウス」を出店しました。売り場面積は伊勢丹新宿本店の20分の1ほどでのセレクトショップで、衣類や雑貨を中心としたファッション重視の売り場になっています。三越伊勢丹は、大型の商業施設の開発が増えていく中、従来型の百貨店の出店がしずらくなるとして、中小型店舗の出店を加速させる方針です。一方、東京・銀座のプランタン銀座では、9日に本館4階をリニューアル・オープンしました。狙うのは「おしゃれママ」です。子供との外出時や学校の行事などの際、おしゃれを楽しめる服を多く揃えました。プランタン銀座では、これまで25歳から35歳までの「働く女性」を主なターゲットとしていましたが、最近、子供を連れた「ママ」が多く来店するようになりました。来年3月には、全館を改装する予定で、今回のリニューアルは、その一歩だとしています。


サッポロビール 6年ぶり「エビス」の新商品
サッポロビールは9日、新商品「エビス マイスター」を発表しました。エビス マイスターは、サッポロのプレミアムビール「エビス」の最高級品として開発され、ふくよかな香りと研ぎ澄まされたコクが特長だということです。1年を通して販売し、期間限定ではないエビスビールの発売は、6年ぶりです。価格は一缶およそ290円。5月に発売します。ビール市場は、第3のビールの売り上げが落ち込む中、ビールの人気が再燃していて、サッポロは、エビス マイスターの発売でプレミアム市場のさらなる強化を狙います。また、贈答用としてギフト市場でも積極展開していく方針です。


■【トレたま】葉っぱにメッセージ

【商品名】 ルミリーフ
【商品の特徴】植物の葉にメッセージを書き込んだ商品で、暗くなるとメッセージが浮かび上がる。
【企業名】 東北電子産業
【住所】  宮城県仙台市太白区向山2-14-1
【価格】  5,000円~(税別)
【発売日】 発売中
【トレたまキャスター】大澤亜季子



2016.3.9 Newsモーニングサテライト

2016年03月09日 07時00分00秒 | MS
■マーケット

ダウ 上昇一服
NYの株価は上昇が続いていただけに一服。中国経済への懸念が再び浮上、また金融政策への行方などが材料になっています。中国の2月の輸出が市場予想より大幅に悪化。全人代での中長期的な対策は一定の評価はされたものの、足元の懸念に、投資家の心理も盛り上がりません。また、原油も買いが続かず。ゴールドマンサックスが、供給過剰は続くとの見方を示した事も弱気材料です。金融政策の行方を睨んで、金融株の値動きが芳しくなく、エネルギー、素材株とともに、相場の重石となっています。現在の株価、揃って下落です。ダウが6日ぶりの反落、109ドル安、1万6,964ドル。1万7,000ドルを下回っています。ナスダックが59ポイントの下落、4,648。S&P500が22ポイントマイナス、1,979です。
為替は円高ドル安の動きです。中国の輸出が急減速で景気への懸念が再び浮上しリスク回避から円が買われやすい地合いです。債券市場、債券買われ金利は低下です。日本の10年債利回りが過去最低の0.1%まで下落したことも影響しているようです。
商品市場、ニューヨークの原油は3日ぶり反落です。昨日高値を付けたことで一服感も出ています。エネルギー情報局が今年のWTI価格の見通しを37ドル台から34ドル台に引き下げました。金は続落です。価格が上昇していたんですが、引けにかけてマイナスに転じました。
ヨーロッパ株、そろって続落、ロシアは休場です。引けにかけて下げ幅拡大、中国懸念が重しでした。


