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2016.3.8 wbs・ワールドビジネスサテライト

2016年03月08日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

ワイン投資ファンドが破綻 “うまい話”の裏側は…
7日、ワイン投資ファンドを運営するヴァンネットが東京地裁に自己破産を申請して破産手続き開始の決定を受けました。ヴァンネットは投資家から募った資金でワインを購入し、熟成した後に売却をして利益をあげるとうたいっていました。調査にあたっている弁護士によりますと、約2000人から77億円以上の資金を集めていました。しかし、2015年12月にヴァンネットの高橋社長が損失を隠すために買い付けなどで、虚偽の報告を繰り返していたことが判明して、関東財務局が金融商品取引業の登録を取り消していました。弁護士の調査によりますと、523人の投資家から集めた約36億7000万円が返還されない可能性があります。


米中小企業 注目の統計
《米通商企業楽観度指数 2月 92.9(前月比-1ポイント)》
米国で発表された2月の中小企業の景況感は前月比で1ポイント低下しました。雇用関連の数字も小幅に低下しました。社員50人未満の中小企業は大企業よりも海外経済の減速やドル高の影響を受けにくく、ここ数年、米国の雇用拡大を支えてきましたが、ここにきて停滞していると言えます。調査を行っている中小企業の業界団体は各企業に最も深刻な課題は何かを10項目から選ばせています。1位が税金、2位が政府の規則です。その第3位は労働者の質が深刻な課題として挙げられました。熟練労働者の確保が課題となっています。熟練労働者の獲得のため、中小企業に賃金の引き上げに踏み切る体力が戻ってくるかが米経済が力強さを取り戻すカギとなりそうです。


■みずほ総研チーフエコノミスト/高田創(はじめ)氏

・ TPP発行の米承認
第一次大戦後、アメリカの提案で国際連盟を作ったが、自分は加盟しなかった。今回もアメリカ主導ですが一抹の不安はある。アメリカが入らないと成り立たない。有りうるとすれば、①レームダック・セクションつまり新大統領が決まった後で、新大統領になる前、即ち11月から来年1月までの時期にオバマ大統領の手で決めてしまう。もしくはそれができないとすると、②新大統領はすぐにはできないので、2017年後半か2018年に入ってから決める可能性です。新大統領も大統領になればやらざるを得ないと思っていますので、本音はオバマ大統領に決めてもらったほうがありがたいと思っています。

・GDP改定値
Q.--GDPの改定値が出て、若干の上方修正になりました。いま日本経済はどういう局面だと認識していますか。
A.やはり踊り場だと思います。2015年4-6月期がマイナス成長、2015年7-9月期はようやくプラスに転じたんですが、また2015年10-12月期がマイナスです。プラス・マイナスを行ったり来たりしている状況です。今年1-3月期はほとんど0近辺だと思います。ちょっとぶれるとまたマイナスかもしれない。2期連続マイナスになると5月の伊勢志摩サミットのころは、消費税や衆院解散など政治的に微妙な時期になる。
Q.--気になるのは個人消費が下方修正されたことです。
A.もともと2015年10-12月期は暖冬の影響が出ていたんですが、1-3月期になってもあまり強くないです。
Q.--夏まで待っても回復しない状況ですか。
A.賃金面でベアに期待してたんですが、今の状況ではそれもあまり強くなさそうです。企業は財務体質が良いので設備投資でお金を使おうとしてるところに、年初からの反動が来てしまった。


