風を読む-Newsモーニングサテライト-

モーニングサテライト・ウォッチ

2016.3.14 wbs・ワールドビジネスサテライト

2016年03月14日 23時59分59秒 | WBS
■マーケット

株価上昇 “機械受注”好調のワケ
11日にニューヨーク株式市場でダウ平均株価の終値が今年最高値になったことや、上海総合株価指数が上昇していることを受けて、きょうの日経平均株価の終値は前の日と比べて、1万7,233円75銭で大幅な上昇となりました。また午前中に内閣府が発表した今年1月の機械受注統計も株価上昇の支えとなりました。船舶・電力を除いた機械受注額は9,347億円で、前の月と比べて15%増加しました。2005年度以来、過去最大の伸び率です。大型の受注案件があり前の月と比べて約10倍の上昇をした鉄鋼業が、伸び率の上昇に大きく貢献しました。また非製造業についても金融・保険業からの大型コンピュータの受注が増え1.0%増加しました。ただ内閣府は基調判断で、鉄鋼業からの大型案件による一時的な上昇であるとして「持ち直しの動きがみられる」に据え置きました。


独、反難民政党が躍進
ドイツ東部の3つの州では、13日に行われた地方選挙で反難民・反移民を訴える新興の右派政党「ドイツのための選択肢」が大きく票を伸ばし、初めて議席を獲得しました。逆に難民や移民に寛容な政策をとってきたメルケル首相率いる与党は大きく議席を減らしました。これは今後のEUの難民政策にも影響しそうです。そのEUをめぐっては先週、タブロイド紙「サン」がエリザベス女王が英国のEU離脱に賛成と報じ、直後に王室が「記事は誤報」だと抗議する騒動がありました。最近のタブロイド紙にはEUに批判的な記事が目立ちます。タブロイド紙はかつて、英国のユーロ加入に強く反対し、阻止したという実績もあり、6月の国民投票に与える影響も小さくはないとみられます。
中継担当:ロンドン支局 豊島晋作記者


■大和総研チーフエコノミスト/熊谷亮丸氏

・変なホテル 1泊2万5千円~
Q.--日本のサービス業は生産性が低いとよく言われますが、こういった取り組みで生産性は上がっていきますか。
A.これだけではなかなか改善しません。そもそもアメリカと全然生産性が違っています。アメリカを100としたときに日本の飲食業は4分の1しかない。結局質は高いが適正な値段を取っていないです。お金にならないと生産性には換算されないです。非常に優れたサービスをしていますが、日本のような国で1泊2食付で1万円で泊まれる国は無いわけですから、ちゃんとお金を取っていくことが第1点。もう一つは賃金が低いという問題があって、労働市場が2極化することによって非正規の賃金が低迷しているわけですから、ここを上げていくことが生産性の上昇につながっていくということです。
--サービスの生産性というのは賃金で測られているんですか。
結局なあなか測定ができないので、賃金が低ければ売値も低いという悪循環になっています。そこが卵と鶏どちらかという問題ですから、賃金を上げることと売値を上げること、これを同時にやることが最大のポイントです。


・--機械受注統計をどう分析しますか
鉄鋼の大型受注の除いても、前月比2%以上伸びていますので、全体としては設備投資は底堅い。機械受注はだいたい設備投資に3ヶ月から6カ月くらい先行しますので、非常にしっかりした動きをしていると思います。
--心配な部分はありますか
非製造業は内需が強くて人手不足なので、非製造業はしっかりしていますが、製造業の方が円高や海外経済の下振れ懸念などがり、海外経済次第で製造業の下振れをリスク要因として警戒する必要があると考えています。
--1~3月期のGDPはどうなりますか
いまのところ小幅なプラス(前期比年率+0.5%位)だと思っています。ただ今後の状況次第では下振れリスクがあると考えています。


・宮崎産キャビアに続く高級食材はなんでしょうか
注目しているのはサバとリンゴです。昨年1年間で見るとよく話題になる日本酒や和牛は前年比で20億円程度しか伸びていません。ところがサバは60億円以上、リンゴは50億円弱伸びています。要は日本で見るとサバとかリンゴは普通のものですが、海外に持っていけば最高の品質です。ですから内外価格差が非常に大きいということです。例えば日本のスイカが中東で3万円で売れる。そういう利幅が大きいところに勝機があるということです。そのニーズをくみ取ることです。



