
昨日(21日)午後、御津(虎倉)産廃阻止同盟・中原寿会長と御津河内産廃処分場反対会議・大智豊会長を招き、「みつ産廃処分場は今後どうなる?」と題する集いが、岡山市北区玉柏の河本公会堂で開かれました。
(左の写真は、最後の合唱場面)
岡北の会―「虎倉の計画業者は箕島で違法な操業」などと指摘
最初に、主催団体・岡山市の水を守る岡北の葛原健志世話人が、産廃処分場に関わる出来事などを次のように報告しました。
虎倉処分場建設を計画している(株)西日本アチューマットクリーンは、市南部の箕島産廃処分場(管理型と安定型)で許可容量(88,000立米)を25,000立米も超過して処分していました。同社の元従業員は、同社が違法な埋立や汚水の放流を行っていたと裁判で証言しました。この会社が御津で違法な操業を繰り返さないという保証はありません。
岡山市北部の真星(まなぼし)産廃処分場(安定型)では、2001年にBOD、CODや重金属が基準値を大幅に上回り、市から搬入・埋立中止を指示され、2004年には大雨のとき基準値を上回る汚水を流し、市から放流中止を指示されています。安定型処分場は、管理型処分場以上に汚水=毒物を流出させる危険性が高いと言われることがうなずけます。
また、虎倉処分場に併設される焼却炉からは、PM2.5などの粒子状物質、硫黄酸化物、窒素酸化物、塩酸、一酸化炭素、二酸化炭素、水銀、ニッケル、クロム、カドミウム、ヒ素、ダイオキシン類などの毒物が放出され、環境や人体が悪影響を受けます。
市民や子どもたちの健康や生活にとって、飲み水の上流に産廃処分場を作ることは大問題です。
虎倉の中原会長―「将来に禍根を残さぬよう戦い抜く」と決意

虎倉処分場の予定地は、旭川の支流の宇甘川、そのまた支流の大野川の上流にあります。つまり、下流には三野浄水場があり、岡山市民の大半の飲み水を供給しています。業者は、下流になれば汚水も薄まって問題ないと言っていましたが、我々は、どんなに薄まっていても、長年飲み続けると悪影響が出てくると考えます。
産廃は、1.5mmのシートを二重に敷いて埋め立てるといいます。ここに、豊島に捨てられた廃棄物の量に匹敵する51万立米が捨てられます。また、中間処理施設として、焼却炉や破砕施設、汚泥の処理施設、廃油の油水分離施設も併設されます。ここに、放射性物質を除くあらゆる廃棄物が主に関西方面から持って来られます。
この薄いシートが破れない保証はありません。福島原発でも3重のシートを敷いた貯水槽から放射能汚染水が漏れています。
我々が、浸出水を溜める調整池が小さいので大雨が降れば氾濫すると指摘すると、業者は、大雨が降るときには産廃にブルーシートを被せて水が入らないようにすると説明しています。3万7千平米の埋立地にとっさにブルーシートを被せることが可能でしょうか?