■ニュース特集

限界に挑戦 「鬼トレ」時代が到来か!?
東京・赤坂。24時間ジムで汗を流す仕事帰りのビジネスマン。運動をするのは「疲れを取るため」という。こうした欧米では一般的な考え方が日本でも広がりつつあります。筑波大学でスポーツと脳について研究する専門家に科学的に検証してもらうと、運動をすると脳の機能が回復し疲労度が回復していることが分かりました。こうした中、フィットネスをハードに進化させた「鬼トレ」が注目を集めています。アメリカ発祥の「クロスフィット」は10個の運動パターンを満遍なく行うトレーニングで、米軍の特殊部隊や警察も導入しています。ローイング(ボート漕ぎの動きを再現)、デッドリフト(バーベルを使ったトレーニング)、ボックスジャンプ(飛ぶ力を鍛える)など、日常で使える運動能力を鍛えます。1時間と言う限られた時間で目標を達成していくトレーニング方法が、仕事にも生かせるとビジネスマンに人気です。こうした「鬼トレ」の人気を受け、スポーツメーカー各社も戦略を変えてきています。リーボックは先月、タフフィットネスを体験できる施設「フィットネスバトルクラブ」をオープン。週末になるとクロスフィットを極めた猛者たちが集結し、ハードトレーニングのスピードバトルが行われます。建物全体を縦横無尽に駆け回り、鍛え上げられた体を使ったフィットネスエンターテイメントで客を魅了します。またショーだけでなく本格的なハードトレーニングを受けることもできます。人気インストラクターと契約し商品開発につなげるなど、フィットネスブランドとして自社の商品を訴求します。ブランドの再構築を目是すリーボックは、競技用商品の生産を廃止し、フィットネス用品に特化する戦略に舵を切りました。
《リーボック/マーケティング事業本部/杉山大祐ディレクター》
「インストラクターのフィードバックを商品の開発とかマーケティングの戦略に生かすことも非常に大きなポイントです。フィットネス市場における圧倒的なナンバーワンを確立していきたい。」
アメリカ発祥のクロスフィットは毎年世界大会が開かれていて、去年は27万人が参加したという事で、ビジネス面でも無視できない存在になってきています。
取材先
・マガジンハウス
・アディダスジャパン
・筑波大学


■ニュース

東京・横浜 ヨーカ堂 閉鎖店舗名を発表
流通大手のセブン&アイ・ホールディングスはきょう、業績が低迷する傘下のスーパー「イトーヨーカ堂」20店舗について予定を前倒しして、来年2月までに閉鎖すると発表しました。閉鎖店舗名が明らかになったのは3店舗で、横浜市の食品館本牧店と東京・品川区の戸越店。さらにイトーヨーカドーの創業店舗のザ・プライス千住店です。千住店は今後ほかの業態への切り替えも検討しています。また、同時に発表したのがグループのそごう柏店と西武旭川店の9月末での閉鎖です。セブン&アイの村田社長は「グループの利益が最大の時に構造改革をする」と、コンビニ事業が好調で5期連続の最高益を見込むいまが事業を整理するタイミングと強調しました。今後も力を入れていくネットで注文した商品を店などで受け取るオムニチャネル事業の中心となるコンビニ事業が主役。百貨店やスーパーを閉鎖する一方で、コンビニ事業へと経営資源を振り向けていきます。


TPP法案を閣議決定 海外1,900社が日本市場へアピール
政府はTPP協定の国会承認を求める議案と関連法案を閣議決定し国会に提出しました。本文と関連法案、合わせて5200ページに及びます。関連法案は11の法律の改正案を一つにまとめたものです。関連法案では、牛肉や豚肉農家の赤字を補填する対策や、音楽や書籍の著作権の保護期間の延長などが盛り込まれました。法案は来月上旬から衆議院の特別委員会で審議される見通しで、政府与党は6月までとなる今国会の会期中に、協定の承認と関連法案の成立を目指します。
8日から幕張メッセで始まったアジア最大級の食品展示会「フーデックスジャパン2016」には、2月のTPPの大筋合意を受けて、海外から過去最多となる1,900以上の企業や団体が海外から出展し、日本への売り込みに力を入れていました。一方、日本の企業や自治体も海外からのバイヤーに商品をアピールしました。また、農家ナンバーワンを決めるイベント「N-1サミット」では、TPP加盟国出身の外国人に日本の農産物を試食してもらう試みも始まりました。ただ、11月に行われるアメリカの大統領選挙の主な候補者はTPPに反対していて、議会での承認が見通せない状況です。


