公演名 花組ヌーベル「盟三五大切」
劇場 芸術創造館
観劇日 2009年6月13日(土) 19:00
座席 D列
花組芝居の観劇はまだ4本目だけど、今回はかなり好きな演出~♪
全編通してお通夜の会場で、全員ダークスーツにブラックタイの喪服姿、
もちろんほぼ素顔。それなのになんてカブイてるんだろう。
川面に船が浮かぶ情緒たっぷりの歌舞伎座の舞台もよかったけれど、
お通夜の飲み食いのさなかに突然櫓を漕ぎ出し、一瞬にしてその場を川
に変えてしまう花組版の強引さにウオッ!
あとは頭が勝手に約束事を覚え、江戸時代の物語に変換してゆく。
ウレシイのは、いまどきお財布に優しいチケット代!
小さい劇場でしかできない、花組芝居にしかやれない見せ方にワクワク
の2時間。昼の部のトークに行けなかったのがザンネンッ!!
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芸者小万実はお六/小林大介 船頭三五郎実は千太郎/加納幸和
薩摩源五兵衛実は不破数右衛門/北沢洋
若党六七八右衛門/松原綾央 古道具屋はしたの甚介/美斉津恵友
回し男幸八/丸川敬之 富森助右衛門/谷山知宏
船頭お先の伊之助/美斉津恵友
賤ヶ谷伴右衛門実はごろつき勘九郎/丸川敬之
判人長八実はごろつき五平/山下禎啓
芸者菊野/谷山知宏 十二軒の内びん虎蔵/松原綾央
家主弥助/谷山知宏 番太郎七/美斉津恵友
里親おくろ/丸川敬之 徳右衛門同心了心/山下禎啓
役人宅兵衛/丸川敬之
<あらすじ>
忠臣蔵の義士として仇討ちの機会をねらう不破数右衛門は、
今は源五兵衛と名を変えて日々を送っている。
彼が入揚げている芸者の小万は、
実は三五郎という船頭の妻だった。
二人に騙されて百両の御用金を失った源五兵衛は、
冷徹な殺人鬼と化す・・・。
(公式サイトより)
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会場の芸術創造館は梅田のHEPホールぐらいの大きさで、最後列でも舞台
は遠くない。各列段差になっていて、いわゆるパイプ椅子だ。
入場者に配布されたのは、お通夜の式次第のようなもの。
(実は、配役を書いたプリント。)
今回はほぼ素顔だったおかげで、今までわからなかった(汗)役者さんの
顔と声と役名がようやく一致した(えへ)。
開演前に日替わりゲストの、リリパットアーミーの野田普市さんが登場。
白の死装束を着て、観劇上の注意事項をまじめに説明するので笑わされた。
そのあと死体として自分で布団の上に寝る。
<五人斬り>
それにしても五人斬りの話、去年見た文楽特別の「国言詢音頭」に似てる
よなあ~と思っていたら、花組芝居のブログにも書いてあった。
「盟三五大切」も「国言詢音頭」も大阪曽根崎新地で起こった実在の殺人
事件を元に書かれているようだ。
それに忠臣蔵の話が絡んでくるのが「盟三五大切」。
文楽では派手なスプラッター表現にドキドキしたけれど、花組芝居で印象
的だったのは人を斬ったときの血飛沫。斬られた人間が赤の紙テープ束を
投げ、血が噴き出た瞬間を表現していた。
<三五大切>
五人斬りのときよりも感情が伝わってくるのは、小万の腕に彫った
「五大力」が「三五大切」に変わっているのを源五兵衛が知ったとき。
逆上した源五兵衛。
如何にも鬼じゃ。
身共を鬼には、おのれら二人が致したぞよ。
小万を殺し、その首を斬る。(首の前で食事もする。)
源五兵衛役の北沢洋さんも凄みがあったし、怖がる小万を演じた小林大介
さんもすごくよかった。
特に、小林大介さんは今回の私のツボ。その意味について勝手に一考察♪
今回はなぜ三五郎が加納さんで、小万が小林さんなのか?