焼却施設から出るダイオキシン類なども心配です。
旧御津町時代から反対運動を続けて来ましたが、岡山市との合併後、市議会でも反対請願が可決されました。平成21年9月の市長選挙では、高谷市長は御津に来て、「皆さんの意に沿うように考えます」と言っていたのが、当選後の10月には許可を出しました。「市長にだまされた」という人もいます。
それを受け、業者に対する建設差止訴訟と、岡山市に対する許可取消訴訟を起こしました。昨年末から今年の3月にかけ、2つの訴訟に不当判決が出されました。我々は高裁に控訴して、5月14日が建設差止訴訟の初公判となります。
この産廃処分場ができると、御津の住民や下流の多くの市民の将来に禍根を残す、有害物質が流れてからでは遅いと思い、闘いぬく決意です。
河内の大智会長―「市の判断は予断を許さないが、続いて闘う」

旭川の支流の三谷川、そのまた支流の小田川の上流が予定地です。目の前に松田牧場があります。平成19年に建設計画が発表されてから5年が過ぎました。
安定型処分場ですから、廃棄物は5品目に限られますが、ほとんどが廃プラスチック類だと思われます。ここに92万立米が埋立てられます。
工場の解体などで廃棄されるポリタンクや塩ビの配管などの廃プラスチック類が来ますが、様々なものが付着しています。目視検査するということですが、タンクの中のものや透明なものはわかりません。「安定型」ではシートも何もなく埋立てられるので、雨が降れば付着物が浸み出し、下流へと流れて行きます。
近くの農作物にも影響があるでしょうが、下流で薄まっていても、飲料水に入ると、長年経つうちに人体にも影響があると思います。
市長や議会に反対の陳情書など署名簿を付けてを出しまして、昨年議会が採択してくれました。
市の方には何回も問題点を指摘する申し入れをしました。市は、事前審査で審議会をつくって審議してきましが、昨年12月に審議が済んだところです。来月にも審議結果が出て、その後に業者が本申請をします。市長は本申請後120日以内に判断することになっています。
9月に市長選があるので、高谷市長が再出馬するなら、判断は市長選のあとになるでしょう。6月議会では、出馬するかどうか表明すると思われます。
市長の判断は予断を許しませんが、もしも許可されるなら、虎倉に続いて戦うつもりです。
質疑応答
(問)福島原発で放射能汚染水を溜めたプールの水が漏れたが、共通点は?
(答)虎倉では1.5mmのポリエチレンシートが二重に敷かれますが、福島では同じ1.5mmのシートを三重に敷いていたようです。三重でも漏れるんじゃから、虎倉ではシートに砂を敷くと言っていますがでこぼこは残るし、その上に何十万トンも産廃が捨てられるんです。
(問)業者が「汚水が出ても浄水場辺りでは薄まっている」とか「焼却炉の煙突が高いからダイオキシンは他に飛んでいく」とか言ったそうですが、そんないい加減な業者なんでしょうか?
(答)そうです。焼却施設については事業実績がないので、製造業者のパンフレットで説明して、煙突から出るのは微量のダイオキシンで、高いところから拡散されるのでほとんど影響がないと言っていました。規制値内ならいいという考えでしょうが、長年の継続摂取では問題が起こると我々は思っています。そのようないい加減な規制値を決めている行政にも問題があります。
(問)箕島処分場で許容量を超過した廃棄物は撤去しているんですか?
(答)2万5千立米の超過分に対して、最初に4千立米、その後毎年7千立米を3年間撤去することになっています。我々は、処分場の廃棄物の比重が1.2ですが、掘り起こしで体積が増え、撤去して処分された廃棄物の比重は0.9でした。これじゃあ、2割増しの3万立米は撤去すべきだと言っています。それから、たとえとして、万引きした商品を返したらそれで問題が無くなるのかと、未成年者の万引きのように扱ったらおえんじゃろうと岡山市には言っています。これまでこの業者は、行政の指導を5回くらい受けていて、こちらが指摘しないと改めないという業者です。
(問)岡北の会は街頭で署名集めをしていますが、少人数で数十筆集まるので、関心は高いと思いますが。
(答)我々も駅前などで4~5回やりましたが、1日で2000名の署名を集めたと言ったら、他の団体からはびっくりされました。
(問)裁判所では、業者側の不誠実なやり方は問題にされなかったのでしょうか?
(答)裁判官には、業者の言い分を無批判に採用して、不満があります。例えば、大雨の時には産廃から浸み出た雨水が調整池から氾濫するだろうという主張に対しては、産廃の上にブルーシートを被せるから大丈夫だという業者の言い分を鵜呑みにしています。3万7千平米の埋立場に、雨が降りそうなと言うて、どうやってブルーシート(10m×100mなら37枚以上必要)を被せられるのか。もしも調整池が氾濫するようになったら、バキュームカーで汲み取ると言っているが、そんなことで収まるのか。すべて被告(業者)の答弁を鵜呑みにしています。
最後に
「御津に産廃つくると」を澤山博一さんのギター伴奏で合唱しました。