goo blog サービス終了のお知らせ 

【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

〜Facebook「Haiku Column」〜  ☆【俳句界】2025年6月号☆

2025年05月26日 23時49分32秒 | 「俳句界」今月の秀句

俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!

〜Facebook「Haiku Column」〜
 ☆【俳句界】2025年6月号☆
 
◆俳句総合誌『俳句界』2025年6月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
※ 2021年の『俳句界』10月号から、優秀な作品が揃って来ましたので、1ページ増えて、3ページに渡って掲載しました。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。

The May issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the May issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published. 
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata. 
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.

 « HAIKUKAI»  Le numéro de Mai
〜Haikus du Mai de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆ Le Mai de HAIKUKAI a été publié.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata. 
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.

 (「俳句界」R7年6月号)
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】  
永田満徳選訳 訳:Anikó Papp・大津留直 監訳:五島高資

Haiku Column(俳句大学)今月の秀句(「俳句界」R7.6月号)


Ylohps(台湾)

清澈透明的水晶淵
春天難忘的回憶
clear and transparent crystal abyss
unforgettable memories of spring
イロアップス(台湾)

すき通る水晶春の思ひ出よ
 

Anna Rimondi(Italy)

vento e nuvole si rincorrono in cielo-
marzo incostante
*
wind and clouds chase each other in the sky -
inconstant March
アナ リモディ(イタリア)

三月の空や追ひあふ風と雲
 

Ariani Yuhana(Indonesia)

longday - maid finishes irining clothes
アリアニ ユハナ(インドネシア)

日永しアイロンがけを終へるメイド
 

たんぽぽ亜仁寿(Indonesia)

spring afternoon -
cat's ears can move while sleeping
たんぽぽ亜仁寿(インドネシア)

春昼や寝ても動ける猫の耳 
 

Dyah Nkusuma(Indonesia)

peaceful~
I see faces with smiles
ディア ヌクスマ(インドネシア)

微笑みの顔を見せたる長閑かな
 

Ana Irina(Romania)

spring frost -
no call from you
アナ イリナ(ルーマニア)

春の霜君の電話のなきままに
 
 
 

Paola Trevisson(Italy)

vento dell'est-
a tutti fa piacere un pasto caldo
 
east wind-
everyone likes a hot meal
パオラ トレビソン(イタリア)

東風吹くや皆温かき食事好き
 

Paul Callus(Malta)

spring crescent moon –
a woman embraces her newborn child
ポール カルス(マルタ)

春三日月生まれたてなる子を抱きしむ
 

Geranium Slimou(Algeria)

vent printanier
mon chat sautille pour attraper les pétales
ゼラニウム スリモウ(アルジェリア)

花びらに飛び跳ぬる猫春の風
 

Adoni Cizar(Sylie)

spring sadness~
flower petals shrouding victims in the open
アドニ シザー(シリア)

犠牲者を包む花びら春愁
 

el Hamied(Indonesia)

balloon
tiny hand reaches out regardless of color
エル・ハミード(インドネシア)

風船や色はどれでも手を伸ばす
 

Daniela Misso(Italy) 

antica taverna -
un raggio di sole sui sacchi di semi
ancient tavern -
a ray of sunshine on the seed bales
ダニエラ ミッソ(イタリア)

居酒屋や日の光さす種袋
 

Anne-Marie Joubert-Gaillard (France)

vacances de printemps
les voisins partis quel calme !
 
spring break
the neighbors gone, what calm!
アンヌ‐マリ ジュベール‐ガヤール(フランス)

隣人のなきしづけさや春休
 
 
 

Maurizio Brancaleoni(Italy) 

May Day concert —
the multicoloured dance of umbrellas
*
concerto a maggio:
la variopinta danza degli ombrelli
マウリツィオ・ブランカレオーニ(イタリア)

メーデーや色とりどりの傘舞へる
 

Angela Giordano(Italy) 

in the old village
the first chirps on the red roofs
 
nel vecchio borgo
i primi garriti sui tetti rossi
アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)

故郷に初音聞こゆる赤き屋根
 

Francesco Palladino(Italy)

di lá dal mare una voce nel vento
rondini in volo

【永田満徳訳】
フランシスコ パラディノ(イタリア)

燕飛ぶ海の向こうの風の声
 

Marisa Schiavon(Italy)

sopra le dita leggero solletico -
farfalla gialla
マリサ シアボン(イタリア)

指に来て黄色い蝶のくすぐれり
 

Irmareeves (Indonesia)

cherry blossom festival ~ our family happy outings
イルマリーヴス(インドネシア)

家族みな楽しきお出かけ桜祭
 

Kim Olmtak Gomes (Holland)

night lanterns -
sakura sprouts budding on the wall
キム オルムタック ゴメス(オランダ)

提灯や壁に桜の芽吹きたる
 

Nuky Kristijno(Indonesia)

tulips
the bride's big smile at the altar
ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)

祭壇で花嫁の笑みチューリップ

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国際俳句の改革への取組み 〜日本の俳句の基準を国際俳句の基準に〜

