俳句大学国際俳句学部よりお知らせ【国際俳句の取り組み】!
〜Facebook「Haiku Column」【俳句界】2022年6月号〜
注目:『ウクライナ特集】(今月の秀句より)
◆俳句総合誌『俳句界』2022年6月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
※ 2021年の『俳句界』10月号から、優秀な作品が揃って来ましたので、1ページ増えて、3ページに渡って掲載しました。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。人種、国籍を問わず投句を受け入れていることから、その「人道主義的」スタンスが広く支持されています。
◆ 向瀬美音氏は日本語訳の改善に着手している。五七五の17音の和訳は、HAIKUをただ端に日本の俳句の五七五の17音にしただけではなく、原句のHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に一歩近づくための有効な手立てであることを強調しておきたい。
◆例えば、ある日本の国際俳句大会で「飢えた難民の/前に口元に差し出す/マイクロフォン一本」のような三行書きにしただけで散文的な国際俳句が大会大賞、或いはある国際俳句協会のコンクールで「古い振り子時計―/蜘蛛の巣だらけになっている/祖父のおとぎ話」のような切れがあっても三段切れで冗漫な国際俳句が特選を受賞しているように、三行書きの国際俳句が標準になっていることに危惧を覚えて、俳句の本質かつ型である「切れ」と「取り合わせ」を取り入れた二行俳句を提唱して行きます。
◆2017年7月にフランス語圏、イタリア語圏、英語圏の55人が参加する機関紙「HAIKU」を発行しました。12月20日発行の2号では91人が参加しました。また、5月31日発行の3号では96人が参加し、320ページを数えます。さらに、12月26日発行の4号では112人が参加し、500ページを数えます。そして5号では150人が参加して、550ページを越えて、8月1日に出版しました。そして、6号を2020年12月に出版しました。また、2020年3月1日には「国際歳時記」の第1段として【春】を出しました。「HAIKU」6号と「歳時記」は原句の内容を損なうことなく五七五に訳出しています。
◆総合俳句雑誌「俳句界」2118年12月号(文學の森)の特集に「〔Haiku Column〕の取り組み」について」が3頁に渡って書いています。
◆「華文俳句」に於いては、華文二行俳句コンテストを行い、華文圏に広がりを見せて、遂に、2018年11月1日にニ行俳句の合同句集『華文俳句選』が発行されました。
◆ 二行俳句の個人句集では、洪郁芬氏が『渺光乃律』(2019、10)を〔華文俳句叢書1〕として、郭至卿氏が『凝光初現』(2019、10)を〔華文俳句叢書2〕として、次々に刊行している。さらに、全季節を網羅した「華文俳句歳事記」が2020年11月には刊行されて、これで季重なりの問題が解消されるでしょう。
◆さらに、2020年1月からは月刊『俳句界』に「華文俳句」の秀句を連載している。
◆『俳句界』2020年3月号の特別レポートにおいて、熊本大学で行われたラウンドテーブル「華文俳句の可能性」の報告が8頁に渡って掲載されました。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
The June issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the June issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
Juin aout de 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆L Juin de aout de HAIKUKAI俳句界 vient d'etre publie.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.
Haiku Column(俳句大学)今月の秀句(「俳句界」R4.6月号)
永田満徳選評・向瀬美音選訳(仏・伊)・中野千秋訳(英)
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】
(Facebook「Haiku Column」より)
Olfa Kchouk Bouhadida(Tunisia)
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premier papillon épanoui ~
il perd ses ailes à Marioupol
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
Mariupolis is an important place for Russia as it is located between the annexed Crimean Peninsula and the Russian mainland. Since the Russian invasion, the city has suffered numerous civilian casualties and has become the scene of the most fierce battle. The poem is heartbreaking in that it depicts the intensity of the battle, in which even the first "wings" of the newborn "first butterflies" are lost, by entrusting it to a small animal.
オルファ クチュク ブハディダ(チュニジア)
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初蝶やマリウポリで翅失ひ
〔永田満徳評〕
マリウポリは、ロシアにとって、併合したクリミア半島とロシア本土とを結ぶ位置にあり、重要な場所であることから、ロシア軍の侵攻以来、市民に多数の犠牲者が出ていて、最大の激戦地となっている。生まれたばかりの「初蝶」の初々しい「翅」さえも失せてしまう戦闘の激しさを小動物に託して詠んでいるところが心を打つ。
※
Françoise Deniaud-Lelièvre(France)
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sous la neige drapée en jaune et bleu
une femme en pleurs
〔Commentaire de Mitsunori Nagata〕
Le drapeau ukrainien présente un ciel bleu dans la moitié supérieure et du blé dans la moitié inférieure, jaune, les couleurs symboliques du grenier à blé de l'Europe. L'armée russe l'a démoli et l'a battu dans les rues enneigées en signe d'agression. La "Nonna qui pleure" n'est pas seulement un drapeau, mais aussi une protestation sympathique contre la violation des droits humains des groupes vulnérables, tels que les femmes et les enfants.
