奈良県明日香村でロケ。蘇我入鹿の邸宅の一部と見られる建物跡が発見された甘樫丘には、考古学ファンをはじめ多くの人が現地説明会に訪れた。そういう場所でリポートをするとやはり人だかりができてしまう。「あっ、あの人見たことあるわ」「いつもテレビに出てる人や」「テレビよりも男前やんか」カメラがまわっているときはなるべく意識を集中しようとするが、どうしてもいろんな声が耳に入ってきてしまう。ちなみに「男前やんか」というフレーズは僕の空耳だ。
きょうは甘樫丘を中心に、蘇我氏ゆかりの場所をまわっていった。どこへ行ってもまわりに人が集まってしまう。たくさんの人に囲まれて好奇の目を向けられるとやはりやりにくい。そうした人が集まる場所にこちらから行っているので何も文句は言えないが、カメラがまわっているときに、フラッシュをたいて僕を撮影するのだけはやめてもらいたい。
人がたくさんいて少しやりにくいロケではあったが、スケジュール自体はスムーズに進行した。きょう最後は、再び甘樫丘に戻ってのリポート。相変わらずたくさんの人で賑わう現地説明会。また、あちらこちらから「いつも見てますよ」と声をかけられ会釈をする僕。でも誰も「森本さん」と名前で呼んでくれない。知名度はまだまだである。そんな中、遠くの方から「アキラさ~ん!アキラさ~ん!」と僕を呼ぶ声がする。収録中だったので、チラッと見ただけだが、全然知らないおばさんだった。僕を応援してくれているファンなのだろう。名前で呼んでくれる熱烈アキラファンは大歓迎だが、このおばさん少々声が大きい。おばさんは、僕の名前を連呼しながら近づいてくる。しかし、残念ながらカメラがまわっている。サインはできない。握手も無理だ。デジカメで撮影するのも遠慮してほしい。どうしようかと思っているうちにおばさんは僕のところにやってきてしまった。一息ついて再び「アキラさん」と言われ少し困った顔で見ると、おばさんは僕の隣にいた男性に話しかけていた。この人が「アキラさん」だったのだ。おばさんのご主人だろうか?友人だろうか?複雑な表情を浮かべてしまった僕のことを人は自意識過剰なおバカさんと言うのだろう。