【NY証券取引所中継】米新登場の指数に注目
解説は米国みずほ証券の兼松渉氏
ニューヨーク株式市場、S&P500、6日ぶりの下落となりました。軟調な展開となりました欧州市場の流れを引き継ぐ形で1日を通してマイナスで方向感に乏しい展開となりました。
--今後、相場のあれ具合を見る新たな指標が誕生したようですね。
今日新たなボラティリティ指数「スパイクス」が発表されました。ボラティリティ指数は、「相場の振れ幅の大きさ」や「市場の不安心理の高まり」を示すものです。「スパイクス」はこれまで市場が荒れた時に注目されていたVIX指数のライバルになると言われています。
--何が違うのですか。
共にオプション取引の値動きをもとに算出されることは同じなのですが、VIXは場立ち取引の指数のオプションであるのに対し、スパイクスは電子取引の指数のオプションです。株価の振れ幅が大きくなりますと、一般的に売買高も増えますが、従来のVIXでは手作業が入るため算出が間に合わないという現象が生じます。昨年には算出に約30分の遅れが生じたこともありました。一方、スパイクスは確実かつ迅速にデータを取り込むことが可能で、相場の環境をより正確に把握することができます。


【NY証券取引所中継】中国懸念は後退?
解説は米国みずほ証券の兼松渉氏XNY.jpg
--今日は株価一服ですが、それでも最近は落ち着きを取り戻しつつあるという印象ですね。
年初からの旧らの原因の一つでもありました中国経済の減速に対する懸念がやや和らいでいることも背景にあります。これまで中国の景気減速懸念を基準に原油をはじめその他の商品価格が大きく下落していましたが、ここ数日は鉄鋼価格の上昇が目立っています。中でも7日はチンタオの鉄鉱石の価格が先週末に比べ19%アップし、去年6月以来の高値を付けました。
--これで中国の景気が持ち直すと見ているのですか
全人代で示されました5カ年計画の内容が市場予想以上に前向きだったことが好感され買い戻しが入りました。また中国政府が追加の金融緩和を実施し鉄鋼需要を喚起するとの期待感や過剰生産能力を抱える鉄鋼セクターの合理化ぬむけて積極的に取り組んでいることも株価を押し上げています。
--世界第2位の経済大国だけにその回復は影響が大きいですね。
世界的な物流の動きを反映するバルチック海運指数は落ち着きを取り戻しているほか、総合的な商品価格の動向を示すCRB指数も上昇基調に転じています。今後のさらなる商品市場のリバウンドに期待している投資家は多く、このトレンドがより鮮明になれば株価の良いサポート要因になると考えています。


【為替見通し】注目ポイントは「原油相場」
解説は三井住友信託銀行の細川陽介氏X為替見通し.JPG
昨日アジアの株安を受けました大手株の下落によるリスク回避から円が買われる展開となっています。ドル円はクロス円とともに上値が重く、海外時間では112.42まで下落しています。ここ数時の反動で原油価格が反落したことでドルが買われたことでクロス円の上値を抑える要因になっています。
今日の予想レンジは111.90~113.00です。
明日はECB理事会などのイベントがありますが、本日は経済指標などあまり大きな材料もなく、積極的に手掛けにくい相場と見ています。株価動向や3月決算に絡むフローなど足元の需給に左右される相場と見ており、ドル円は上値の重い状況が続くと見ています。
このところ原油は底打ち傾向を示してまして、WTI原油先物は2014年6月からの下落トレンドラインを上回ってきています。原油は生産調整に対する思惑や株式市場の落ち着きと共に買い戻しが進む一方、逆相関の関係にあるドルは下落となっています。ただ直近のアメリカの指標は悪くない中で、原油高ドル安の継続はアメリカの利上げ見通しの前倒しを意識させることになるため、最終的にはドルが買われていく展開になるのではないか、と見ています。
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【日本株見通し】注目ポイントは「空売り比率の低下」
解説はニッセイ基礎研究所の井出真吾氏
今日の予想は16500~16800です。空売り.JPG
ニューヨークダウ、シカゴ日経平均共に下落して、これを受けて東京市場は続落で始まるでしょう。市場の基本スタンスは明日のECB理事会待ちで様子見ムードとなりそうです。ただ昨日と同じように円相場が動けばそれに連動して変動率も高くなると思います。
空売り比率は売買代金に対する空売りの比率です。
【空売り比率(%)=空売り代金/売買代金×100】
空売り比率が高い時はヘッジファンドなどが本格的に売りを仕掛けているので、売られ過ぎで株価が割安だとわかっていても多くの投資家は買いを入れられません。日経平均(赤線)と空売り比率(青線)は逆相関の関係です。空売り比率は3月に入って急速に低下していますが、まだ昨年の10月と同じ位の水準で、株価が底入れしたに過ぎないと見るべきでしょう。18000円に向けてさらに値上がりするには、昨年11月のように空売り比率が30%半ばから前半まで下がるかがポイントです。日米欧の金融政策と合わせて注目しておきたいです。