2025年05月12日 15時57分53秒 | 熊本近代文学研究会

令和7年度熊本近代文学研究会5月例会のお知らせ

時下ますますご清栄のことと存じます。

さて、熊本近代文学研究会5月例会を下記のとおり開催いたします。

            記

日時:令和7531日(土)14時~

会場:熊本大学文学部日本語日本文学研究室

内容:【研究発表】

発表者:永田満徳氏 (一般社団法人日本俳句協会会長・俳句大学学長・俳人協会幹事)

題目:国際俳句の改革への取組み 〜日本の俳句の基準を国際俳句の基準に〜

論旨:国際俳句の改革は、日本の伝統的な俳句を世界に広める試みであり、近年ますます注目されている。

⒈俳句の国際化と定義の再検討:

俳句を国際文芸として位置づけ、国際俳句の真の在り方を探求するために、俳句の定義を再検討している。

・この取り組みは、俳句の国際的な普及を促進する一環として重要である。

⒉指導の実際

facebookグループ「Haïku Column」において、国際俳句の指導添削を行なっている。

・その結果は、月刊「俳句界」に連載している。

①二行俳句の提唱:

国際俳句の試みの一環として、「切れ」と「取合せ」を取り入れた 二行俳句を提唱している。

・二行書きの俳句は、三行詩 (散文詩)的な HAIKU に対して、より簡潔で韻文的な表現を追求するものである。

② 「切れ」と「取合せ」を基本とした「7つの俳句の規則」〔7rules of Haiku〕を提示している。

・「7つの俳句の規則」によって、形容詞、動詞などが減り、具体的なものに託した表現を基調とし、省略された俳句が多くなった。

③季語の国際化:

季語は日本独特の要素だが、国際俳句においても「KIGO(季語)」を取り入れる試みをしている。

・季語を使った「取合せ」として、一行目に季語、二行目に季語と関係のない言葉、逆に言えば、一行目に季語と関係のない言葉、二行目に季語という、二通りの作り方を提示している。

・この二通りの型は「季重なり」を防止することのみならず、「切れ」と「取合せ」がはっきりし、二行俳句が作りやすい利点がある。

④和訳の改善:

和訳においては、単に日本の俳句風にすることなく、五七五の17音の和訳を行なっている。

・五七五の和訳 はHAIKUの真価を再現するものであり、国際俳句の定型化に繋がりものである。

・従って、五七五訳するのが目的ではなく、手段である。

国際俳句は、異なる文化や言語を超えて、人々をつなげる素晴らしい詩の形式である。

 

「国際俳句の改革の必要性」問題提起として(資料の一部)

国際俳句の改革 ~ 散文的なHAIKUの是正 ~

                           永田満徳

なぜ今、国際俳句の改革が必要性なのか?

俳句は日本の伝統的な詩の一つである。今では世界各地域の言語文化という場で世界化し、また、進化している国際的な文学形式である。

現代の世界俳句では、三行書きで、無季(自由季)のHAIKUが優勢であることは否定しようがない事実である。しかし、俳句実作者の立場からすると、俳句の型と本質から外れているように思われる

現在俳句として流通しているHAIKUは三行書きがほとんどである。日本の俳句の観点からみて、三行詩(散文詩)であると言わざるを得ない。HAIKUは三行書きなりという定型意識が強い。

例えば、第二十二回「草枕」俳句大会では、

 

Indra Neil Mekala (India)

starving refugee           餓えた難民の

a hand approaches her mouth     口元に差し出す手には

with a microphone          マイクロフォン一本 

和訳:西川盛雄

 

という句が「草枕」大賞を取っている。この句の場合、時事的な内容を捉えた意味では悪くはない。しかし、一行にしてみると分かることだが、「切れ」がないために単なる報告であり、散文詩的である。「切れ」がないため、「難民」というキーワードによる連想力がうまく活かされていない。

そのことは、俳人協会、現代俳句協会、日本伝統俳句協会の支援を受けて設立され、国内外の俳句交流の窓口の役割を果たすべく活動している国際俳句交流協会(Haiku International Association)のHIA俳句大会 の「特選」においても変わりはない。

 

【第二十回(二〇一八年)】木内 徹 選 (和訳共)

Nikolay Grankin    ニコライ・グランキン

(Russia)       (ロシア)

from stars in the sea   海の星から

to stars in the sky    空の星まで

a stone stairway     石の階段が  

 

【第二十一回(二〇一九年)】木内 徹 選 (和訳共)

Francesco de Sataba   フランセスコ・デ・サバタ

(Luxembourg)    (ルクセンブルグ)

old pendulum clock―  古い振り子時計―

caught in a spider net  蜘蛛の巣だらけになっている

grandpa’s fairy tales  祖父のおとぎ話

 

「海の星から」の句は発想が面白いが、「切れ」がないために散文詩的であり、「古い振り子時計」は「切れ」があっても、三段切れにありがちな、言いたいことをただ投げ出している感じで、しかも冗長である。

散文詩的な三行書きのHAIKUが俳句として通用しているのは、日本の俳句の型と俳句の特性に対する共通認識が形成されていないからである。

世界への俳句の発信が叫ばれている今こそ、実践的に「俳句の何を」「俳句をどう」発信するかが問われている。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする