森本光☆ラグビーが好きやねん

関西エリアで活動する森本光のブログ

しゃべらないのは“MOTTAINAI”

2005-11-26 02:06:34 | 何でもない日常

すごくもったいないことをした。もっと話せばよかった。メールなんか打ってる場合じゃなかった。

仕事のあと、軽く一杯ひっかけてタクシーに乗りこんだ。行き先を告げて、すぐに僕はメールを打っていた。基本的にタクシーの中ではあまりしゃべらない。運転手さんの愛想が悪いこともあるので、まずこちらからは話しかけない。向こうが何か話してきても適当に相槌を打つだけだ。行き先を告げてから、自宅の近くの三叉路に差しかかるまでおよそ20分間、僕はずっと携帯の画面に向かっていた。「その信号、真っ直ぐ行ってください」顔を半分だけ上げて僕が言うと、運転手さんは「このへんは昔、池があってね。小さい頃は毎日魚釣りして遊んでたんですよ」とゆっくり思い出すように以前の町なみを話しはじめた。「えっ、ここ池だったんですか?」携帯を閉じて僕は聞き返した。「そうですよ。フナとかモロコとかがようさんおってねぇ」さらに運転手さんは幼い頃の話を続けてくれた。「B29が飛んできたときはここの神社の倉庫にいっつも隠れたなぁ」「へぇーそうやったんですか。そんな時代もあったんやなぁ」

聞けば僕が住む町で生まれ育ったという運転手さん。すっかり変わってしまった町の様子を見渡しながら、かつての姿を懐かしむように話してくれた。運転手さんと話したのはほんの5分ほど。会話しながら僕の目には何十年も前のセピア色の風景が映った。知らないはずなのに見たことのある風景に思えた。不思議な感覚だったがとても心地よかった。こんなことなら、ずっと話をすればよかった。もっともっと昔の様子を聞きたかった。会社名と運転手さんの名前を確認して、「またお願いします。ありがとう」と言って僕はタクシーを降りた。


体を張った衝撃映像の行く末は?

2005-11-24 17:07:04 | ラグビー

21年ぶりとなる全国大学選手権への出場を決めた天理大学ラグビー部を取材。強さの秘訣を体感しようと、キャプテンの小野選手のタックルを受けることに。まずはお手並み拝見。軽く肩を当ててもらう。ドンッ!という重い当たり。振動で脳が揺れるような感覚だった。軽くやってもらってこのレベルだ。本気でタックルされるととんでもないことになるのが目に見えた。次は8割程度の力加減で小野選手にぶつかってもらう。ズドンッ!全身に強い衝撃が走り、また脳が揺れた。これで充分だ。いかに激しいタックルをしているかが映像で伝わるはずだ。ところが、スタッフのYやSは「もう1回お願いします!」「今度は全力で!」と僕の思いを無視して言っている。周りにいた天理大の部員たちも「120%!」とか「長州力!」とキャプテンに声援を送る。その声に小野選手のスイッチが入ってしまった。太い腕をラリアットするかのように振りまわし、マウスピースをしっかりと固定した。獲物を狙う肉食動物のような目になった小野選手。構える僕はたまったもんじゃない。しかし、もう逃げられない。よし、来いっ!身長175センチ、体重86キロの鍛え上げられた肉体が低い姿勢で近づいてくる。角度を切り返しトップスピードになって僕にぶちあたる。ドゴンッ!一瞬にしてこちらの体が「く」の字に折れ曲がり高く宙を舞う。そして腰から地面に叩きつけられた。想像以上のド派手な光景にグラウンドが沸く。さらに、スタッフのYやSも大喜び。打撲は誰が見ても明らかな僕を心配する様子は一切ない。「いやー最高でしたね」「森本さん飛んでましたもんね」「カメラまわってるのに思わず声を出しちゃいました」それぞれの興奮を言葉にするY&S。「大丈夫ですか?」と気遣ってくれた唯一の人は小野キャプテンだった。痛みよりもそのやさしさに涙しそうになった。
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今回の取材は、是非やらせてほしいと自ら企画したものだった。Iディレクターが多忙のため、現場では僕が出演だけでなくディレクターも兼任した。テレビ局に戻って衝撃のシーンをモニターで確認する。「うわぁーっ!」誰もが揃って声を上げるほど超一級の迫力ある映像だった。一緒に映像を見たIディレクターも珍しく興奮した様子だった。しかし、すぐに「このシーンは森本さんの思い出ということで、オンエアでは使いませんから」といつもの冷静な口調で言い放ち、場の空気をクールダウンさせた。「あしたきっと打ったところ痛いですよ」との言葉をプレゼントしてくれたIディレクター。残念ながら打ち身で腫れ上がった腰を冷やしてくれるプレゼントにはならなかった。12月3日が放送日。はたして体を張って撮影した衝撃シーンはお茶の間に届くのであろうか?編集を担うIディレクターの判断に注目してもらいたい。