“ドボジョ”20万人へ増加計画
建設現場で深刻化する人手不足に対応するため、日本建設業連合会は今後5年で現場で働く女性を20万人に増やす計画です。東京ビックサイトで開かれた「建築・建材展」では、そうした“ドボジョ”を支える製品が展示されています。仮設トイレメーカーの日野興業は女性専用のピンクの仮設シャワールームを開発しました。女性の開発チームが女性目線で作り、ドアには二重ロックを施すなど女性が安心できる設計になっています。スポーツウエアなどを手掛けるダイヤ工業は女性作業員向けのアンダーウエアを作りました。テープ状の素材が、男性に比べて筋力の弱い女性の動きを補助します。一方、人手不足の現場ではロボットの活躍も期待されています。大和ハウス工業は床下を点検する小型のロボットを展示しています。狭い床下も自由に動き回れ、高齢の作業員にはつらい作業を代わりに担うことができます。


民主・維新の新党名 公募資料を入手
民主党と維新の党が行った新党名の公募について、非公開となっている公募結果をテレビ東京が独自に入手しました。それによりますと、2万通の応募全体のトップは、およそ1,500通寄せられた「民主党」で、従来通りの党名が最も支持されました。ついで「立憲民主党」が、およそ750通、民主と維新から1文字ずつ取った「民新党」がおよそ300通と続きました。また、党名の一部に「民主」を含むアイデアは、およそ6,400通寄せられた一方、「維新」を含むアイデアはおよそ600通にとどまりました。新党名に「民主」を残す案が優勢だと判明したことで、今後の党名をめぐる協議に一定の影響を与えそうです。


GDP改定値 年率1.1%減に上方修正
内閣府が発表した去年10月から12月のGDP=国内総生産の改定値は、伸び率が前の期に比べ実質で年率マイナス1.1%と、先月公表された速報値から0.3ポイント上方修正しました。不動産や運輸業などの投資が増え、設備投資が小幅に上方修正されたほか、民間在庫が増加したことなどが上方修正につながりました。ただGDPのおよそ6割を占める個人消費は小幅に下方修正されています。


アサヒ 海外戦略を強化へ
今月アサヒビールの社長に就任する平野氏とアサヒグループHDの社長に就任する小路氏が会見を開き、海外事業を強化する方針を示しました。先月、アサヒグループはヨーロッパのビール会社4社をおよそ3,300億円で買収すると発表しています。
《アサヒグループHD/小路明善次期社長》
「グローバル戦略の推進を進めてグループ全体の海外での売上高比率を高めていきたい。」

巨人 渡辺恒雄最高顧問が辞任へ
プロ野球巨人の久保博社長は今夜記者会見し、高木京介投手が野球賭博に関与していたことが明らかになったとして、渡辺恒雄球団最高顧問など球団幹部3人が引責辞任することを発表しました。巨人では、去年秋に野球賭博に関わった選手3人が無期限失格処分となっています。高木投手は2014年の4月から5月にかけて8~9試合で現金をかけていたということです。


日欧で林業連携を!
ともに豊かな森林を抱える日本とスウェーデンが協力して林業を活性化しようというイベントが開かれました。来日したスウェーデンのブクト農相はきょう、東京で開かれたセミナーで森林を活用した経済発展をめざして日本との連携の強化を訴えました。東京で林業に携わる日本人女性は、若者が森林に積極的に関わる重要性を説明していました。チェーンソーを使った木彫りのパフォーマンスも披露されました。


■【トレたま】釜石づくしの“海まん”

【商品名】 釜石 海まん(泳ぐホタテのアヒージョ・三陸天然鮭のグラタン・三陸極鮮炙り鯖のカレー)
【商品の特徴】釜石の企業が集まり、地元の食材でつくった海鮮まんじゅう「海まん」
【企業名】 KAMAROQ
【住所】  岩手県釜石市両石町4-38-9
【価格】  350円~
【発売日】 発売中
【トレたまキャスター】大澤亜季子