【世界の株価】8日の終値
X総合指標.jpg















■SMBC日興証券/森田長太郎氏

・社債市場、揺らぐ信用の物差し、「上乗せ金利」拡大相次ぐ
--おかしな現象ですが・・・
根本的には0金利制約と言われていて、マイナス金利あるいは金融政策に限界はないと日銀は言っていますが、実際、商慣習上で結構いろんな制約があるという事です。
--例えば、貸し出しをマイナスにするという事は出来ないですか
それはできないだろうと言われています。法律的にもいろいろ問題があるんではないかと言われてます。どんどんマイナス金利を深くしていっても、実際の金利が着いて行かない可能性があります。


・ジャンク債市場に資金が戻っているという事ですが、アメリカが利上げしたらまた売られるんじゃないですか。
そうです。景気への自信というよりは、利上げないだろうという期待感が強いのでしょう。市場は1回ちょっと位と見始めています。


・ 経済視点 「金融緩和の効き具合」
長期国債の金利がすごく下がっています。これは金融緩和が効いていると言いたいところなんですが、あまり円安にもならないし株も上がらないし、一方で社債金利は下がらないとか貸出金利も下がらないとか、効き方が従来と違ってきている感じです。結局、何が効いているのかわからないので、合わせ技でとりあえず全部やってみようという流れになるのかもしれない。



■【プロの眼】マイナス金利回避は続かない
国債利回り曲線.JPG
きのう10年債利回りは一時0.1%と日銀が銀行に課すマイナス金利に並んだ。この要因は昼に行われた30年債の入札が予想を上回る好調な結果に終わったことで、30年債の金利の低下幅が約0.20%と10年債の4倍にもなった。10年債の金利はこの入札結果に引っ張られて低下した。30年債入札が好調な理由は投資家によるマイナス金利を回避する動きの結果という。今後もこの動きは続くのか。解説はSMBC日興証券の森田長太郎氏。
--きのう10年債利回りは一時0.1%を付けました。
昨日に関しては昼に30年国債の入札がありまして、これが事前の予想をかなり上回る堅調な結果になった。30年債の利回りが大幅に下がったことで、引っ張られて10年債利回りが0.1%までいった。
--1日に低下する幅としては、非常に珍しい低下ですね。
10年債は0.05幅なんですが、30年債は0.2%と4倍くらい低下しています。
--それだけ需要がという事なんですが、誰が買っているんですか。
昨日-0.1までいった10年債は既にマイナス利回りなので、実は投資家は買っていなません。ただその分30年債、20年債などまだプラスの利回りがある債権に過剰な需要が発生している。銀行、生保、日本の機関投資家はそっちに向っている。今のところマイナス金利の債券をポートフォリオに入れたくないし、ルールで入れないと決めているところもあります。
--長いものの方が大きい低下幅ですね
2014年10月は長期国債を日銀が買うという政策でしたが、今回は買入れは増やしていないです。にもかかわらず今回のほうが大幅に下がって、日銀の「イールドカーブを下げる」という狙い通りの不可思議な結果になっています。
--30年というレンジでのリスクを勘案するとありえない話だと思うのですが、この金利低下はいつまで続きますか。
投資家がどんなにプラス利回りだったとしても価格変動リスクが大きすぎるということを考えて、マイナスの利回りの債券にもある程度投資するようになれば、長期も少し元に戻る可能性はあると思います。短期的な調整リスクというのそんなに遠くない将来にもあると思います。10年債はこの状況だと0を上回るまでの金利上昇は起こりそうにないです。


