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星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

十一ぴきのネコ 観劇メモ

2012-02-19 | 観劇メモ(演劇・ダンス系)

公演名     十一ぴきのネコ
劇場      シアター・ドラマシティ
観劇日と座席1  2012年2月11日(土)17:00 5列
観劇日と座席2  2012年2月12日(日)17:00 4列
     
舞台の上は好きな役者さんだらけでモォ顔がほころんでしかたない。
そのうえ井上ひさしさんの戯曲に、演出は長塚圭史さん♪♪♪
まったく私にとってはプレゼントみたいな舞台だったよー。
アフタートーク付きとなった楽日前日、そして大千秋楽の連続観劇。
愛すべきオジサン猫たちの泥くさカッコイイ音楽劇に大・満・足!

以下、ユビ的事情で毎日ちょこちょこ書いたよ~。



<あらすじ>
「ご飯にありついたのは一体いつのことだったかな?」
野良ネコにゃん太郎は、いつもお腹をすかせていた。空腹だけど
僕にあるものは何?と考えてみた……。
家、仕事、お金、財布、親、子ども、それとも運。どれもこれも、
ないないづくしで何も無い。だから野良ネコなのだ!
ところがにゃん太郎は、ある日思いもよらぬものを手に入れた。
それは、とても個性的な十匹の野良ネコ仲間であった。
友情を手に入れたけれど、ないないづくしの野良ネコが十一ぴき
集まったところでペコペコのお腹が満ちることは決してなかった。
そんなとき鼠殺しのにゃん作老人に出会い、目の覚めるような話
を聞いてしまった。「あの星の下に大きな湖があって、そこには
途方もない大きな魚がいるそうな」また「その魚は十匹や二十匹
じゃとても食べ切れぬ大きさじゃそうな。」
みんなで肩寄せあって、ここに居たって餓死するだけの野垂れ死。
一大決心、にゃん太郎を中心に十一ぴきのネコが大きな魚を求め
て大冒険の旅に出た!空腹すぎて眠れないけど、夢にまでみた満
腹感を味わうことが出来るのか?
公式サイトより引用)


<キャスト・スタッフ>
天晴れ指導者のにゃん太郎:北村有起哉 
穏健温和仏のにゃん次:中村まこと  
どさ廻りのにゃん蔵:市川しんぺー
徴兵のがれのにゃん四郎:粟根まこと
軍隊嫌いのにゃん吾:蟹江一平
木天蓼(またたび)のにゃん六:福田転球
逆恨みのにゃん七:大堀こういち
猫撫で声のにゃん八:木村靖司
猫舌のにゃん九:辰巳智秋
紙袋のにゃん十:田鍋謙一郎
猫糞のにゃん十一:山内圭哉
鼠殺しのにゃん作老人:服部演之

作: 井上ひさし
演出: 長塚圭史


<開演前~ネコ集会>
初めに気づいたのは粟根さんだっけ? ほっぺに黒いおヒゲを描
いたヘンな人がいる!(笑)慌てて見回してみると前方に転球
ネコ発見、子供を見つけては声をかけている。通路を横断する
中村まことネコは「背中掻いてください」とお客さんにおねだり。
ヒゲのないオネエっぽい木村ネコ、あとからゆっくりやってきた
のは帽子をかぶった僧正・山内ネコ、大楽では少女とおじいさん
の横でずっと話しかけてたね。粟根ネコは座席案内なんかもやっ
てるう。やがて客席が暗くなると、ニャア~、にゃあご、ミヤ~
オと次々に名乗りをあげるネコたち。
ただ一人(一匹)舞台から北村有起哉くんが現れると全員リレー
のようにナイナイ尽くしの歌詞が連ねられてゆく。
なんて楽しいオープニング!

<長塚圭史 meets 初演バージョン>
お腹をすかしたネコたちがみんなで旅に出る。夢と希望を抱いて。
知恵と力を結集し大きな獲物を手に入れた後、その土地にネコた
ちの共和国を建設する。さて、その共和国の10年後は?
というのが物議を醸す結末。

元々は馬場のぼるさん原作の作品。
パンフレットによれば井上ひさしさんの戯曲では結末が原作と異
なっており、さらにその結末には2つのバージョンがあるらしい。
長塚さんが選択したのは初演バージョンのほう。いかにも長塚テ
イストなラストと思ったのだが、実は井上さんオリジナルだった
と知り、ニヤリ。

