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「トーヨー新報」食客日記

豆腐などの大豆(加工品)、こんにゃくを中心に、日本・世界の食文化……その他諸々について、あれやこれやと夢想する日々です。

お好みとうふ

2011-04-09 10:15:50 | グルメ
今春から、割と気に入っている豆腐総菜があります。
ナガイ総合食品」の「お好み豆腐」です。

パッケージ越しに見た豆腐は、崩してあるように見えました。
ちょうどお好み焼きの具材のように、かき混ぜてあるかと思ったのです。
(豆腐をお好み焼きの具材に混ぜ入れる、お好み屋さんもあることだし)
しかし、フィルムを取って見ると、豆腐はきっちり固まって一体化。
細かく刻んだキャベツが豆腐とともに凝固しているのですね。
       ☆
容器からすっぽりと外したお好み豆腐を
油を引いたフライパンに投入し、強火で焼く。
とにかく強火で焼いて、表面がカリッとするまで焼かないと駄目です。
美味しいコナモノと同じ原理です。外側は香ばしく、内側はふわっと。
焼きたてに(濃厚な)お好み焼き用ソースをかけて
お好み豆腐の出来上がり。キャベツの甘さが口中を幸せにしてくれます。

ソース味が強いだけでなく、食感も随分とお好み焼きに似ているのですが、
食べている途中で、あれっ、やっぱり豆腐だぞwと。

誤訳としてのビヂテリアン

2011-04-01 12:04:54 | グルメ

ベジタリアン」という言葉は、本来
ラテン語「vegetus」の方に重きを置いていたらしい。
「vegetus」とは「活発な、力強い」という意味なのだ。
       ☆
1847年に「英国ベジタリアン協会」が設立された時、
(旧来のピュタゴリアンの流れを汲んで)
倫理的・宗教的な色彩を帯びていたところに、
vegetable(野菜)」という即物的な観念までも加わり、
そこで「健康で生き生きとして力強い人」としてあったビジテリアンは
「肉や魚などの動物性食品を食べないようにしている人」として
意味の転換が起きる。現代から見れば、真逆のようだけれど(cf. 草食系男子)。
       ☆
わが国に「vegetarian」という語が入ってきたのは明治中期のことで、
その受容の際に、やはり「野菜」へ比重を置いたため、
「vegetarian」を「野菜を食べる人」「野菜を信奉する人」「菜食主義者」、
派生語の「vegetarianism」を「菜食主義」と(誤?)訳したようなのだ。
原義から辿れば「強き人」。あるいは意訳して「殺生戒を破らぬ人」でしょうか。
       ☆
単に野菜を食べればよいのではない、
宇宙に生きとし生けるもの、全ての命のことを考えて生活すべきだ
――と考えていたであろう宮澤賢治は「菜食主義者」の類の訳語では飽き足らず、
ビヂテリアン」と、まんまで使用しています。
ビヂテリアン大祭』という小説(童話でも可)のタイトルもありましたね。