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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

派遣法改正案は継続審議に

2010年06月19日 | 労働法
 派遣法改正案は、継続審議扱いとされました。
 法案は4月6日に国会に提出され、衆議院本会議で法案の趣旨説明及び質疑、厚生労働委員会でも同じく趣旨説明と質疑、2回目の質疑でストップ、次の国会で継続審議をすることに決まりました。

 今国会で成立した主な労働関係法案は
 ・雇用保険法の一部を改正する法律案
 ・平成22年度における子ども手当の支給に関する法律案
 ・雇用保険法等の一部を改正する法律案
 ・児童扶養手当法の一部を改正する法律案
  http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm

 その派遣に関しての記事を2つ
 【人材派遣インテリジェンスを米ファンドに売却 USEN】
           《asahi.com 2010年6月18日19時7分》より
 有線放送のUSENは18日、子会社で人材派遣大手のインテリジェンスを米投資会社コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)傘下の投資ファンドに売却すると発表した。売却額は325億円で、USENは約1千億円にのぼる有利子負債の返済に充てる。

 2006年に連結子会社化したインテリジェンスはグループの収益の柱だったが、金融危機後の人材紹介市場の落ち込みなどから業績が悪化。USENは本業である有線放送などの配信事業に経営資源を集中させる方針を打ち出しており、インテリジェンスも入札方式で売却先を探していた。


 【西日本シティ銀、派遣パート全員を直接雇用 1100人切り替え】
            《日経Web 2010/6/17 2:10》より
 西日本シティ銀行は10月、パートの派遣社員約1100人全員を直接雇用に切り替える。国会で継続審議となった労働者派遣法改正案に盛り込まれている「派遣会社からグループ企業内への派遣人数は8割以下」との規制に対応する。直接雇用に切り替えることで幅広い業務を任せられるようになり、人材の有効活用につなげる。九州の他の地方銀行にも同様の動きが広がりそうだ。

 西日本シティ銀は派遣子会社のNCBオフィスサービス(福岡市)から受け入れていた、データ入力や書類作成など事務作業を担う約1100人のパート派遣社員をパートの直接雇用に変更する。給与や勤務時間などの労働条件は現状を維持する。(以下略)

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 継続審議扱いになった労働者派遣法改正案に対応する動きですね。

 現行制度では、専ら派遣(専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われる)は禁止されています。しかし、グループ企業派遣(派遣先のほとんどが同一企業グループ内ある)は、そのグループ企業以外の派遣先があれば禁止されていません。

 特定の者のみに派遣しているいわゆる専属派遣会社は第2人事部のようなものになって、労働力の需給調整を行う労働者派遣事業としては必ずしも適当とはいえないと問題を指摘されていました。また、グループ企業への派遣は、派遣先が本来直接雇用すべきものを派遣先で働かせているおそれがあり(例えば、親会社が派遣子会社に社員を転籍させ、給与水準などを引き下げて派遣社員として使う)、労働条件の切り下げにもつながりかねません。

 そこで改正案では、
▽関係派遣先への労働者派遣の制限(グループ企業派遣の8割規制)
  派遣会社がグループ企業に派遣する社員は、派遣会社が抱える派遣社員総数の8割以下に抑える
▽離職後の派遣は1年間禁止
 離職した労働者を離職後1年以内に離職前の事業主等に対して派遣労働者として派遣すること(派遣先が派遣労働者として受け入れること)を禁止
が盛り込まれています。


 今回のような直接雇用への切り替えは、派遣ではさせることの業務に制限が多くありましたが、直接雇用ならば社員の能力や適性に応じ、職種や職場の転換が容易にできます。また、社員にとっては労働意欲の向上にもつながりそうです。とは言え、直接雇用することは責任が大きくなると言うことも忘れてはいけませんね。