■今日の予定

参院本会議 所得税法改正案の審議入り
2月マネーストック
2月工作機械受注
米1月卸売在庫


■ニュース

英中銀総裁「EU離脱にリスク」
EU=ヨーロッパ連合からの離脱をめぐり、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行のカーニー総裁は8日、一部の金融機関がイギリスを離れる可能性があるとの見方を示し経済的なリスクを指摘しました。カーニー総裁は離脱について、「賛成、反対のどちらに投票すべきかを言うつもりはない」と述べた上で、ロンドンに拠点を置く大手金融機関が相次いで移転した場合、短期的にイギリス経済全体に大きな影響が及ぶ、との見方を示しました。また、カーニー総裁は「EU離脱をめぐる不透明感が高まることで企業の設備投資や家計の消費支出の下押し圧力になるとともにポンド安を背景に物価上昇の圧力が高まる」と述べました。


米中小企業楽観視数↓1.0
アメリカの中小企業の景況感に陰りがみえています。全米事業者連盟が発表した2月の中小企業楽観指数は、前の月から1ポイント低下し92.9でした。指数を構成する10項目のうち「売上高見通し」や「雇用計画」など6項目が低下し、「在庫水準」など残る4項目が横ばいでした。


独アリアンツ「株価急落」でVW提訴へ
フォルクスワーゲンの排ガス不正問題をめぐり、大手企業が提訴の見通しです。ロイター通信が報じたところによりますと、ドイツの保険大手アリアンツは、保有していたフォルクスワーゲンの株の価格が排ガス不正問題で急落し損失を被ったとして、今後1ヵ月以内にフォルクスワーゲンを訴えるということです。排ガス不正問題で大手企業が訴えを起こすのは、アリアンツが初めてとなります。


米シェブロン 最大36% 予算削減へ
アメリカのエネルギー大手シェブロンは8日、原油安を受けて最大36%の予算削減をすると発表しました。2017年と18年の予算を170億ドルから220億ドルに抑え財務体質の強化を目指します。一方で、28年連続で引き上げてきた配当金については、今後も引き上げると強調しました。ワトソン会長兼CEOは「生産を拡大しつつ、支出を抑えていける体制にある」と自信を示しています。


イトーヨーカ堂 来年度20店閉鎖
セブン&アイ・ホールディングスはきのう、傘下のスーパー、イトーヨーカ堂の店舗およそ20店を来年2月までに閉店すると発表しました。セブン&アイはすでに、全体のおよそ2割にあたる40店を5年以内に閉鎖することを発表していました。しかし、その後も業績改善が見込めないため、来年2月まで予定を前倒し20店を閉鎖します。閉鎖される店舗は、横浜市の本牧店、都内の戸越店、千住店などです。さらに、百貨店では、グループの「そごう・西武」が持つそごう柏店と西武旭川店を、9月末で閉店します。


街角景気 2ヵ月連続悪化
内閣府がきのう発表した2月の景気ウオッチャー調査で、街角の景気実感を示す現状判断指数は前の月に比べ2.0ポイント低下した44.6となり、2ヵ月連続で悪化しました。基調判断は「弱さがみられる」として、前の月までの「緩やかな回復基調が続いている」から下方修正しました。下方修正は2014年11月以来1年3ヵ月ぶりです。


日銀 女性管理職を10%へ
日銀はきのう、業務を総括し、管理する立場の職員に占める女性の割合を2023年に現在の4%から10%に引き上げる目標を発表しました。具体的な取り組みとして、育児などのためにいったん辞めた職員を再び正職員として雇用する制度を来年度中に導入します。また在宅勤務の制度を新たにもうけるほか、就業時間を柔軟に設定できる勤務制度を拡大します。


