先生 ごめんなさい・・・

《先生　ごめんなさい》

Rちゃんとの　年末最後のレッスンは　この一言から始まった。

《新札の用意がなくて　
　申し訳ありませんと　母が・・・》

すまなさそうに言う中学生のRちゃんに笑顔で応え
今年　最後のレッスンで　次にも誰もいなかったので
初めて　いつもRちゃんが乗って帰るバス停まで
一緒に歩いた。

Rちゃんとの出会いは2回目
一度目は彼女が幼稚園の時
そして　今回。

上のお兄ちゃん達と我が子が同級生だったこともあり
Rちゃんのママのことは　ずっとずっと前から
よく知っている

《Rちゃん　知らないでしょ？
　ママはね　Rちゃんが幼稚園の時から
　いつも　お月謝はピン札だったの。
　でも、それは　当たり前・・じゃないのよ。

　Rちゃんのママは　本当に素敵な人で
　先生は　ママのことを見ながら
　ああ、こんなふうに自分もなれたらいいなあって
　たくさん　教えてもらったの　　
　ママは　気づいてないんだけどね

　だから　これから　先生が知ってる　ママの素敵なところを
　たくさん　教えてあげるね
　先生も　もっと　素敵になりたいからね～》

Rちゃんは　キョトンとした目をして
黙って聴いていた。

私も、かつて　自分の母がそうしてくれたように
娘たちに　大切なことは　しっかり伝えていこうと
改めて　思った