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宮崎・地域づくりへの旅

2007-03-13 20:25:38 | 日記・エッセイ・コラム

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宮崎県が゛そのまんま旋風゛で注目を浴びている。ということではなかったが、「灘町・宮内邸を守る会」メンバーで宮崎の「ほんもの」の地域づくり拠点を訪ねた。一つは、西都市にある高見乾司さんが主宰する「森の空想美術館」。これまで九州各地に伝わる多様な神楽面の収集と展示・研究を続けてきた旧「由布院空想の森美術館」 をこの地に移し、「森の空想美術館」として活動を継続。西都原古墳群に囲まれた茶臼原台地に、教会を再生したギャラリーと「九州民俗仮面美術館」が開設されていた。

Img_0010_edited_2 美術館は、明治27年、児童福祉の父・石井十次が拓いた36haという広大な「石井記念友愛社」の敷地内にある。子どもたちの寄宿舎を「手づくりミュージアム」方式・ワークショップで改装・再生した。200点にのぼる民俗仮面が展示され、アジア・環太平洋の仮面文化と南九州の古代芸能・神話との連環を想像させる。

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高見氏は「福祉と芸術の究極の出会い」といわれたが、大原美術館を創設した大原孫三郎と「岡山孤児院」の石井十次の出会い、大原美術品を世界から集めた石井の孫・児島虎次郎の3人の絆など、近代 黎明期のフィランソロピーの軌跡を「石井十次資料館」で初めて知ることができた。松平建主演の映画『石井のおとうさんありがとう』も2004年夏にロードショーされたという。

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「天は父なり 人は同胞なれば 互いに相信じ 相愛すべきこと」。「石井記念友愛社」の憲法にある一節。「自然主義」「家族主義」「友愛主義」が、ルソーの「エミール」に学んだ石井十次の理想郷の理念なのであろう。明治から脈々と続く福祉と芸術の地域づくりの歴史・・。

Img_0072_edited_1 かつては「夜逃げのまち」といわれた綾町。今では「有機農業のまち」「照葉樹林の残るまち」として年間120万人の観光客を迎え、全国的にも注目を集めている。前町長・郷田実氏が提唱した「一坪菜園運動」から生まれた「手づくりほんものセンター」を訪問した。センターは町から商工振興会が委託を受け、町民が生産した有機農産物や加工食品などを販売し、地域の産業や観光の振興をはかるための施設である。

Img_0073_edited 「綾町民が町内で生産した品物、綾町内で加工した物を原則とする」「綾町の条例に基づき、有機農産物認定基準による認証を行った品物」などの自然生態系「綾ブランド」の維持や徹底した地域内循環。都市住民との連携をはかり、レジ客だけで年間35万人、売り上げは3.5億円にのぼる。゛顔の見える゛登録生産者掲示板には700人の名前があった。

Img_0077_edited こうした取り組みの基礎には、前町長・郷田氏による「結いの心」を取り戻す「自治公民館活動」、全町民総参加のまちづくりがある。照葉樹林伐採反対運動を契機に、郷田氏は人間も自然の一部であると住民に強く説いた。自然リサイクルの考え方は、有機農業や地域資源循環システムを生み出し、自然環境を保全する観光コンセプトにも連動している。゛合併しない町゛人口7500人の綾町に住みたいという中高年も増え、新しい定住者やビジネスも生み出している。日本一の照葉樹林とともに、自治の心を育む綾町にも「ほんもの」の地域づくりがあった。


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