2016.3.8 Newsモーニングサテライト

2016年03月08日 07時00分00秒 | MS
■マーケット

NYマーケット 高安まちまち
今週は重要指標が少ない中、来週にかけて、主要国の中央銀行の会合が予定され、金融政策の影響が意識されやすくなりそうです。特に、日本とユーロ圏のマイナス金利について、週末、BISが懸念を示し、金融機関への悪影響などから金融株への重石になるとの見方もあります。株価は午後に入り上げ幅拡大。FRB高官の物価に対する見方が分かれ、材料としては判断の難しいところです。増産凍結協議の進展期待から、原油価格が今年初めて終値で37ドル台を付け、株価を支えたものの、一時的な買い戻しとの慎重な見方も多いようです。現在の株価、結局高安まちまちです。ダウが5日続伸、67ドル高、1万7,073ドル。ナスダックが5日ぶりの反落です。8ポイント下落、4,708。S&P500が結局プラス、5日続伸です。1ポイントプラスの2,001。1月6日以来の2,000回復ということになりました。


【NY証券取引所中継】原油価格に光明?
解説は三井住友アセットマネジメントNYの曽根良太氏
WTI原油価格はきれいなダブルボトムを形成しています。S&P500指数もこれに連動し、WTIの落ち着きが株式市場のリスク許容度を押し上げている印象です。ここ最近の原油価格の上昇は増産凍結の議論が進んだためで、さらに先週、3月20日からロシアで減産凍結に関する協議が開催されるとの報道が出てさらなる原油価格上昇の期待が高まっています。ただ、一段の価格上昇には『増産凍結』ではなく、世界的に在庫が過去最高水準のため、やはり『減産』が必要です。今回、増産凍結の合意に至ったとしても、市場の期待は既に高まってきているため、最低でも6月のOPEC総会で減産が合意できるような地ならしが印象付けられないと失望売りを誘うことになると思います。


【NY証券取引所中継】逆風続く 原油企業
解説は三井住友アセットマネジメントNYの曽根良太氏
石油最大手のエクソン・モービルも最高格付けトリプルAから初めて格下げされる懸念が高まっています。特にS&Pは先月、格下げを示唆する「ネガティブ・ウォッチ」に見通しを引き下げています。エクソンは原油価格が10ドル台で低迷していた80年代後半やリーマンショック後の急落局面でも格下げされず、もし今回格下げされれば石油業界の地位低下の象徴になるかもしれません。
資金繰りはしています。ここ数週間、大手などは大幅減配や大規模な資産売却計画の発表のほか、経営に不透明感が募り、社債発行が厳しい状況の中でも株価の下落を覚悟で大規模な増資を発表しています。通常、増資は多くても発行済み株式数の10%程度ですが、マラソンオイルと言う会社が発行済み株式の20%に当たる大幅増資を発表しています。
今回の大規模な増資は生き残り策としての意味合いが強く、業界再編を妨げる可能性があります。実際エクソンは先週の投資家説明会で、最近の増資トレンドに懸念を示し買収に消極的な姿勢を示しました。業界再編は原油価格を上昇させるきっかけにもなるために、その期待が遠のいた印象です。


【為替見通し】注目ポイントは「欧州の注目イベント」
解説はSMBC信託銀行プレスティアの尾河眞樹氏
112.80~113.80
木曜日のECB理事会に注目が集まる中で、神経質な相場展開になっていて欧米株の上値が思い中でドル円も軟調地合いとなっています。
アメリカの経済指標が市場予想に対して上振れたか下振れたかを示すエコノミックサプライズ指数ですけども、最近の指標の改善傾向を受けて急速にマイナス幅を縮めています。アメリカの過度な景気後退懸念が和らいだことを示していて、ドル円が上昇する環境は整いつつあると思います。ただ年度末に向けた本邦税の資金回帰いわゆるリパトリエーションなどが目先ドル円の上値を抑えそうです。
10日の ECB理事会も重要イベントなんですが、個人的には週末 13日にドイツの 3つの州で行われる州議会選挙に注目しています。ドイツでは難民問題が深刻化する中、国民の政府に対する支持率が急速に低下していますが、一方で難民の受け入れに反対する極右政党が支持を伸ばしているようです。来年ドイツでは日本の総選挙に当たる連邦議会選挙が予定されているだけに、今回の州議会選挙にメルケル首相が率いるキリスト教民主社会同盟が仮に大きく敗北したりすると、今後のドイツ政局の不透明感やEUの協調に対する懸念が高まってリスク回避の動きから一時的に円高に向かう可能性もあるので注意が必要です。


