「海とジイ」藤岡 陽子
大好きな藤岡さんの新作。
読むのを楽しみにしてました。
3編の中・短編小説。
瀬戸内の島の3人のジイ(おじいちゃん)の姿と思いが
年月を越える。
というお話。
『海神~わだつみ』
不登校になってしまった小学四年生の孫のため
瀬戸内の島に暮らす曾祖父が話したことは何か。
2人だけの約束とは。
『夕凪~ゆうなぎ』
老医師とそのクリニックに勤め、支え続けてきた48歳看護師の女性。
ある日、クリニックを閉院すると宣言した後老医師が失踪する。
老医師を探す看護師は瀬戸内の島に行きつく。
生きること、死ぬこと、老いてそれが身近になること。
迷いと強さに心が揺さぶられる。
『波光~はこう』
怪我で陸上競技に挫折した澪二。センター試験を前に
子供の頃訪れていた島にある祖父の家へ。
そこで知るジイの若い頃の話、親友の話。孫の澪二が受け取るものは・・
最後に緩やかに3編が繋がる。
ジイは凄い。ホント凄い。
必ず人は歳をとるけれど、3人のジイのように歳を重ねられるだろうか。
ただ立派ということでなく、迷い、戸惑い、そして力強くて、優しい。
人間らしく人間臭くてとても泣かされた。
「人生は短い 今日を限界まで生きろ」と表紙の折り返しに書いてある。
あー、もう無駄な一日過ごしてるよと思わず恥じる。
新年1冊目。いいのいただきました。
海とジイ | |
藤岡 陽子 | |
小学館 |