どんぐりとボジョレー

2005-11-20 23:36:30 | 何でもない日常

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どんぐりとボジョレー・ヌーヴォーだったらもらってうれしいのはどっち?子どもたちはどんぐりだろうし、大人はボジョレーだろう。欲張りな僕は、きのうこのどちらもいただいた。このうち1つに関して言えば、正確にはもらっていたことに気付いた。

きのうの昼間、奈良テレビのフロアで何気なくカバンの奥を見ると、どんぐりが顔を出した。カバンの中身をすべて取り出して確認すると計7個も入っていた。「うわぁーどんぐり入ってる!なんでやー!」報道制作フロアに響き渡るように大声で叫ぶと、ヘッドホンごしにこちらをチラリと見た男と、僕の声を聞くと同時にヘッドホンで自らの耳を塞いだ男がいた。こやつらの仕業に間違いない。水曜日のロケの合間に、隙を見てどんぐりをカバンに入れたようだ。いたずら好きのスタッフたち。いつも被害者で立場の弱いタレントは、カバンにどんぐりが入っていることに3日間も気付かなかった自分を責めた。そして、このどんぐりは、タレント・Yさんのヴィトンのバッグにこっそりと入れた。タレント同士だ。僕の思いもきっとわかってくれるだろう。だが、オンエアが終わって戻ってくると、どんぐりは再び僕のカバンの中に入っていた。
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【おそらく犯行直後。僕に一切顔を向けず笑いをこらえる3人】

さっ、悲しい思いは封印して、うれしいプレゼント、ボジョレー・ヌーヴォーの封をきろう。いつもお世話になっている方からいただいた。季節を感じさせてくれる贈り物。本当にありがたい。意地悪スタッフたちにも見習ってもらいたい。旬のもの、特に食べ物や酒をプレゼントされたら、すぐに僕が上機嫌になることをまだわかっていないのかな。これまでに意地悪スタッフからもらったものといえば、パンツ1枚。なぜ、そのチョイスになったのか理解に苦しむ。次回のチャンスは、クリスマス。ちょうどイブの24日がオンエアのある日だ。心のこもった素敵なプレゼントを期待してますよ。

11月22日 追記:そういえば、こないだ唐突にポッチャリ・Yくんが「普段、森本さん寝るとき何を着てるんですか?」って聞いてきたよね。とっさに「ネグリジェ」とつまらない答えを返したけど、きょう大好きなビブレをウロウロしてたらパジャマが欲しくなってきた。高くなくていいねんで。気持ちやからね。12月24日やで。
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熱烈ファンも困りもの

2005-11-16 20:46:42 | 仕事 ロケ

奈良県明日香村でロケ。蘇我入鹿の邸宅の一部と見られる建物跡が発見された甘樫丘には、考古学ファンをはじめ多くの人が現地説明会に訪れた。そういう場所でリポートをするとやはり人だかりができてしまう。「あっ、あの人見たことあるわ」「いつもテレビに出てる人や」「テレビよりも男前やんか」カメラがまわっているときはなるべく意識を集中しようとするが、どうしてもいろんな声が耳に入ってきてしまう。ちなみに「男前やんか」というフレーズは僕の空耳だ。

