
兵庫県立美術館
http://www.artm.pref.hyogo.jp/home1.html
『オランダ絵画の黄金時代
アムステルダム国立美術館展』
京都に来た「青いターバンの女」を人込み嫌さに、
見逃した。
その後悔があって、今回はなんとか招待券の期限の
切れる前日に滑り込んだ(展示会自体は~1/15)。
目当てのフェルメールはわずかだったけど、当時の
オランダ絵画に関しては、風景・静物・花・肖像画・
風俗画・・・すべてを堪能した展覧会だった。
ただ、成人の日の祝日の為やはり人が多く、絵の前は
大変な混雑だった。せめて、すべての作品に7・8行は
付いていたキャプションがもう少し説明が整理されていて、
作品によりメリハリをつけていたら、人の流れもいくらか
スムーズになり適度に背景の理解を深めながら「絵を観る」
ことに専念できたのではないだろうか。

ヨハネス・フェルメール「恋文」
絵に込められた寓話やカメラ・オブスクラ使用の有無・・・
画家の持つ謎はさておき、単純な私見。というか印象。
明るいフェルメールブルーの部分より、暗部のカーテンの
暗いブルーが美しかった。いつか他の小品を見た時には、
細かく正確な描写に目が行ったけれど、今回は意外と
思い切りのいい構図や光の美しさに軽快なイメージを感じた。

レンブラント・ファン・レイン「青年期の自画像」
レンブラントはいわば私にとって初恋の画家。この人が描いた
絵、とくに妻の絵を図録で観た時、なぜか胸がいっぱいになった。
この人の描く光と影とそれにつつまれている人物は裕福な
人の肖像画ですら、手放しに精気に満ちているとは思えない。
この青年期の自画像は特に晩年の自画像の面影が濃く、
胸がきゅんとする。得た栄光が両の手をすり抜けても、自分の
絵を描ききった人は、厳しく、そして純粋な人だったように思う。
数少ない時空を越え、逢って見たい画家の一人だ。
『コレクション展』

鴨居玲「蛾」
この人の絵は、かっこいい。デザイン的センスを感じる。
美術館に行くと時々理屈抜きに持って逃げ帰りたいような
絵に出合うことがあるけど、今回はこの人の「水売り」が
それだった。人間に対して厳しい目と一緒に温かい心を持って
いるから、こんな激しいタッチでシニカルに描いてもどこか
ユーモラスで暖かく観ていてここちよいのではないだろうか。

小磯良平「斉唱」
余り好きな画家ではない。モデルがいかにも両家の子女
といった風だし、絵が明るく洗練していてきれい過ぎる。
でも、この「斉唱は」抑えた色合いと裸足、すがすがしさ
が好感が持てる絵だった。
他にはデッサンと油彩をならべて展示していたものがあって
印象的だった。デッサンがステキだった。それが油彩になると
自然なドレスのウエストの横じわや衿ぐりのタックが不自然に
整理されてツルンとしてしまっていて、いくらすばらしい画家
でも、好きになれない人というものはやはりよく知るほど明確
になっていく理由があるものだと感じた。
その他、展示作品が多岐に渡って大量にあった。
初めて行って、近近の再訪がないと思われる場合の常で
欲張って観て、心底疲れた。4時間半かかっても時間の
関係で、通り抜けのように雑に見た展示室が惜しい。
私には、見ごたえありすぎの美術館だった。
美術館施設・建物は上記美術館HPでかなり雰囲気が
良く伝わる画像がある。