しかも、あごひげは残したままで。←ここ、ポイントです。
最初に小林大介さんが女の台詞をしゃべった時、私は江戸時代に初めて
男性歌舞伎を見た客の気持ちが感覚的にわかった気がする。
男っぽい顔の人が女を演じているコトを意識しながら見ることで、かえっ
てドキッ、ゾクッとしちゃったんである。
女方が確立している現代では、女方の役者さんを男性だと意識することな
く超越した存在として見てしまう自分がいるから。
かといって、決して違和感があったわけではなく、むしろ話の進行につれ、
あごひげなんて全く気にならなくなり、小万はとてもかわゆらしく見えた。
・・・・・・裏を返せば、小林さんがフツウに化粧して、フツウにきれい
な女方を演じたらドキドキしないということかも(笑)。
歌舞伎座で序幕だけを幕見し、その後を見なかった私の疑問。
小道具としてテレビや電子レンジを取り入れるのは面白かったけれど、
小万が電子レンジに何度も首を突っ込んでいたシーン、歌舞伎版では
どんな芝居になっているんだろう?
もう一つの疑問。
今回、お通夜の設定だったのはなぜ? やはり歌舞伎版を見ていない私に
はそこんトコがわからない。
もしかして、現代生活で全員が同じ色の服を着られるシチュエーションは
喪服と制服だけだから? それが最後の義士につながるからだろうか?
「ばばばば、ばんえもん(伴右衛門)」がどんどんエスカレートして、
ばばばば、と言いながらバイクにまたがるポーズをしたり。あのしつこい
繰り返しは花組芝居ならではのギャグ?
<大詰>
歌舞伎版の大詰を見ていないので、大詰へのたたみ込みがあまりの急転回
なのにビックリ。ま、半分は予想がついてたけど。
実は○○というネタバレな名前はここで役立つワケだ。
三五郎の父の説明台詞も話の理解の助けになる。
なになに? 人間関係が入り組んでいて、ちとフクザツだぞ。
小さい頃に勘当されて家を出た三五郎。父親のために源五右衛門から金百
両を騙し取る。その金を父に届けて勘当を解いてもらった三五郎。
父は自分が仕える旦那さまの仇討ちの御用金にとその金を届ける。しかし、
旦那さま=不破数右衛門という男は三五郎が金を取った相手、源五右衛門
であった。
女に迷い身持ちを崩し、人を殺めたことを恥じる源五右衛門。自分が切腹
しようと思っていたら、そこへ三五郎が現れる。
三五郎が先に腹を斬ってるやん! 父のお主を騙し、女房の兄まで殺して
死んでゆく三五郎のためにも、どうぞ敵討ちをしてください、と。
義士の仲間に加わる源五兵衛。
大詰があっという間だった。面白かった。
あーん、後半は歌舞伎版とどこがどんなふうに違うんだろう?
そこが知りたい、ばばばば、ばんえもんっ!
TBさせてもらいますねぇ。
扮装やメイクや舞台装置がなくても
作家と役者の力量があれば芝居の世界に
入っていけるというお手本のような舞台
でした。
>小林大介さんは今回の私のツボ
わかっていただけました?大介さんのステキさ(笑)。
私は大介さんがフツウに化粧して、フツウにきれいな女方を
演じるところも観てみたいです。それでムンパリさんが
ほんとにドキドキしないか観察してみたい(笑)。
歌舞伎版との違いについては、長くなるのでまたお目にかかった折に(爆)。
詳しいのではなく、たんにダラダラ書きでおハズカシ~です。
にしても、こういう舞台が再演だなんて。初演では
どういう反響だったのでしょうね?
観劇するごとに新しい発見がある素敵な劇団です。
花組芝居の舞台を早くからごらんになってた
どら猫さんはエライッ!
おへんじコメントありがとうございます。
幽霊の台詞、思い出しました!!
塩冶藩士つながりのお話なのですね~。
小林大介さんがステキなのか、それともお髭の女方に
惹かれたのか? ううむ・・・。
私もどっちなのかぜひぜひ検証したいです~(笑)。
いつかチャンスがありますように!