きょうは甘樫丘を中心に、蘇我氏ゆかりの場所をまわっていった。どこへ行ってもまわりに人が集まってしまう。たくさんの人に囲まれて好奇の目を向けられるとやはりやりにくい。そうした人が集まる場所にこちらから行っているので何も文句は言えないが、カメラがまわっているときに、フラッシュをたいて僕を撮影するのだけはやめてもらいたい。
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人がたくさんいて少しやりにくいロケではあったが、スケジュール自体はスムーズに進行した。きょう最後は、再び甘樫丘に戻ってのリポート。相変わらずたくさんの人で賑わう現地説明会。また、あちらこちらから「いつも見てますよ」と声をかけられ会釈をする僕。でも誰も「森本さん」と名前で呼んでくれない。知名度はまだまだである。そんな中、遠くの方から「アキラさ~ん!アキラさ~ん!」と僕を呼ぶ声がする。収録中だったので、チラッと見ただけだが、全然知らないおばさんだった。僕を応援してくれているファンなのだろう。名前で呼んでくれる熱烈アキラファンは大歓迎だが、このおばさん少々声が大きい。おばさんは、僕の名前を連呼しながら近づいてくる。しかし、残念ながらカメラがまわっている。サインはできない。握手も無理だ。デジカメで撮影するのも遠慮してほしい。どうしようかと思っているうちにおばさんは僕のところにやってきてしまった。一息ついて再び「アキラさん」と言われ少し困った顔で見ると、おばさんは僕の隣にいた男性に話しかけていた。この人が「アキラさん」だったのだ。おばさんのご主人だろうか?友人だろうか?複雑な表情を浮かべてしまった僕のことを人は自意識過剰なおバカさんと言うのだろう。
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光アナログのすすめ

2005-11-15 23:07:15 | ちょっと聞いてくれる

形あるもの、見えるものしか信じられない。ネットバンキング、信用できない。音楽をダウンロード、味気ない。メールで愛の告白、嘘くさい。

毎月のギャラは事務所から手渡しでもらう。封筒の厚さ、お札の重みで、働いたことを実感できる。聴きたい音楽はレコードショップで買う。何回も手に取ると、CDのケースが割れたり、ジャケットが破れたりするが、それも含めて音楽の楽しみだ。アナログ盤のコレクターは言う。何年も経ったジャケットの匂いがたまらなくいいのだと。わかる。最後に、愛の告白はもちろん直接会ってする。メールでなんて死んでもしない。心のぬくもりをメールは絶対伝えられない。

なぜこんなことを言い出したかというと、最近の未成年者による事件を見ていると、この国の未来を心配してしまうわけよ。人間同士の感情表現が、ふれあいながら気持ちを伝えることが本当に下手になっている。ネット上では皆、饒舌で自分の意志を上手に表現している。これが人対人になるとどうもうまくいかない。僕自身も毎日のようにパソコンに向かって意味のないメッセージを発信している。ネットで語る技は多少上達したような気もするが、人に気持ちを伝えることは、ずいぶん下手になったように思う。

小学校ではパソコンの授業がごく当たり前のように取り入れられているようだが、僕は大反対だ。ネットが青少年犯罪を引き起こしているとは言わない。ネット上にある情報を探してまとめる学習も必要だろう。しかし、マイナスの影響の方が気になって仕方がない。18歳未満はパソコン禁止。時代と逆行する提言をあえてしたい。

晩婚化の一因はメールのせいにしたい。青春時代、我が家に1台しかなかった黒電話。好きになった彼女にかけるときのあの緊張感。家族が近くにいないことを確認して、かと言って小さい声では向こうのお母さんに悪い印象を与えてしまう。いろんなことを考えながらダイヤルを回すあの気持ちをもっともっと大切にすべきだ。黒電話の頃は、親は僕が誰と付き合っているかを全部知っていた。今は誰にも知られずに恋が始まりそして終わる。「○○ちゃんとどうなってんの?最近電話ないやん」と家族に言われることもないから、少し嫌になっただけで別れを選択してしまう。それって誰のこと言うてんの?待ち合わせのときのドキドキ感も今はずいぶん小さくなった。メールで相手がどこにいるのかすぐにわかってしまう。なんで遅れてるんやろ?もうすぐ来るかな?どんな格好してるんやろ?彼女を待つ間のこうしたウキウキもメールを送ればすぐに答えがわかってしまう。あ~なんてつまらない世の中になってしまったんだ。そんな浅い感情で育まれた愛なんて全然魅力的じゃない。幸せな将来につながらない。だから結婚できないんだ。って誰のこと?

毎日パソコンに向かうようになって丸9年。今や仕事はパソコンなしではやっていけなくなっている。ただ、それ以外のことはこの四角いマシーンに頼らずやっていきたいというのが本音だ。メールもなるべく使わない。要件を告げるときは直接会う。もしくは電話であっても、自分の声で伝える。しばらくこのことにポイントを置いて生活していきたい。アナログ人生の方がきっと幸せだというのが結論だ。

ドラマ「1リットルの涙」を見たあとは、きまって世の中や人生のことを考えてしまう。