【日本株見通し】注目ポイントは「ボリンジャーバンド」ボリンジャーバンド.JPG
解説はインベストラストの福永博之氏
16700~17000
今週木曜日にECB理事会、週末にはメジャーSQが控えていますので、少し様子見ムードになると思います。
「ボリンジャーバンド」は株価の方向を5本線で表しているんですが、真ん中が25日移動平均線です。内側の2本線(-σ~+σ)の中に収まる確率が約68%、外側の2本線(-2σ~+2σ)の中に収まる確率は95%という標準偏差から作られているものです。そんな中で、上から2本目の線(+σ)に押し返されたのが昨日の動きです。こういう動きは弱い時に起こります。今週弱い動きが続きますと25日平均線まで下落することが考えられますので要注意です。一方で(+σ)を上回ってきますと強い動きになってきます。


【世界の株価】7日の終値
総合指標.jpg















■【経済視点】
インベストラスト/福永博之氏 「金融政策」
みずほ証券/土屋剛俊氏 「合成の誤謬」
意図した方向と異なる結果が出てしまう。


■【プロの眼】金融政策の効果 日本株は一時的?金融政策の効果.JPG

今週木曜のECBを皮切りに日本、アメリカが立て続けに金融政策を発表する。今回同様、日米欧の金融政策決定の日程が近かった去年12月の市場の反応を見ると、株価上昇や円安ドル高への効果は一時的で、特に日本の株価は金融政策ではなく、ドル円の動きに左右される事が分かる。日本、アメリカは現状維持、ECBは追加緩和との予想のもと、注目はユーロ円の反応が波及したドル円の反応と見る。解説はインベストラスト 福永博之氏

ECBの方はマイナス金利拡大、日銀とFRBは動かないと予想している。その動きを見る上で重要なのが為替の反応です。去年12月の日米欧の金融政策に伴う市場の反応はいずれも円高・株安になっている。3日のECBのマイナス金利拡大の発表では、ユーロ円は円安方向。これは発表までショートポジションを積んでいた投資家がいて、失望により買い戻しにつながってユーロ高円安になった。16日のFRBの利上げ発表では円安ドル高で株高というわかりやすい結果だった。18日の日銀の補完措置の発表では乱高下でしたが結果的には円高に終わった。結果的に日本株はドル円に連動して動いている。ECBがマイナス金利拡大だけだとやはり失望です。マーケットでは乖離資産の増額も予想している筋がありますので、それに向けてポジションを作っているところは、失望で買い戻しにつながります。つまり去年12月3日の流れになります。その当たりが来週以降あるいは3月の日本株の動きを決めそうなので注目です。