■【ロングセラー研究所】都こんぶ

「なんばグランド花月」で人気を集めていたのが、吉本新喜劇座長すっちーと「都こんぶ」のコラボ商品。大きさは通常の30倍です。85年の歴史をもつ「都こんぶ」。北海道南部でとれる真昆布を使用します。味付けや粉まぶしに2日ずつ使い、完成まで5日間かけます。創業者の中野正一氏は、小学校卒業後、酢昆布メーカーで下働きをはじめ、「甘い味付けをしたら売れる」と思い19歳で独立します。1950年代には東京にも進出し全国区となりましたが、使っていた甘味料が突然使用禁止になりました。約7年間の試行錯誤の後、調味料を振り掛けることを思いつきます。逆転の発想で新たなファンを増やし、現在まで続くロングセラー商品となりました。
取材先 中野物産株式会社


■ニュース特集 震災5年必ず立ち上がる(4)

被災地の子どもたちをどう育てるか
今回の特集は、被災地の未来を担う子どもたちをどのように育てていくのかについて取材しました。取材したNPO団体によると、学習意欲が高いにも関わらず、塾や習い事をあきらめる子どもたちは少なくないといいます。一方、親が子どもを学習塾などに通わせない理由として「経済的余裕がない」と答えたのは全国平均の約4割に対して、被災地では75%。子どもたちが学習意欲を失わないための支援の強化が求められています。

・ NPO法人「チャンス・フォー・チルドレン」(代表 奥野慧)
阪神大震災で被災した子供たちのため2009年に設立。5年間で1016人の子供へ総額約2億2000万円を支援を行ってきました。ピアノ教室や学習塾、スポーツ教室など、約3000ヶ所でクーポンが利用できる。その資金は100%民間からの支援になっており、株式会社ポケモンや日本航空、三井広報委員会から継続的に支援があります。それでも資金には限界があると言います。2014年度実績では支援を希望する子供たち1807人のうち、援助できる割合は14%(263人)というのが実情です。

・NPO法人「TEDIC」の勉強会
ボランティアの大学生から勉強を教わる。学習支援だけでなく子供たちの居場所になっています。

今回取材をしましたNPO団体によりますと、学習意欲が高いにもかかわらず塾や習い事を自発的に諦める子供たちが少なくないそうです。親が子供を学習塾などに通わせない理由として、全国平均で見てみると経済的理由を挙げるのは4割位なのに対して、被災地で見ると75%に達しています。子供たちが学習意欲や学習機会を失わないためにもこれからも支援が必要だということです。


■ニュース

20グラムで1万円 国産キャビア 輸出解禁!
宮崎県が、30年以上にわたって研究・開発を続けてきたチョウザメの卵「国産キャビア」が、初めて世界基準をクリアしました。「全日空」のファーストクラスで3月から機内食として採用されたのが「宮崎キャビア1983」です。価格は、20gで1万円からと世界水準で見ても高級品です。3月9日に水産庁から正式に登録され、日本で初めて輸出が可能になりました。キャビアの容器には再使用が不可能なラベルを貼ることが義務付けられています(国際統一ラべリング制度)。キャビアはワシントン条約で規制されているため、養殖場と加工場、シールの3つの認可がそろわないと正式に輸出入できません。
《宮崎キャビア事業協同組合/坂元基雄参事》
「宮崎県も初めてで制度を作るのに1年かかり、そこから申請して半年位かかった。みんなが手さぐりでようやくたどり着いた輸出です。」
キャビアはチョウザメの卵を塩漬け塩漬けにしたもの。もともとカスピ海周辺で取れたチョウザメは、乱獲や環境汚染で漁獲量が激減し、世界的に養殖が増えています。宮崎県は1983年から養殖の研究を始め、2004年に国内初のチョウザメの完全養殖に成功、2011年に大量生産の技術を確立しました。そして先週水曜日に県内の加工場がようやく認可を受けました。稚魚から卵が取れるようになるまで10年かかると言われます。一粒一粒不純物を取り除いていますが、ここまでやっているところはないと言います。こだわりぬいたジャパンクオリティが宮崎キャビアのブランド力につながっています。3年前から国内販売を開始し、来年度は、最大300キロの販売で1億5,000万円の売り上げを見込んでいます。坂元参事は、世界のキャビアは日本が一番品質がいいというところまで、もっとこだわりを持って作っていきたいと言います。


変なホテル 第2弾 今回は究極の…
去年7月にオープンしたハウステンボスの「変なホテル」。14日、その第2弾の別棟が公開されました。今回の目玉は「エコ」です。東芝が開発した新しい太陽光発電システムを導入しました。太陽光で発電するだけでなく、その電力を使って水道水を電気分解し、水素を作ります。その水素を貯蔵することで、悪天候で太陽光パネルが働きにくい日には、水素を使った燃料電池での発電ができます。新しい72部屋のうち、12部屋の電力をすべてまかなえるといいます。もう1つの目玉はホテルの建材です。CLTという木材を貼り合わせた新しい建材を使っています。繊維を縦横に直角に組み合わせることで、木材ながらも高層建築にも応用できます。CLTは鉄筋コンクリートに比べ工事期間が2ケ月短縮でき、今後大きく発展するとされています。まだ価格は高いですが、九州産の木材を使っていて、大量に使うことで価格の引き下げや地元林業の活性化につなげたい考えです。沢田社長は「このホテルはもっと進化していく」と語ります。


