めいすいの写真日記

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エクサン・プロバンス音楽祭2011歌劇「椿姫」

2012-06-01 | オペラ・バレエ

南フランスで毎年、夏に開かれる、世界屈指のオペラ祭であるエクサ・プロバンス音楽祭。
2011年7月には、ヴェルディの作品の中でも屈指の人気を誇る「椿姫」が上演され、

5月14日(月)、NHK-BSプレミアムで放映されました。

「椿姫」(ヴィオレッタ)を演じたの美貌の人気オペラ歌手ナタリー・デセイ。

他に出演は、
アルフレード:チャールズ・カストロノーヴォ
ジェルモン(アルフレードの父):リュドヴィク・テジエ
アンニーナ(ヴィオレッタの小間使い):アデリーナ・スカラベルリ
フローラ:シルヴィア・デ・ラ・ムエラ
ガストン子爵:マヌエル・ヌニェス・カメリーノ

管弦楽:ロンドン交響楽団
合 唱:エストニア・フィルハーモニー室内合唱団
指 揮:ルイ・ラングレ
演出:ジャン・フランソア・シヴァディエ

舞台が始まるや、ヴォレッタは行動的な女性として動き回ります。

(第一幕 ヴィオレッタの家の客間) 高級娼婦ヴォレッタは、南仏出身で世間知らずの若者アルフレードとの出会いを
きっかけに真実の愛に目覚めます。


歌劇「椿姫」では、第一幕は一般には豪華な館での夜会なので、女性は豪華なドレス、男性はタキシードといった
ところなのですが、会場はエクサン・プロバンスの大司教館中庭ということもあって、舞台はショービジネスの世界
を思わせる簡素化されたもの。1940年代から50年代をイメージしたというコスチュームもよく調和していました。
さすがはアートとファッションの国、フランスです。

夜会は有名なアルフレードの「乾杯の歌」で盛り上がります。

ヴィオレッタはワインをラッパ飲み。

(第二幕第一場 パリ郊外の田舎の家 ヴォレッタとアルフレードはパリ郊外に愛の住みかを構えます。

簡素な舞台ですが、最近よく使われる映像などにより変化を持たせていました。

しかし、アルフレードの父ジェルモンに「妹の縁談の障害」と言われ、ヴィオレッタは、やむなく一人身を引きます。
このあと、今度はジェルモンがアルフレードに向かって歌うのが「プロバンスの海と陸」。バリトンが歌う名曲です。

「プロバンスの海と陸を 誰が お前の心から消し去った
故郷の輝く太陽をお前から遠ざけたのは どんな運命か
苦しみの中で思い出すのだ 喜びに輝いていた日々を
あの故郷でだけ お前に安らぎの光がさす ・・・・」

とても面白いのは、このオペラの設定はパリとその郊外。
ジェルモンがバリまで出てきて歌うのが南仏のプロバンスのこと。
そして、この舞台が造られているのは南仏のプロバンスの中心都市エクサ・プロバンスの大司教館中庭です。
私は、2010年8月にエクサ・プロバンスを訪れましたが、ジェルモンが歌うようにとても良い環境の街でした。
めいすいの海外旅日記・フランス第3日(http://mizukawa-t.sakura.ne.jp/france/3rdday/france3.html

(第二幕第二場 フローラ家の豪華な客間)誤解により、嫉妬に狂ったアルフレードがパリの舞踏会でヴィオレッタに
お金を投げつけて罵倒するという悲劇を起こします。

アルフレードの父に愛の退路を断たれたヴィオレッタは、悲しみの中に真実がいずれ分かると歌います。

(第三幕 ヴィオレッタの病室)やっと理解され、二人が再会した時にはヴィオレッタはすでに重い結核で死の床についていました。

 しかし、結核という重い病にかかり、死期がすぐそこまで来ているのに演出ではベッドに横たわるのではなく、立ち続けて
歌うヴィオレッタ。 待ちわびていたアルフレードとともに、ヴィオレッタは有名な二重奏「パリを離れて」を歌います。

最後の場面、ヴィオレッタは崩れ落ち、死へと旅立ちます。後ろには倒れているのはヴィオレッタの小間使いアンニーナ。

このオペラを強く印象づけたのは、なんといってもヴィオレッタを演じたデセイ。
演出にも大きく影響されるものとは思いますが、渾身の演技と歌唱力で、
ヴィオレッタを魅力的で行動的な女性として斬新に表現し、大きな感動を与えてくれました。
アルフレード役の若きチャールズ・カストロノーヴォも甘いマスクと柔らかいテノールの美声で好演。
反対にジェルモン役は父親としては若か過ぎる気はしますが役柄はこなしていました。

デセイのオペラはハイビジョン&BDで、ベッリー二「夢遊病の女」とマスネー「タイス」を見ていますが、
こんな迫力のある演技をするとは思っていませんでした。
ル・モンド紙が「斬新、知的、ハイバー・センシティブ」と大絶賛したと伝えられていますが、まさに、その通りだと思います。