フランソワーズ ドウニオ ルリエーブル(フランス)
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雪の下に黄と青の旗泣くをんな
〔永田満徳評〕
ウクライナ国旗は上半分の青が青空、下半分の黄色で、ヨーロッパの穀倉地帯のシンボルカラーである。ロシア軍は侵略の証として、雪の路上に破り、打ち捨てている。「泣くをんな」には、国旗だけではなく、女性や子どもといった、弱い立場の人たちの人権を蹂躙する行為に対する抗議が込められていて、共感できる。
※
Angela Giordano (Italy)
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the sky illuminated by rockets
spring frost
il cielo illuminato dai razzi
brina primaverile
〔Commented by Mitsunori Nagata〕
Incendiary rockets are weapons that detonate and spread in mid-air and fall as numerous fireballs. They must have shone brightly only on a frosty spring night when the air was clear. There is nothing more terrifying than the light from the merciless and unreasonable Russian bombs, and it is good that the author only describes facts and leaves the heart-chilling scene to the reader's imagination.
アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)
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春の霜ロケット弾の照らす空
〔永田満徳評〕
焼夷ロケット弾は空中で起爆し拡散して、多数の火の玉となって落ちて来る兵器。空気が澄み渡った春の霜夜だけに、さぞかし鮮やかな輝きを放っていたことであろう。無慈悲で、理不尽なロシア軍の爆弾の光ほど恐ろしいものはなく、心も凍る情景を事実だけを述べて、読み手の想像に委ねているところがいい。
【今月の季語(Kigo of this month】
(Facebook「Haiku Column」より)
【春暁 しゅんぎょう shungyou / spring dawn / lever du jour de printemps 】
Jean-Luc Favre(Switzerland)
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rai de lumière sur son visage endormi
aube printanière
ジャン-リュック ファーブル(スイス )
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春暁や眠る顔には陽の光 美音
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Zaya youkhanna (Australia)
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spring dawn
with tea a dish of marmalade
ザヤ ユッカナ(オーストラリア)
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春暁やお茶に添へたるママレード 千秋
【 三月 さんがつ sanngatu / march / Mars 】
Gabriella De Masi(Italy)
vento di marzo-
un uomo insegue il suo cappello
vent de mars-
un homme poursuit son chapeau
ガブリエラ デマシ(イタリア)
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三月の風男は帽子追ひかける
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Rachida Jerbi(Tunisia)
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Le ciel tisse un lien étroit avec la mer ~
pluie fine de Mars
ラチダ ジェルビ(チュニジア)
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空は海と細き絆を三月の霧雨
【春昼 しゅんちゅう shunnchu / spring afternoon / après midi de printemps 】
タンポポ亜仁寿(Indonesia)
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spring afternoon -
cat's ears can move while sleeping
タンポポ亜仁寿(インドネシア)
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春昼や寝ていても動く猫の耳
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Christina Chin(Malysia)
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hop skip jump
hopscotch on a spring afternoon
クリスティーナ チン(マレーシア)
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跳んで跳ね石けり遊び春の昼
【春の川 はるのかわ harunokawa / spring river / rivière de printemps】
Zamzami Ismail(Indonesia)
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spring river
there is no ripple that do not reflect light
ザンザミ イスマイル(インドネシア)
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どの波も輝き持ちて春の川
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Kamel Meslem(Algeria)
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Rivière au printemps
le murmure des eaux berce mon émoi
カメル メスレム(アルジェリア)
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春の川感動揺らすざわめきよ
【女性の日 じょせいのひ joseinohi /women's day / Journée de la femme 】
Mirela Brailean(Romania)
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Women's Day -
a global day of prayer for men-at-arms
ミレラ ブライレーン(ルーマニア)
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女性の日兵士のための祈りの日 千秋
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Feten Fourti(Tunisia)
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l histoire d une héroïne inachevée
8mars
フテン フルティ(チュニジア)
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女性の日歴史に未完の女性の名
【春セーター はるせーたー haruse-ta- / spring sweater / chandail de printemps 】
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spring sweater
the softness and smoothness of my knitting
Rina Darsa(Indonesia)
リナ ダルサ(インドネシア)
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春セーターふはり滑らか我が手編み
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Ana Irina(Romania)
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spring sweater
the pattern made by shadows
アナ イリナ(ルーマニア)
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その柄は影によるもの春セーター
【木蓮 もくれん mokuren / magnolia / magnolia 】
Agnès Giallongo(Italy)
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La magnolia -
Aiuta la mia solitudine con la sua bellezza
Magnolia -
Brillant plus que le soleil avec ses couleurs
アグネス ジアロンゴ(イタリア)
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木蓮や美しき色孤独を癒し
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Isabelle Carvalho Teles(France)
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Fleurs de magnolia
le long de ton cou une goutte de parfum
イザベル カルバロ テールス(フランス)
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木蓮や首筋に一滴の香を 美音
【チューリップ ちゅーりっぷ chu-rippu / tulip / tulipe 】
Nuky Kristijno(Indonesia)
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her jelously shows on her face
yellow tulips
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ナッキー クリスティジーノ
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黄のチューリップ顔に出す妬心かな
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Choupie Moysan(France)
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tulipes de printemps
les premières fleurs sur les enterrés
シュピー モイサン(フランス)
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埋葬の上に最初のチューリップ