サントリー パワハラ問題 「職場復帰」求め会見
大手飲料メーカー「サントリーホールティングス」のパワーハラスメント問題で、きょう被害をうけた40代の男性社員が「復職」を求め記者会見を開きました。男性は2007年、当時の上司からパワハラをうけ、その後うつ病と診断されました。2015年1月に東京高裁がパワハラを認め、サントリーは賠償金を支払いましたが、男性は現在も休職扱いで「復職」できないといいます。サントリーはWBSの取材に対し「復職要請があったと受け止めていない。復職にあたっては、会社指定の専門医の診察など健康状態を見極めた上で適切に判断する」としています。専門家は、いまパワハラを巡る社員と企業との争いが増加しているといいます。一般的に社員が復職するには体調が回復したと社員の側が企業に示す必要がありますが、パワハラによる休職が増加する中、企業はこれまで以上に真摯な対応を迫られそうです。


“すき家” 10万人の時給UP
牛丼チェーンの「すき家」などを運営するゼンショーホールディングスはアルバイトやパート、およそ10万人の時給を、4月から一律に引き上げると発表しました。時給の引き上げは2年連続で、引き上げ幅は平均2%となります。また、正社員およそ900人についても毎月の基本給を底上げするベア=ベースアップを4年連続で実施します。ベアは月1,500円で、定期昇給と合わせて昇給幅を2%とします。正規、非正規従業員ともに賃金を引き上げ、人手不足の解消につなげます。キリンビールも、2001年以来、15年ぶりとなる「ベア」を実施する方針を固めました。キリンは去年、ビール類の国内市場シェアが6年ぶりに増加に転じていて、ベアの実施で、社員の士気向上に繋げたい考えです。


新党名は“民進党”
今月中の新党結成を目指す民主党と維新の党はきょう、新しい党名を「民進党」にすると発表しました。新党名をめぐっては、維新の党が「民進党」を民主党が「立憲民主党」をそれぞれ提案したため、きのうまでの2日間世論調査が実施されました。世論調査では、民主党の支持者からも「民進党」を推す意見が多かったということです。両党は党内手続きを経て、今月27日に正式に「民進党」を発足させます。


米海軍横須賀基地 新型駆逐艦を配備
アメリカ海軍のミサイル駆逐艦「バリー」がきょう横須賀基地に配備されました。バリーは船自体は古いものの最新鋭のミサイル迎撃システム「ベースライン9」を備え、複数の敵からの攻撃に同時に対応することができるということです。アメリカ軍は去年も横須賀基地に2隻のイージス艦を追加配備していて、ミサイルの発射を立て続けに行う北朝鮮や、南シナ海などで海洋進出を強める中国を牽制する狙いがあるとみられます。


大統領弾劾要求 ブラジルで360万人デモ
深刻な経済危機や政治腐敗が問題になっているブラジルで13日、ルセフ大統領の退陣を求めるデモが全国各地で行われました。地元メディアによりますと、デモには過去最大規模となるおよそ360万人が参加し、「大統領は出て行け。汚職をやめろ」などと抗議の声を上げました。今年8月に迫ったリオデジャネイロオリンピックを前に、ブラジル国内ではルセフ政権に対する不満が高まっています。


国が選んだヘルスケアNo.1は!?
経済産業省などはきょう、国内のヘルスケア事業者のナンバーワンを決める催しを開催しました。およそ50件の応募の中からグランプリに選ばれたのは医師の紹介を手がけるMRTが開発した「ポケットドクター」です。スマートフォンのアプリなどを使い医師から遠隔で診療を受けることができるサービスです。スマホのカメラを使った動画による診療や健康相談で、遠隔地の医療の技術を進化させる可能性が評価されました。経産省は国が事業者のナンバーワンを選ぶコンテストを開くことで、ヘルスケア事業のさらなる活性化につなげたい考えです。


■【トレたま】段ボールでゲームを操作

【商品名】 みるボックスタッチ
【商品の特徴】操作できる段ボール製のVRゴーグル
【企業名】 ホワイト
【住所】  東京都目黒区目黒2-11-3 印刷工場1階
【価格】  2,000円前後
【発売日】 4月下旬予定
【トレたまキャスター】大澤亜季子