■ニュース特集

米ハイイールド市場の現状ハイイールド1.JPG
2月に大きく価格が下落したハイイールド市場(高利回り社債とローン市場)現在は投信などの資金が戻りはじめ、持ち直しつつあるように見える。ただ、現在のクレジット市場は投資銀行などへの金融規制を強化した結果、流動性が著しく低下し、一旦価格が下落を始めると理論値を突き破って下落が止まらなくなる可能性が高くなっている。ハイイールド商品の多くは投資信託などが保有しているが、投信の損失を埋めるためにFRBが買い支えることは難しいうえ、大統領選を控えて、どの候補者も“反ウォールストリート”にならざるを得ず、金融規制の緩和も難しい。今後どんな対応を取り得るのか注視していく必要があると見る。解説はみずほ証券 土屋剛俊氏
ハイイールド2.JPG
米国のハイイールド債市場の現状は、社債で160兆円くらい、ローンで100兆円、合計でだいたい260兆円くらいのマーケットです。ハイイールドETF価格を見ていただくと、月初にはピーク時より20%ぐらい下がっていて、スプレッド=上乗せ金利でいうと8%ぐらい上がってます。直近では原油価格が戻っていることもあり、若干、資金が流入して少し戻しているというのが現状です。
ハイイールドのスプレッドをセクター別に確認。スプレッドが広がっているのはダントツでエネルギーだが、ほかも全体的に見ると以前の水準と比べると明らかに高止まりしています。債務不履行も起きつつあり、石油・ガス会社は先月、利払ができなかったという話も出てきています。治癒期間があり、今月半ばぐらいまでに戻せないといよいよデフォルトです。今回の一番の問題点は流動性の低下です。金ハイイールド3.JPG融システムを守るための規制強化により、リスクをシステムの外に出したことで、買い向かったりと一番、流動性の供給をしていた人たちができなくなってしまったという背景があり、何かのきっかけで値段が下がり始めると止めるという作業ができなくなり、価格の下落が誘発されやすい状況になっています。
流動性を供給していた金融機関が買い進んでいないとなると、今、買っているのは、ディストレストと呼ばれる破綻債券などに投資するような人たちが出てくるしかなく、買値がものすごく低く、そこまで値段を下げないと商売が成立しないということが起こりうる。実際、現在のハイイールド商品の保有割合で見ると、運用会社が8割を占有。その運用会社の後ろにいるのは6割ぐらいが投資信託、3割ぐらいが年金と言われている。明らかにハイイールド投信のような形で特化しているものはある程度分かるが、それ以外にも、年金の運用の一環として金融機関が選択肢のような形で入れることもあり、最終的な年金の受け取り手は必ずしもリスクを強く意識しているわけではない。ただ、サブプライムとは異なり、一定以上価格が下がりうるというだけで、ある一定のところまで行けば相応の安定化が見られるだろう。


■ニュース

3月8日
WTI原油 2ヵ月ぶり高値
7日のWTI原油先物価格は5%以上上昇し2ヵ月ぶりの高値をつけました。しかしアメリカの原油トレーダーはこの上昇は続かないと予想します。原油先物取引に15年間携わるコズロウスキー氏は、原油価格は26ドルで底を打ったものの生産量と在庫を見る限り、原油安は今後も続くと見ています。
《ファー・ファイナンシャル/グレイ・ゴズロウスキー氏》
「うわさで買って事実で売る。これを繰り返しているだけ。前回もうわさで30ドル前半に上昇し、26ドルまで下落した。今回は増産凍結に多くの国が参加するというわさで買われた。しかし産油国のまとめ役が不在で、増産凍結を監視する機能もない。一時的に39ドルから40ドルまで価格上昇する可能性もあるが、この上昇は続かない。すぐに30ドル前半まで押し戻される。WTI原油の生産量は今なお日量900万バレル超を維持している。さらに在庫も高い水準にあるが、需要はそれほど強くない。原油価格が40ドル以上になる可能性は低いと思う。今後は30ドル台で推移し、最悪28ドルまで下落するだろう」


FRB高官 物価で異なる見解示す
FRB=連邦準備制度理事会の高官2人が7日、今後の物価について異なる見解を示しました。フィッシャー副議長が物価は上昇に向かうと見る一方、ブレイナード理事は慎重な見方を示しました。「インフレ率の上昇が起こりつつある」フィッシャー副議長は講演の中でこのように述べ、雇用情勢の回復などを受け物価は上昇するだろうとの考えを示しました。追加利上げの時期については明確にしませんでした。一方、ブレイナード理事は7日の講演でインフレ率がFRBの目標に向かっているという明確な証拠を示すべきとして物価上昇について慎重な見方を強調しました。


米労働市場情勢 2ヵ月連続マイナス
アメリカのFRBが公表した2月の労働市場情勢指数は、マイナス2.4と2009年6月以来の低水準で、2ヵ月連続のマイナスでした。また市場予想も大きく下回りました。先週発表された雇用統計では堅調とみられたアメリカの雇用市場の動向に疑問符がついた形です。