アサヒ新体制「海外比率高める」
今月アサヒビールの社長に就任する平野氏とアサヒグループHDの社長に就任する小路氏が会見を開き、海外事業を強化する方針を示しました。先月、アサヒグループはヨーロッパのビール会社4社をおよそ3,300億円で買収すると発表しています。


中国輸出 2ヵ月連続で2桁減
中国政府が発表した2月の貿易統計によりますと、輸出は1年前から25.4%減と、2ヵ月連続で2ケタの落ち込みとなりました。人件費の高騰による輸出競争力の低下などが影響したものとみられます。また輸入も13.8%減と、大幅なマイナスが続いていて、景気減速に歯止めがかかっていません。


野球賭博 高木投手も関与
プロ野球巨人の久保博社長は昨夜、記者会見し、所属選手3人が関わっていた野球賭博に、新たに高木京介投手が関与していたと発表しました。また、この責任をとって、渡辺恒雄球団最高顧問など、球団幹部3人が辞任することも明らかとなりました。巨人では、去年秋に野球賭博に関わった選手3人が無期限失格処分となっています。高木投手は2014年の4月から5月にかけ、8試合から9試合に現金をかけていたということです。


新党名公募「民主党」がトップ
民主党と維新の党が行った新党名の公募について、非公開となっている公募結果をテレビ東京が独自に入手しました。それによりますと、2万通の応募全体のトップは、およそ1,500通寄せられた「民主党」で、従来通りの党名が最も支持されました。ついで「立憲民主党」が、およそ750通、民主と維新から1文字ずつ取った「民新党」がおよそ300通と続きました。また、党名の一部に「民主」を含むアイデアは、およそ6,400通寄せられた一方、「維新」を含むアイデアはおよそ600通にとどまりました。新党名に「民主」を残す案が優勢だと判明したことで、今後の党名をめぐる協議に一定の影響を与えそうです。


米リオ五輪ユニホーム 公開
アメリカでスポーツ用品売り上げ2位のアンダーアーマーは今年夏のリオデジャネイロ・オリンピックで各国代表チームに提供するユニフォームを公開しました。メリーランド州・ボルチモアにある本社で8日披露したのは体操やボクシングのアメリカ代表チームやラグビーのカナダ代表などに提供するユニフォームです。アンダーアーマーが夏のオリンピックで代表チームにユニフォームを提供するのは初めてで今大会は6ヵ国7競技を手掛けます。またオリンピックの競泳で通算18個の金メダルを獲得しているアメリカのフェルプス選手をキャンペーンに起用しました。



■【プライスウォッチ】企業の戦略的値上げの裏側

若者をターゲットにしてきた企業が挑む戦略的値上げ。カギはシニアにありました。よみうりランドはシニア層の心をくぐる新アトラクションをオープン。それと同時に行うのが値上げ。大人1,400円の値上げの一方、65歳以上は500円にとどめます。本物へのこだわりが随所に見られる新アトラクションでシニアの取り込みを狙います。また、若者向け低価格メガネのパイオニアともいわれるゾフは主力商品の2倍以上の価格1万8,000円の商品を投入。こちらもターゲットはシニア。品質の良さに加えて、店内改装などでシニア層の心をつかみます。


■【ネタのたね】

ALSOK 感情可視化システム
東京ビッグサイトで開かれている防犯の展示会。伊勢志摩サミットや東京オリンピックを控えていることもあって、今回はテロ対策に関する最新技術が多く見られました。警備大手のアルソックが提案しているのは、感情可視化システムを使った警備サービス。犯罪を犯そうとしている人物は、神経が高ぶって興奮状態になり、体が無意識に揺れたり、震えたりするといいます。肉眼では捉えにくい特徴をカメラで検知して赤枠で表示するので、警備の精度が上がるといいます。今後、駅や商業施設に売り込む予定です。