2016.3.14 Newsモーニングサテライト

2016年03月14日 07時00分00秒 | MS
■マーケット
マーケット1.JPG
日米の金融政策に注目
今週は、日本、アメリカの金融政策の行方が最大の関心事です。株価が勢いを取り戻す中、市場の期待をつなぎ引き止められるでしょうか?先週末、ダウとS&P500は終値で今年の最高値を付け、上昇トレンド入りのサインといわれる200日移動平均を、今年初めて上回りました。国際エネルギー機関が、原油価格の底打ちを示唆し、原油価格が一時3ヵ月ぶりの高値39ドル台を付けた事も株価の支えとなりました。FOMCでは利上げペースの見通しが最大の注目。会合の前には、小売売上や、消費者物価など重要指標も控えています。では、金曜日の株価です。ダウは反発、218ドル高の1万7,213ドル。ナスダックも反発です。86ポイント上昇の4,748。S&P500は3日続伸、32ポイントプラスの2,022、4日ぶりに2,000回復です。マーケット2.JPG
月曜恒例、専門家インタビューです。今週は、15日からFOMC=連邦公開市場委員会が開かれ、アメリカの利上げの行方が注目されます。専門家は、次の利上げを行うにはさらなる金融市場の安定が必要で、利上げは6月に持ち越されるとみています。
《バークレイズ・キャピタル/マイケル・ゲイペン氏》
「FRBの次の利上げには記入市場の安定が必要だ。つまり利上げの条件は①確実な経済成長、②物価安定、③完全雇用そして④世界の金融市場の安定だ。それには数か月かかると見られ、次の利上げは6月だろう。」
一方、原油価格は底打ちしたとの可能性が指摘されるなどアメリカ経済の押し下げリスクが弱まりつつある中、ゲイペン氏は、次に考えられるリスクとして中国とイギリスを挙げています。
「リスクがあるとすれば、1つは中国の急激な元の切り下げだ。米国の景気後退に直結するわけではないが、物価見通しを引き下げ利上げが遅れる。もう一つのリスクは英国のEU離脱問題で6月に国民投票があるので結果に注目だ。」
0指標.jpg






















【為替見通し】注目ポイントは「マイナス金利幅」
解説は三菱UFJ信託銀行の酒井聡彦氏
先週のドル円は112円台前半から114円台前半のレンジ内で推移しました。ECB理事会では市場予想を上回る金融緩和を実施したものの、ドラギ総裁が追加打ち止めを示唆したことからユーロは対主要国通貨で買われ、ユーロ円は127円台前半まで4円超上昇しました。
今日の予想レンジが113.30~114.90、今日の注目ポイント「マイナス金利幅」。
本日実施される日銀金融政策決定会合では、3月末を控え無用の混乱を避ける必要と、1月に実施した追加緩和策の効果を見極めるため、さらなるマイナス金利幅拡大はしないものと見ています。このマイナス金利幅拡大の見送りが円安基調につながると見ています。2月中旬から原油価格が一旦下げ止まったことなどを受けて、株価指数が世界で10%程度上昇、アメリカの10年債利回りも上昇に転じており、この市場の安定が円安方向に作用すると見ており、日銀が預金金利のマイナス幅拡大を避けることは変動率上昇を抑制することにつながり、市場の安定を助けると考えております。この見方が正しければ3月末にかけてドル円は115円台が視野に入ってくると見ております。


【日本株見通し】注目ポイントは「3月半ばが転機?」日本株見通し.JPG
解説は岩井コスモ証券の林卓郎氏
17000~17300(前終 16938)
大手株式の大幅高を好感して、本日は17000円台でのスタートが予想されます。ただ明日発表の日銀政策については追加緩和を打ち出すか、5分5分ということでポジションを傾けづらいです。
グラフは過去10年間の年前半の値動きを平均化したものですが、年央の高値に向けて3月半ばが上昇の起点となる傾向が鮮明です。3月第2週のメジャーSQを通過して重しが取れるという解釈もありますし、機関投資家の期末処理が山を越すという見方もあります。年初からの下げが厳しかった今年の環境好転が重なって例年通りの3月後半高を期待してよいと考えています。
--明日の日銀の緩和が見送りになった場合の下押しリスクはありますか?
マイナス金利の導入の効果が十分に見極められていない中で、明日は追加策が見送られる可能性も大きいと思われます。その場合は当然期待外れということで短期下落のリスクはありますが、今後に向けて悪影響は限られると見ています。
3株式先物.JPG










【モーサテ・サーベイ】今週のマーケットの見通しを出演者が予想
マーケットや世界経済の先行きを番組のレギュラー出演者へのアンケートから独自に予想します。
・今週末の日経平均予想
  予想中央値 17400 (先週終値 16938)
・今週末のドル円予想
  予想中央値 114.00 (先週終値 113.67)
・モーサテ景気先行指数 9.1