政府 知事に是正指示
政府と沖縄県が普天間飛行場の辺野古への移設をめぐる訴訟で和解したことをうけて、政府は和解条項に基づく手続きに入り、辺野古の埋め立て承認の取り消しに対して是正指示を出しました。政府はきのう沖縄県の翁長知事による名護市辺野古の埋め立て承認の取り消しに対して、撤回を求める指示を出しました。ただ、県内移設に反対する沖縄県はこの指示を拒否する構えです。また、和解条項にある政府と沖縄県の協議も難航することが予想され、再び法廷闘争となる可能性があります。こうしたことから一部の野党からは参院選を前に問題の先送りだと政権を批判する声が上がっています。一方、中谷防衛大臣はアメリカの国防総省幹部と会談し、和解した経緯を直接説明し、今後の対応を協議しました。


マイナス金利 株高・円安に
日銀の黒田総裁は東京都内で講演し、マイナス金利の導入によりローンなどの金利が下がっていることが株高や円安につながるとの考えを示しました。足元では株安・円高傾向が続いていますが、投資家が冷静になれば市場は落ち着くと述べました。また、マイナス金利付き量的・質的金融緩和政策の効果は「極めて強力」だとして、この政策のもとで「デフレに戻ることはない」と強調しました。


山手線 新型車両の運転再開
ドアなどのトラブルで運転を中止していた山手線の新型車両「E235系」についてJR東日本は、システムの不具合を改善したとしてきのう、運転を再開しました。この車両は、去年11月30日に運転を開始しましたが、初日にドアが開かないなどのトラブルが3件発生し、運行を取りやめていました。JR東日本は2020年までに山手線の全ての車両を新型車両に切り替える方針です。


ドライブレコーダー 義務付けへ
長野県軽井沢町で起きたバス事故を受けて国土交通省は、貸し切りバスに映像や速度などを記録するドライブレコーダーの設置を義務づけることを決めました。貸切バスでのドライブレコーダーの普及率はおよそ2割で軽井沢町の事故でも設置されておらず、事故原因の究明が難航しています。国交省は、事故原因の究明のほか運転手の教育にも役立てたい考えです。


中国財政赤字「一定の拡大余地」
中国の楼継偉財政相はきのう全人代=全国人民代表大会にあわせて会見を開き今年の財政赤字について「一定の拡大の余地がある」として、拡大を認める方針を改めて示しました。中国政府は製鉄や石炭産業の構造改革に伴う失業者対策や景気の下支えのための企業減税のために積極的な財政出動を行う方針で今年の予算案ではGDP=国内総生産に対する財政赤字の割合を去年より0.6ポイント高い3%としています。


田母神氏事務所を捜索
2014年2月の東京都知事選に出馬し、落選した元航空幕僚長の田母神俊雄氏などが、政治資金を流用した疑いがあるとして、東京地検特捜部は、田母神氏の事務所などを家宅捜索しました。業務上横領の疑いで捜索を受けたのは田母神氏の資金管理団体「田母神としおの会」の事務所などです。この団体は、2014年の都知事選にあわせて設立されましたが、支出のうちおよそ5,000万円が使途不明金とされています。田母神氏は去年、会計責任者が着服したとして警視庁に刑事告発しましたが、その後、陣営の元幹部が田母神氏も不正に資金を流用した疑いがあるとして特捜部に告発していました。特捜部は、押収した資料を分析するなどして、実態の解明を進めるものとみられます。


シャラポワ選手 ドーピングで陽性反応
四大大会で5回のシングルス優勝を果たしているロシアのシャラポワ選手がつい先ほど会見しドーピング検査で陽性反応が出たことを明らかにしました。陽性反応は1月の全豪オープンで受けたドーピング検査で判明したもので、10年間、服用してきた薬が1月新たに禁止薬物となったことを認識せずに使い続けていたとしています。シャラポワ選手は「引退を発表するならこんなひどい絨毯のホテルを選ばない」として引退を否定しました。


