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21世紀のライフスタイル-「グリーン」の意味の問い直し

2008-01-26 22:06:32 | 日記・エッセイ・コラム

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 四国の各地でもグリーン・ツーリズムの様々な挑戦が始まっている。1月26日、松山大学で第3回四国グリーン・ツーリズム・フォーラムが開催された。グリーン・ツーリズムは、国によって内容やよび方も様々だが、「農村地域において自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動」とされている。基調講演に立った愛媛大学・藤目節夫教授は、日本のグリーン・ツーリズムとヨーロッパとの違いにふれ、「農家民宿と農業体験に特化した」日本の取り組みが、景観・環境の法整備など受け皿をおろそかにしたままで持続可能か、グリーン・ツーリズムの言葉だけが一人歩きし、パラダイムなき展開になってはいないかと問題を提起した。1世紀前、『日本奥地紀行』のイザベラ・バードが見た美しい日本の風景、それを学んだヨーロッパのまちづくりと今日の日本での景観法への無関心との落差。美しい景観・環境の整備は、住民の「まなざし」の醸成なしには成しえない。「知る・気づく・感じる」地元学によって景観法を活かすことだと語った。Img_0030_edited

  また、グリーン・ツーリズムの「グリーン」の意味の問い直しにもふれた。イギリスのグリーン・ツーリズム研究の第一人者・バーナード・レーンが指摘するように、「グリーン」の意味は、単なる「緑」や「自然」の意味ではなく、地上のすべての生命の尊重、資源の適正利用、多様性の評価、すべての生物の相互関連の認識が、そのコンセプトの根底にある。したがって、グリーン・ツーリズムは、人間を取り巻く自然環境や産業、文化などのとらえ方、自己の行動の律し方など、一人ひとりの人生観やライフスタイルにも影響を与える活動であること。自然と人間との共生がいわれる21世紀にどのようなライフスタイルをもつべきか。農山漁村が21世紀のライフスタイルという「知」の情報発信を行うべきだと提案した。Img_0047_edited

  パネルディスカッションでは、フライブルク出身の広島大学・カロリン・フンク准教授も「滞在型」をグリーン・ツーリズムというのだろうかという違和感とともに、ヨーロッパではサスティナブル・ツーリズムという考え方に重点があること。地域全体の環境・景観づくりのために、資源の再利用・省エネ・CO2削減、公共交通優先、建物規制、環境保全型農業などを考えたグリーン・ツーリズムの展開の必要を語った。事例報告として、香川県三木町の広野牧場での酪農体験、徳島県上勝町の廃校を再利用した宿泊体験施設・山の楽校、高知県黒潮町の黒潮カツオ体験隊、愛媛県内子町の農家民宿・ログ立山の経験もまた先進的なものだった。Img_0042_edited

  「一周遅れのトップランナー」として豊かな自然・景観をもつ四国の特性が活かされた都市と農村との交流・連携。地球環境時代、サスティナブルな21世紀のライフスタイルを発信する四国のグリーン・ツーリズムとそれを担う人材育成に、地域・行政・大学のネットワークが確実に動き始めている。


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