■【NY便り】米金融政策と日欧の関係
今週最大の注目である日米の金融政策。アメリカの利上げと日欧の金融緩和との関係は?そしてFRBはいつ次の利上げに踏み切るのか。ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの雨宮愛知氏が解説。
--先週から今週はまさに中央銀行ウィークです。今回のFOMCで利上げはありますか?
年内は6月と12月の2回を予想しています。
--先週はECBが期待以上の大幅緩和、日本も追加緩和期待がくすぶっている状況の中で、日米欧の方向性の違いが目立っていますが、全体としてはどう捉えたらいいんですか。
基本的には日本と欧州は金融緩和によって(結果的にかもしれませんが)通貨安を通じて自国通貨を浮揚しよう、さらにインフレを浮揚しようという狙いがあったと思います。伝統的には金融緩和というのは国内需要を喚起するものですが、それはかなり限界に近づいています。従って外需を入れてさらに輸出を促進してさらに輸入インフレによって国内のインフレを押し上げたいという思惑が日米欧共にあった。
--アメリカがこれを受け入れられるか。
《アメリカ経済の懸念》NY便り1.JPG
・ ① ドル高
・ ② 新興国の不振
・ ③ シェールバブル崩壊
FRBがどんどん利上げをしてドル高を受け入れられるかという問題ですが、現状ドル高によって製造業の競争力が落ちていて、さらにドル高になると資源価格が落ちるという傾向もあって、新興国景気の不振を招いている。さらにいまアメリカは世界最大の産油国ですが、ドル高から来た資源価格の低下が影響してシェールバブルの崩壊をきたして、鉱工業セクターの不振にもつながっている。
--2014年くらいからこの問題が鮮明になってきた。ただFRBは利上げすると言ったので、旗を降ろせないと思います。
やはり挙げたこぶしを下ろすのはなかなか難しいと思います。国内の労働市場だけを見ると、改善は続いていますし需給はタイト化していますので、①~③のコストを抑えながらなんとか少しづつ利上げを進めていって国内の景気の安定を図りたい、というのがFRBの道で、かなり狭い道を狙っているところです。
--ただ市場はその狭い道が怖いわけですね
市場はそんなに利上げできないでしょう、と思っているわけですが、FRBは市場がドル高にあまり反応しないように、緩やかに利上げしていきたいとして、その均衡点を探っている動きが続いている。
--そのペースでいうと、ドットチャートが有効です。4回年内にあると見ているんですが・・・NY便り2.JPG
おそらく3月は見送りますので、年4回が3回に下がると予想します。ただ金融市場の先物金利とか見ますと、年内1回しか利上げできないという人もかなり増えてますけれども、おそらくFRBはそこまではすり寄っていかない。1回は妥協しても3回くらいに留めておくだろう。これまでFRBの政策金利子傾向を見てますと、一番ベストシナリオを投げてから、事情をが悪くなってきたら下げていく。だから景気が好転すれば3回は利上げできるという可能性を残しておくという意味では3回くらいまでしか下げていかないだろうということです。
--次回6月とおっしゃいましたが、4月という声も囁かれています。
そもそも金融市場の好転が難しい。もし3月見送って4月にやるとなりますと、その1ヶ月に何があったのか、利上げした後の見通しはどうなのか、改めてアップデートして情報を伝えなければならないのですが、残念ながら4月には政策金利も経済予想もアップデートされませんので、コミュニケーションという面でも4月の利上げは難しいです。
--3月に動かないとなると、3月のFOMCの見どころは何ですか。
基本的には足下金融市場は少しづつ改善してきている。しかも経済指標も少し上向いてきている中で、どれだけ利上げモードが戻っているのか、今後どれだけ利上げしたい意欲が高まっているのか、を確認するのが重要になってきています。
--FRBはデータ次第と言います。データは改善していますね。
データというと経済指標やインフレ指標が頭に浮かびますが、今はそれだけではなくて株価や資源価格など金融市場のデータも含めて考えてます。とりわけシェール企業にとっては資源価格は非常に重要ですし、ドル高にも資源価格は反応しやすい。しかもドルそのものが製造業に影響を与えことを考えると金融市場を含めて見極めていくことが大事です。
--指標って少し昔のデータになるから、今の株価などを反映させていきたのですね。FRBの前に日銀がありますが、日銀がもしマイナス金利幅を拡大してしまったら、FRBはやりにくいですね。
マイナス金利による金融市場の混乱と金融機関に対するマイナスの影響も囁かれている。それらを精査するというのが今回の会合だと思いますし、また今回動いてもそのあとのFRBの動きによって効果が打ち消されてしまうかもしれない。そう考えてみると日銀は今回は動かないと思います。