■【ネタのたね】長崎アンテナショップ

東京・日本橋に長崎県が初めて手掛けるアンテナショップが、きのうオープンしました。コンセプトは「和・華・蘭」文化です。中国やオランダとの数百年に渡る貿易を通じて育まれた長崎の「和・華・蘭」文化。カステラの原型といわれる焼き菓子や中華菓子などの特産品から文化の一端が感じられます。長崎県は、お祭りショーなども催し、年間24万人の来場を目指します。


■日経超特急

①NTT、米デルの部門買収
NTTはアメリカ・デルのITサービス部門を買収する方向で最終調整に入った。買収額は4000億円超になる見通しだ。デルが持つ医療機関や自治体などの顧客網を足がかりにビッグデータ活用などの急速な普及で増大するシステム構築需要を取り込む。


②MMF 全社が資金返還
野村アセットマネジメントなど資産運用大手はMMF(マネーマネジメントファンド)の運用を止め、資産を投資家に返す方針を固めた。マイナス金利の煽りで安定した利回りを確保できなくなったためだ。MMFを扱う全11社が償還する見通しで、一時は残高が20兆円を超えた人気投資信託が事実上姿を消す。


③中国外貨準備、286億ドル減
中国人民銀行は7日、先月末の外貨準備高が前の月に比べ286億ドル減ったと発表した。4ヶ月連続の減少だが、1月まで月に1000億ドル前後減っていたのに比べ、減少額は大きく縮小した。アメリカの追加利上げ観測後退で、人民元の下落圧力が一時的に緩んだことが大きいとみられる。中国の外貨準備高は世界最大だが、ピーク時に比べると足元ではおよそ2割減っている。


■日刊モーサテジャーナル

①全人代の注目点 バブル懸念に対応(フィナンシャル・タイムズ/ウォール・ストリート・ジャーナル)
先週末に開幕した中国の全人代について欧米の各紙が注目点を挙げている。フィナンシャル・タイムズ紙は、今年の経済成長率の目標が市場の予想より高い6.5~7%なのは「野心的」だとし、ただし、その野心的な成長率の達成に気を取られすぎ、改革が進まないのではとの懸念の声を伝えている。
一方、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が注目したのは、中国政府がバブルを監視するため新たな方針を打ち出したこと。中国では通貨供給量、いわゆるマネーサプライが増加する中、その行き先が、資金の必要な企業ではなくバブルの原因となる投機にも向かっていると指摘。これに対応するため、中国政府は今年のマネーサプライの伸び率と、銀行の融資額などの伸び率を同じ13%で連動させるという目標を初めて設定したと報じ、記事では、「資金が実体経済に使われているか正確に把握するための方策」と評価する専門家の声を伝えている。


②米国では車のリースがブームになっている。普通では買えない高級車も月々のリース料を払うことで運転できるのが魅力。全体の自動車販売の中でリースが占める割合は急上昇し、今や3割に上るという。しかし、リースには欠点も。今後、リース契約のキレる車が続出するとみられ、今年は約310万台と、前年比で20%増の見通し。リース車は一般的に状態が良いものが多く、これが市場にあふれると中古車・新車の販売価格下落の可能性もあると記事は分析している。(ウォール・ストリート・ジャーナル)


③開幕投手に期待も 今シーズンが正念場?(デイリー・ニュース)
6日のオープン戦に初登板したヤンキース・田中将大投手は、来月の開幕戦に向け準備を進めているとコメント。これを受け、地元のデイリー・ニュース紙は、HIRO=田中投手が開幕投手を見据えていることに期待を寄せているが、一方で、解説のコラムでは、本当にエースとして認められるか、今季が正念場と厳しく分析。「過去2シーズンを見る限り契約金200億円に見合う活躍はしていない」と指摘し、とりわけ昨シーズンについては「1試合につき1.5本のホームランを打たれていて、エースとは言い難い」としている。