クマヒラ 液体検査装置
こちらは金庫メーカーのクマヒラが開発した液体検査装置です。液体状の爆発物や可燃物を発見できます。センサーにかざすと容器の形状や材質にかかわらず1秒から4秒で判別します。世界の国際空港に導入するための国際認証も日本企業で初めて取得。今後、競技場などでの需要も開拓し、年間500台の売り上げを目指します。


■日経超特急アジア勢苦戦.jpg

①アジア企業7年ぶりの減益
成長を続けてきたアジア企業の業績が減速している。日本経済新聞社が選ぶアジアの主要上場企業「Asia300」の2015年度決算は、純利益が前年度に比べて7%減る見通しだ。減益は金融危機に見舞われた08年度以来、7年ぶり。中国企業が国内経済の成長鈍化で失速し、台湾や東南アジアにも影響が波及している。アジア企業は利益規模でも存在感が高まっており、投資や雇用の減速が世界景気のブレーキになる懸念もある。








②東芝の医療機器子会社の売却先はキャノンが優勢
 東芝は9日に取締役会を開き、医療機器子会社の東芝メディカルシステムズの売却先を決める。入札に応募した企業のうち、キヤノンの条件が富士フイルムホールディングスなどを上回ったようだ。7000億円規模の買収額に加え、事業の重複が少なく独占禁止法の審査が容易で買収手続きが円滑に進みやすいことから、キヤノン案が支持される公算が大きい。


③社債市場、揺らぐ信用の物差し上乗せ金利拡大.jpg
日銀によるマイナス金利政策の影響で、社債の価格形成に異変が生じている。買い手の確保を狙って発行時の金利をプラスに保つことが優先され、発行企業の信用力は変わらないのに「上乗せ金利」が拡大するケースが相次いでいる。一部企業は社債発行に二の足を踏むようになっており、社債市場の縮小を懸念する声も出始めている。








■日刊モーサテジャーナル

①WSJ「ジャンク債がアメリカで再び買われ始めている。」
景気後退懸念が和らいでいることを示している。ジャンク債市場に流れる資金は、年末から流出が続いていたものの、最近は流入が拡大していて今年全体でプラスに転じました。ジャンク債市場は最もリスクが高い市場で、その復活はアメリカ経済に対する投資家の自信の表れだ。ただジャンク債の新規発行額は去年の同じ時期と比べて7割以上も減っていてまだ課題も残っている。


②NYT「大統領候補者指名争いをリードするトランプ氏がたびたび日本を批判していますが、実はこれは昔からの持論だ。30年前当時、日本は貿易で儲けた金を使ってロックフェラセンターなどマンハッタンの物件を買い漁っていると批判していた。トランプ氏は今も円安によりコマツがキャタピラーに対して不当な競争力を得ていると批判した。メキシコからの不法移民の流入を防ぐ壁の建設にキャタピラーなどアメリカの企業を使うと約束しました。トランプ氏が日本批判を展開することで、保護貿易の流れが進むかもしれず、日本にとって悩みの種だ。」


③The speed bump battle 取引所を目指すIEX、超高速取引との戦い
FT「日系カナダ人ブラット・カツヤマ氏は、「IEX」という証券取引所外での株取引を行うプラットフォームを運営しています。IEXは現在、正式な取引所になるべく、アメリカ当局に申請中で、ニューヨーク証券取引所やナスダックに対抗する構えです。現在の株式市場は長期保有の投資家を保護できていないが、カツヤマ氏率いるIEXは売買のスピードを制限でき、その技術で超高速取引を減らせるかもしれない。IEXの認可をめぐっては賛否両論で、個人投資家や議員は賛成する一方、NY証取、ナスダック、ヘッジファンドなどは反対している。アメリカ当局は早ければ21日にも結論を出すという事です。