舞台は傾斜がついてどこからでも見やすい。セットはとてもシン
プルで場面転換がスピーディー。必要に応じて土管、大根畑、小
屋、湖、魚などがまるで絵本のようなビジュアルでヒョッコリ登
場するのが楽しかった。全員の服を縫い合わせたカラフルな帆は
「希望」の象徴みたいだった。
※にゃん十一の山内さんは、舞台の傾斜(八百屋)のせいで座骨
神経痛になったとアフタートークで語っていた。急停止などは特
にキツイらしい。東京・山形・大阪と移動もあり、1日2回公演は
大変だったに違いない。

<ミュージカルというか音楽劇>
十一匹が同じ意味の言葉を次々と言い換えてゆく台詞が楽しい。
台詞と同様に歌も、リズミカルだったり、韻を踏んでいたり、
語呂合わせだったり、言葉の「音」を楽しむことを意識した曲が
多かった。そういう歌にリアルタイムに反応するピアノの生演奏
が実に心地よかった。僧正はミュージシャンだし、転球さんは
僧正といっしょにライブもやっている。
中村まこと・市川しんぺーのご両人はフォークデュオでも活動し
ていたり。粟根さんは新感線の舞台で歌っているし。いわゆる
ミュージカル俳優はいないけれど、意外にも音楽と関わりのある
出演者がけっこういる。

私が好きなのは、にゃん太郎が巨大魚にプロペラ機で体当たりす
る時の歌。「猫の歴史の教科書に載るでしょう」という内容で、
語尾にノダ、ナノダ、を繰り返す曲。みんなすごーくカッチョい
いノダ♪
「都会は優しい毒薬」と歌いながら全員が狙い撃ちポーズでキメ
ル曲も。転球さんの小芝居なカラダの動きが冴えていた。
「十一匹のネコ、十一匹のネコ、腹はペコペコ、みんなニコニコ」
という曲は特に覚えやすい。意気揚々バージョンとラストの陰鬱
バージョンのコントラストが見事。

<人生訓、人生きゅんきゅん>
十一匹がそれぞれ野良猫になった経緯を語る場面が面白い。人間
社会の事情が飼いネコにそのまま反映されるところがきゅんと切
ない。猫のキャラがそのまま飼い主とダブるのはわかりやすい。
シェイクスピア学者に飼われていた猫は理屈っぽかったり。旅芝
居の一座で飼われていた猫はすぐに口上を言い始める。ヤクザに
飼われていた猫はしぐさからしてヤクザっぽい、というように。

その気になれば、台詞や歌から人生訓を受け取ることもできる。
自分たちで採った巨大魚を他の猫にも分配しよう!というにゃん
太郎の提案にみんなが賛成したはずなのに、翌朝、魚が骨だけに
なっていたというエピソードが私は好き。すっごく笑えた。
と同時にホッとした。衣食足りて礼節を知る、というか、自分が
空腹なのに理想は追えない。自分が採った魚を自分が食べてどこ
が悪い!というのが猫の本音、リアルな人間だと思う。そして、
空腹がおさまってようやく踏み出す一歩。
有起哉くんのにゃん太郎はカリスマリーダーじゃなく腰の低い
リーダー。「みんなに支えられてやっとのことで立っていられ
るようなリーダー」であるとアフタートークでも語っていた。

<結末じんじん>
猫の共和国をつくろう! で芝居は終わらなかった。
にゃん太郎が一匹で登場し独白するラストシーン。
空腹だったが夢があって明るかったあの時代。だけど10年たっ
て、この国の暗さはなんだ、と嘆くにゃん太郎の背後に全員の
姿が・・・おおコワッ。昔、全員が手にしていたのは湖に向かっ
てゆく船のオールだったのに、今振り上げたものは。
ゾゾゾーーーッ。
最後に共和国創設メンバーとしての恩恵にも浴せず、一匹猫と
して生き抜いているにゃん十一が登場し、あのテーマソングを
歌いながら客席通路を去ってゆくところにじんとくるものが。
生きるために垢にまみれることも、ネコらしく自由に気高く生
きることもどちらも選択肢の一つなのだと思うから。

<こっそりメモ>
ここだけの話。大楽でにゃん次さんの背中を掻けたことが何よ
りもうれしかった。阿佐ヶ谷スパイダースの「みつばち」観劇
以来、中村まことさんの隠れファンですのん♪
11日にグッズ売り場で買った「肉球マシュマロ」4個入り。↓
マシュマロは12日にはなくて煮干しに変更。それも完売だった!



アフタートークの話を書き足したいがとりあえずここまででアップ。
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