■今週の予定

14日(月) 日銀金融政策決定会合(~15日)
       1月 機械受注統計
15日(火) 米・FOMC(~16日)
       米・ミニスーパーチューズデー
       米・3月小売売上高
16日(水) 国際金融経済分析会合(~17日)
       春闘の集中回答日
       中国・全人代閉幕
       米・FRBイエレン議長会見
17日(木) 欧・EU首脳会議(~18日)


■今日の予定

1月 機械受注統計
日銀金融政策決定会合(~15日)
参院 予算委員会 集中審議
IT見本市「CeBIT」(~18日独ハノーバー)


■【エマトピ】中国 ネット消費が拡大
中国ではネットでの消費が堅調です。特にスマホなどモバイルを使った消費が拡大しています。ネットでの小売売上高は15年度で3兆8,600億元、およそ68兆円に達しています。これは全ての小売売上高の12.8%でしかないため、ネットによる消費はまだまだ伸びるとみています。解説は野村証券上海事務所の蔡エキ青(サイ・エキセイ)氏。

--中国では全人代が閉幕しますが、どんなテーマが焦点でしょうか。
今年の全人代ではさらなる金融緩和や財政出動による景気の下支えが話題を呼んでいるほか、所得減税などで個人消費をより促進させ総額50兆円の人民元を消費に回すことができるのかも大会期間中に活発に議論されていました。
--景気減速懸念の中で、実際にお金はまわるのでしょうか。
実は、中国ではネット消費が堅調です。特にスマホなどモバイルを使った消費が拡大しています。ネットでの小売売上高は右肩上がりで、15年度で3兆8600億円(約68兆円)に達しており伸び率は38%を記録しております。これは全ての小売売上高のまだ12.8%しかないため、まだまだネットによる消費は進むと思われます。
--どんなところが牽引役になりそうでしょうか。
現状はIT大手アリババのタオバオと天猫Tmallでの売り上げが全体の約7割を占めています。しかし最近市民が注目しているのは、サービスが特化したアプリです。例えば「1号店」という生鮮食品と生活関連商品に特化したネットスーパーのアプリがあります。ウォールマートがその成長に注目し昨年買収しました。また決済サービスでは先月2月18日、アップルの提供するアップルペイが導入されました。初日に3000万枚の銀行カードの登録があり、好調な滑り出しと受け止められています。
--日本企業はそうした中国の消費をどう取り込んでいけばいいんでしょうか。
日本製品への信頼度は高いので、例えば日本で爆害されている商品などを中国大手のネットショップに出品することが考えられます。現在アリババのTモールにはマツモトキヨシ、イオンなど24社が確認されていますが、数としては非常に少ないと思われます。中国の景気減速により、故人の消費力も落ちるのではと心配の声もありますが、高い貯蓄率と過去数十年間の高度成長により、個人の購買力は10年前と比較にならないほど高くなってきていると実感しています。


■原油“増産凍結”の狙いと効果原油1.JPG
金融市場を揺らし続ける原油相場。依然、低い価格水準が続き、産油国の消耗戦が続いている。先月、サウジアラビア、ロシア、カタール、ベネズエラの4ヵ国が他の主要産油国の参加を条件に原油の“増産凍結”に合意した。これを受けて今月にもOPEC加盟国と非加盟国の会合が開かれる可能性が高まっている。原油相場は落ち着きを取り戻したかに見えますが、増産の凍結が実現するかは他の産油国が参加するか否かが重要です。原油価格下落でサウジアラビアなど産油国は消耗戦を強いられる中、アメリカのシェールオイル勢の失速を確実にするための戦略として“増産凍結”を打ち出したといいます。その狙いと効果を分析します。解説はマーケット・リスク・アドバイザリー 新村直弘氏
--増産凍結という話が出てきてから、ニューヨークの原油が38ドル台半ばと底打ち感が出てきた感じがありますけれども、"減産"や"生産据え置き"ではなく"増産凍結"という表現にはどういう狙いがあるんですか。
"生産据え置き"というとみんな抜け駆けするので若干緩い感じがしますので、相当強いメッセージを出したということだと思います。実質"減産"の効果が出てくるということです。去年の凍結を決めた4か国の原油の生産動向を見ると、夏場に向けて生産量が増えています。消費国は北半球に固まっているので、夏場の需要が増えます。もし1月の水準で生産を据え置くとなると、時間経過とともに減産効果が出てきます。4か国が本当に増産しないとなると実需が回復してくるので、夏場に期待される減産効果が出てくる。
--夏に需要が増えるということをもっとアナウンスすればいいのでは?
それは一番やりたくない。例えばいま10万バレル減産すると言うと価格が跳ね上がり、アメリカのシェールオイルの生産者が息を吹き返してしまう。ゾンビ生産者がまた元に戻ってしまうことになる。
--アメリカの原油生産量を見ると、価格ほどは生産量は下がっていないですね。原油2.JPG
それはいくつか理由があります。
①油田1つ当たりの生産性が改善して量が増えています。
②価格が下落した時のリスクを回避するためのデリバティブとかを使った価格下落リスクヘッジを結構やっています。
それから潰れたところもたくさんありますが、チャプターイレブン(米連邦破産法第11条=倒産処理手続)のもとで再生中なので急に減産はスタートしないです。倒産してすぐにストップするわけではないので、減産が見えてこない一番大きな原因です。
--つまりゆっくりと原油価格を上昇させたいということですね。となるとこういう状況であれば、4か国以外の国もしっかりと説明すれば合意できそうなんですか。
可能性はありますが、正直よくわかりません。20日に会合があるかもしれないし、先週に否定する記事も出てましたが、一応合意できると思います。というのもOPECの全ての国が増産余力があるわけではないです。増産するにも蒸留部門投資をして生産能力を上げないと増産できないので、実はサウジアラビア位しか増産できません。
--今イランがカギを握ると言われています原油3.JPG
今のところ在庫の取り崩し等々で輸出を増やしていますが、設備が老朽化してますから、実際すぐに始めようと思っても無理で、そのためには上流部門投資をして設備投資をして時間経過とともにやっと増産ができるということなので、すぐにイランがバンバン増産できるかというとそうではないです。
--となると結局のところ夏場に向けてゆるゆると減産効果があるとすれば、このままの価格が続いていくということですか
いえ、上がっていくと思いますが、そのあと下がると思います。上がっていくと思いますが、上がりすぎると困るという状況は、サウジアラビアにとっては変わらないです。結局30~50ドルのコアレンジであって、下値が切り上がっていくと思います。カギを握るのはサウジアラビアと金融政策です。相場はオーバーシュートすると思います。


■マーケット・リスク・アドバイザリー 新村直弘氏

経済視点「実需の不足」
グリースパンのころから作ってきたバブルをパスしてパスしてパスして結局、今に来てるというのが現状だと思います。なのでそこで昔の戻そうというイメージで財政政策や金融政策をして無理に近づけている。でもよくよく考えたら需要が無いのでまた落ち込む。結局、実需がない中で金融政策や財政政策を無理にするから、結果的に大きな変動性が生まれてしまう。ここは決断だと思うのですが、やっぱり無理はしないほうがいいと思います。無理に需要は作れないです。期待と現実の差を埋める作業を無理矢理しないということです。


■ニュース

トルコ・アンカラで爆発 犠牲多数
トルコの首都アンカラで13日、大きな爆発があり、少なくとも32人が犠牲となっています。映像は、爆発の瞬間を捉えたとみられるもので、車がゆっくりとバスに近づいた瞬間に爆発が起きています。これはツイッター上に投稿されたものですが、誰が撮影したのかは不明です。日本人の被害など詳しいことは分かっていません。アンカラでは去年10月にも100人以上が死亡するテロが起きたほか、先月にもテロがありクルド系武装組織が犯行声明を出していました。


VW元従業員が提訴
フォルクスワーゲンの排ガス不正問題に関連して、アメリカ法人の元従業員が不当に解雇されたとして会社を相手取り訴えを起こしました。ドイツメディアによりますと、この元従業員は、中西部ミシガン州にあるフォルクスワーゲンのデータ処理施設に勤務していたとされ、排ガス不正の発覚後、車両に関するデータを削除しないよう同僚らに指導していた、ということです。


最強棋士が人工知能に雪辱
人工知能の囲碁ソフトと世界トップクラスの韓国人棋士との5番勝負で、韓国のイ・セドル九段が初めて勝利を収め、雪辱を果たしました。ソウルで行われたのは、アメリカのグーグル傘下の企業が開発した囲碁ソフト「アルファ碁」と韓国人棋士のイ九段による5番勝負の第4局です。これまで「アルファ碁」が3連勝していましたが、今回の対局では、イ九段が5時間あまりの接戦を制し、人工知能との戦いに一矢報いました。「アルファ碁」はプロ棋士などの対戦データを蓄積し、自ら学習する人工知能の新技術を採用しています。


米原子力空母が釜山入港
韓国と周辺海域で実施されている米韓合同軍事演習に参加するアメリカ海軍の原子力空母「ジョン・ステニス」がきのう、南部の釜山港に入港しました。「ジョン・ステニス」の乗組員はおよそ6,500人で、戦闘攻撃機や電子作戦機など72機を搭載しています。攻撃力を誇示することで核・ミサイル開発を継続する北朝鮮をけん制する狙いがあるとみられます。今月7日から来月末まで実施する米韓合同軍事演習は史上最大の規模で、韓国軍およそ29万人、アメリカ軍は例年の2倍にあたる1万7,000人以上が参加しています。


安倍総理 野党選挙協力をけん制
自民党は党大会を開き安倍総理大臣は夏の参議院選挙が自民・公明と民主・共産との戦いになると指摘し選挙で協力する民主党と共産党をけん制しました。また、安倍総理は、アベノミクスが失敗したと主張する野党の批判について具体的な数字を示して反論、名目GDP600兆円へ向けて引き続き、経済最優先で政権運営にあたる考えを強調しました。


■日経超特急

①川重、英蘭シェルと水素供給網 海上輸送で組む
川崎重工業は発電燃料や燃料電池車向けに環境負荷が小さい次世代エネルギーとして期待される水素の運搬技術開発で、石油メジャーの英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルと組む。川重を中心とした日本企業連合はオーストラリアで安く水素を製造し、液化して日本に輸入する計画だ。エネルギー輸送で幅広いノウハウを持つシェルの参画により、水素エネルギーの大量供給と海上輸送の国際標準づくりに弾みがつきそうだ。


②大手銀、マイナス金利で外貨預金に誘導 三菱UFJなど
日銀がマイナス金利政策を導入決定後、大手銀行などが外貨預金の金利を相次いで引き上げている。1カ月物のドル定期預金で年10%などを提示する例もある。運用先が乏しく、逆ざやになりかねない円預金を増やさないために、一部資金を外貨預金にシフトさせる狙いがある。また円資金を外貨に換える際の為替手数料を下げる動きも出てきている。預金者は金利水準だけでなく、為替変動リスクなどにも目を配った方がよさそうだ。


③パンクしても80キロ走行 全車種対応タイヤ、欧州にブリヂストン、新興勢に対抗
 ブリヂストンは今春をめどに、欧州市場に後付け可能なランフラットタイヤを投入する。同タイヤは側面に特殊な補強ゴムを使い、パンクしても一定距離を走れるため、スペアタイヤが要らないので燃費向上につながる。世界のタイヤ市場では新興国メーカーが安価な製品でシェアを伸ばす中、ブリヂストンは付加価値の高い製品で対抗する。


■日刊モーサテジャーナル

①トランプ氏が過激な発言を繰り返すのに対し、人種差別論者だとの声が改めて上がっています。この週末もトランプ氏のいくつかの集会が中止に追い込まれるなど支持者と反トランプ派との衝突が激しさを増していて国民の分断が深まっている、と伝えています。


②WSJ 原油価格の底打ちの可能性が指摘される中、アメリカのシェールオイルの主要な生産地域であるノースダコタ州バッケンでは問題が深刻化しています。記事によるとノースダコタ州が発表した最新データでは州内のシェールオイルの生産量が1月に日量112万バレルにまで落ち込み14年7月以来の低水準になりました。稼働リグ数も32で10年4か月ぶりの低水準です。州の当局者は2月、3月の生産量もさらに落ち込む可能性があると説明しています。また記事は、バッケンで新たな井戸を掘るには今後3ヶ月で原油価格が60ドル以上に回復する必要があるとの専門家の見立てを紹介しています。


③WSJ アメリカ自動車大手GMが自動運転システムを開発するベンチャー企業を買収することに注目しています。GMが買収するクルーズは2013年創業の新しい企業で、カリフォルニア州当局から自動運転車の公道走行試験の許可を得ている数少ない企業の一つです。記事によると関係当局者の話では、買収額は現金と株を合わせて10億ドル超(1100億円を超える)ということで、6月までには買収が完了する見通しとのことです。記事は、今回の買収はGMの自動運転システム開発を加速させるものになるだろうと評価しています。


④WSJ オバマ大統領の歴史的なキューバ訪問を来週に控え、アメリカの大手企業がキューバ進出に向け交渉を進めている。進出えお狙うのは通信大手AT&T、ホテルチェーンのスターウッドとマリオットの少なくとも3社です。オバマ大統領がキューバを訪問する20日までに交渉がまとまることを望んでいるとのアメリカ政府高官の話を紹介し、アメリカ政府がキューバとの緊密な関係を示す手土産にしたいと考えていると分析。ただAT&Tはキューバの国営通信会社との交渉で折り合いがつかないなど、大統領の訪問に間に合わない可能性があるとの政府関係者の見方を伝えています。